©Laplacian
【コラム】言葉で語るには足りない。どうしようもなく溢れてくる想い。
2020年を代表するADV
◆人類は同じ夢を見るようになった。
ある晩は、女生徒と教師の不倫の物語であり――
ある晩は、劇作家と女優の身分を超えた恋物語――
またある晩は、不登校の少年と教育実習生の淡い初恋――
三種類の夢を、人類は繰り返し見るようになった。
何故、全人類が同じ夢を見続けるのか。
ーこれは、世界と呼ばれた1人の少女の物語。
今回は2020年に発売され、大きな話題を呼んだPCゲーム、『白昼夢の青写真』を紹介させて頂きます。
1〜2ヶ月ほど時間を掛けてプレイし、先日クリアすることが出来ましたが、これは本当に面白かった。
2021年、様々なエンタメ作品を楽しんできましたが、その中でも特に心に残る作品になりました。
最初に断っておくと、『白昼夢の青写真』はアダルトゲーム。
対象年齢18歳以上の作品であり、シナリオには性的な描写も含まれています。
これまでに当ブログで扱っていた題材とは、明らかに一線を画しています。
普段の私なら、絶対にブログには書きません。
そう思っていたのですが・・・この物語を見届けた今、紹介しない訳にはいかないな、と。
この作品を一人でも多くの方に知って欲しいと思い、全身全霊で伝えます。
ココに注意
致命的なネタバレは避けますが、
全くの初見の状態で作品を楽しみたい方はブラウザバックを推奨します。
プレイしたきっかけ。
きっかけ自体は何てことはなく、偶然にもYouTubeで紹介されている動画を見たことが始まりでした。
主にゲームの紹介をされている方のYouTubeチャンネルで取り上げられていて、その説明動画が抜群に上手かったんですね。
参照リンクはこちら!
圧倒的面白さの神ゲー「白昼夢の青写真」レビュー 「なりひら/名作情報」さんより
- 最初から最後まで面白かった神ゲー。
- 面白さの次元が一つ上にある。
- 人間にこんなに面白い話がつくれるのかと思った。
- クオリティが頭おかしいレベル。
ここまで言われてしまったら、そりゃあ気になりますよ。『白昼夢の青写真』を早速Amazonで検索します。
「18禁じゃねえか!?」と、思わず突っ込んでしまいました。
とはいえ、私も成人男性。オマケに独身で1人暮らし。プレイすること自体に何も障害はありません。
しかし、この年になって未だアダルトゲームを遊んだ経験がなかったので、中々手を出せずにいました。
それでも、実際にプレイした方々のレビューを見ていくと、
「寝食忘れて没頭した。」
「パッケージを見るだけで目頭が熱くなる。」
「久々にボロ泣きした。」
ーといった、好意的な感想ばかり。
「エロゲで泣くことってあるのか・・・?」
そんな偏見は最後まで捨てきれませんでしたが、半ば玉砕覚悟でブラウザ版を購入しました。
こうして私は、エロゲ童貞を卒業しました。
感想
結論から云うと、日常生活に支障が生じる程にどハマりしてしまいました。
これは面白過ぎる。あまりにも面白過ぎる。
紹介していたYouTuberの方が仰っていた通り、徹夜不可避でした。
面白さの次元が違う、とまではいかないかもしれませんが、
決して言い過ぎではないくらいに圧倒的なシナリオでした。
ただ、人を選ぶ作品ではあると思います。
前提としてアダルトゲームであるということもそうですが、話の構成自体、一癖も二癖もあります。
特に終盤のストーリーは、理系チックな設定の絡んだ複雑な要素が多く、難解に感じる部分もありました。
主人公たちが迎える結末を含めて、ハマる人にはハマるという印象の作品でした。
私は、デイストピア的な世界観が割と好きなので、そういった作品が好きな方にはオススメできます。
概要
今作は記憶と人格の関係性を描く。
三つの並行世界は、最終章のCASEー0に収束した後、三つの物語が語られた必然性も示される。
『白昼夢の青写真』は、異質のシナリオ構成になっています。
全体で4つのストーリーから成りますが、それぞれが全く別々の話です。
- CASE 1:非常勤講師が主人公の物語。
- CASE 2:シェイクスピアが主人公の物語。
- CASE 3:カメラマンを夢見る少年が主人公の物語。
- CASE 0:『白昼夢の青写真』の本編。記憶を失った主人公と自我を持たない少女の物語。
CASE 1〜3までの、時間軸も舞台も全く異なる3つの平行世界を見届けた後、
最終章となるCASE 0に繋がっていきます。
ただ、順番に1 → 2 → 3・・・と物語が始まる訳ではありません。
シナリオの流れ:
- CASE 1〜3のシナリオの内、一つがランダムでスタートする。
- シナリオが一定の進行度に到達すると、CASE 0が幕間で挿入される。
- 前半のストーリーが終わると、そのCASEの話は一時中断され、まだ見ていないCASE 1〜3がランダムで始まる。
- 全てのCASEで前半のストーリーを見終えると、CASE 1〜3の後半のストーリーをプレイヤーが任意で選択する。
- CASE 1〜3までの物語が全て終わると、ようやく本編のCASE 0の物語が始まる。
何故、このようなゲームシステムになっているのかも含めて、
CASE 0で全ての真相が明らかになります。
ノベルゲームは「面白いけど話が長い」というのが割とネックだったりします。
『白昼夢の青写真』は各エピソードで終わりが設定されているので、
最後までダレずに進めることができました。
では、極力ネタバレを避けつつ、それぞれの物語を紹介します。
CASE 1:女生徒と教師の不倫の物語
自分の知らない世界が、どこまでも広がっているのを見たときにーー
・・・感じるのは、自分は1人じゃないっていう安心感ですか?
それともーー
結局自分は1人なんだっていう、疎外感?
ストーリー
物語の舞台は2016年の神奈川。
45歳の非常勤講師:有島は、とある学園で古文を教えています。
かつては小説家を目指していた彼でしたが、大学時代に出会った、
「波多野秋房」という天才作家との才能の差に打ちのめされ、その夢を諦めることに。
教壇に立ち、誰の心にも残らない言葉を吐き出し続ける毎日。
自分のやっていることは誰の役にも立たず、何の価値にもならないと、有島自身が一番分かっています。
一方で、「波多野秋房」の様な天才作家の遺した文章は、これからも世界中の人々の心に残り続ける。
かつて抱いていた夢が今でも呪縛のように、有島の心を捕らえて放さない。
小説家志望のときに出会った女性と結婚していましたが、夫婦仲は完全に冷え切っており、
今ではほとんど会話すらしない状態。
そんな灰色の日々を繰り返していた有島の元へ、大学時代の教授が亡くなったという知らせが入ります。
告別式の帰り道、そこで偶然にも学園の生徒である「波多野凛」と出会う有島。
その少女こそ、彼が今もなお羨望している「波多野秋房」の娘でした。
その出会いをきっかけとして、教師と生徒という関係性を逸脱した、
背徳的な男女の恋愛に発展していくことにー。
プレイ後の感想
CASE 1〜3の3つの中では、一番暗い雰囲気の物語でした。
夢を諦めてしまった、挫折した人間のその後の人生。
その姿に失望し、妻からの愛情がほとんど無くなっているというのも、
一般のゲームではあまり見られない描写でしたね。
パートナーから愛されていないという事実を、主人公が完全に受け入れて、
達観できてしまっているのが余計に辛い。
あまり自分の感情に鈍感にならない方がいいと思う。気づいたときには手遅れになる。
私も、1人でいるのは寂しくない。それ自体は寂しくないが、
一緒に居たいと思えるような人と出会えなかったのは寂しいと思う。
今さらになってね。
物語の中盤では、主人公が自死を選んだ「波多野秋房」に同調し、
やがて自分自身を投影していく、非常に危うい精神状態になります。
シナリオを進めれば進めるほど、主人公は“死”に引きずり込まれそうになりますが、
闇に堕ちる寸前で現れた凛に救われ、
ようやく二人が結ばれて、幸せな日々が始まる・・・?
ーそういう、物語です。
“幸せな日々”と書いてしまいましたが、結局のところ不倫なので、
人によっては嫌悪感を抱くシナリオかもしれません。
あくまで創作の物語として、割り切って楽しんだ方が良いと思います。
CASE 2:劇作家と女優の身分を超えた恋物語
貴族に生まれてくる人が理由を持たないのと同じように、
奴隷に生まれてくる人にも理由なんてない。
世を恨むなら、あなたも自分の持てる力で世界を変えてみなさい。
私だってそうした。あなたもそうすべき。
自分の境遇を呪っても、なにも始まらない。
ストーリー
物語の舞台は1595年のイギリス。
完全記憶能力を持っているウィル(ウィリアム・シェイクスピア)は、
盲目の父親と寂れた酒場を切り盛りしている青年。
彼は酒場での仕事の他、劇団相手に自分の書いた脚本を売るという副業までしていました。
それでも、自分の生活は一向に楽になりません。
ある日、ふと魔がさしたウィルは、貴族の家に侵入し盗みを働きます。
しかし、その場にいた警備にあっさりと捕らえられ、首を刎ねられー
・・・と思いきや、ウィルが脚本を書いている事実が暴かれると、
貴族の女性「オリヴィア・ベリー」から彼女の奴隷として、身請けされることに。
そんな彼女が所有する一座の劇団員は、
ほとんどがウィルと同様、彼女の奴隷として捕まった人間でした。
能力もやる気も無い変わり者ばかり。
当然、劇団としては落ち目であり、援助がなければ存続できない状況にありました。
そこでオリヴィアは、
ウィルの書いた脚本で一座を存続させることができれば、命を助けると提案しー?
プレイ後の感想
CASE 1〜3の中では、唯一、実在の人物をモデルとした主人公の物語です。
余談ですが、私が最初にプレイすることになった物語でした。
主人公はあのシェイクスピアです。
『ハムレット』、『ロミオとジュリエット』、『真夏の夜の淫夢』は非常に有名な作品で、
作中でもウィルの書いた脚本として登場します。
私は演劇に全く詳しくないので、これ以上は語れないですが・・・。
物語としては王道の展開で、分かり易く面白い内容でした。
最初はダメダメだった劇団でしたが、ウィルの書いた天才的な脚本と、
キャラクターたちの配役の変更といった提案により、どんどん質が上がっていきます。
CASE 2のヒロイン:オリヴィアも、最初は貴族ゆえの高飛車な態度が目立ちますが、
彼女の育った背景を知っていくことで、徐々に見る目が変わっていきます。
ウィルにとって、自分が脚本家として生きる道しかなかったのと同様、彼女にも。
自分が役者として生きることしかできない理由がありました。
あなたはまだ、自分の人生を生きていないじゃない。
そんなあなたが、どうして死を恐れる必要があるの?
まだ、自分の足で歩いたこともなくーー
自分の目でなにかを見たこともないのに。
あなたを殺すには、あなたが生きていないといけないけど。
もう死んでるみたいなもんじゃない。
物語の終盤では、オリヴィアの秘密が暴かれ、一座の全員が捕らえられる絶体絶命の危機を迎えます。
ウィルとオリヴィアの間で芽生えた恋心は、自身の書いた『ロミオとジュリエット』のシナリオと同様の、
悲劇的な未来が暗示されますが、彼らが迎える運命は・・・?
CASE 3:不登校の少年と教育実習生の淡い初恋
もし明日死んじゃっても後悔しない?
明日死んじゃうってわかってても、今日と同じ一日を過ごした?
みんな、自分だけは、自分の周りだけは、ずっと生きてると思ってるけど
そうじゃないのを、僕は知ってる。
ストーリー
物語の舞台は2061年の夏の日本。
飴井カンナは、自宅のガレージに引きこもっている不登校の少年。
他界した母親と同じプロのカメラマンになる為、日々カメラに打ち込んでいます。
彼には、母の愛用していたキャンピングカー(ハチマル)を修理し、
母との思い出の場所で、ある写真を撮るという目的がありました。
ある写真とは、76年周期で地球に接近するハレー彗星。
その日は今年の夏に迫り、カンナは忙しい毎日を過ごしていました。
ーそんなある日、カンナが通っていた学校の教育実習生である、
「桃ノ内すもも」が自宅を訪れます。
彼女から「学校においでよ!」と何度か呼びかけられますが、
カンナにとってそんな暇はありません。
とはいえ、一人で車の修理ができる筈もなく、業者を呼んで見てもらうことに。
しかし、その業者の手によって、母親の形見である大事な車を盗まれてしまいます。
盗まれた時間、たまたま車内に乗り合わせていたカンナとすももが力を合わせ、
車を取り返すことには成功します。
・・・が、無免許運転の暴走の末、ハチマルは動作を停止。
窃盗犯:梓姫のアジトは炎上。
「面倒ごとが嫌なら、しばらくの間あたしをかくまえ」
カンナの慌ただしく、だけど穏やかだった日常は、こうして崩壊します。
唐突に始まってしまった、波瀾万丈な夏休み。
カンナの夢の行く末は、どうなってしまうのでしょうか?
プレイ後の感想
CASE 1〜3の中で、最も明るく、楽しい物語です。
カメラマンを志す少年と、年上ヒロインとの、一夏の青春恋愛ストーリー。
CASE 1や2に比べると、主人公に相対する「敵」となる存在がほとんどいない為か、
終始平和な気持ちで物語を進めることができました。
ただ、他の話と比較して「浮いている」という程ではないです。
主人公やヒロインに発生する諸問題は、社会的に見れば深刻ではない、
極めて個人的なものではありますが・・・
彼らの必死さはプレイヤーにしっかりと伝わる描写になっており、
決して楽観的なシナリオとも云えません。
それでも、物語の結末としては全シナリオで最も爽やかで、
この話が一番好きな方が多いようです。
特にCASE 3のヒロイン:すももが好きなファンの方が多いですね。
サブヒロインである梓姫もいいキャラしています。
なんでお前のやりたいことが、お前がいったこともない場所で見つかるんだよ。
そういうのは、退屈でもジッと考えて見つけるしかないでしょうが。
見つかるまで考えるしかないでしょうが。場所なんて関係ねーよ。
ただ楽しいだけではなく、
「自分が本当に好きなものって何だろう?」
ーと、問いかけられるようなシナリオでもありました。
CASE 0:世界と呼ばれた1人の少女の物語
これから語るのは、1人の少女の物語だ。
わたしはこの物語を、ここで語り続けている。
わたしはそういう存在になると、自分で自分を決めたからだ。
少女の名は世凪。これはー
世界と呼ばれた1人の少女の物語だ。
『白昼夢の青写真』のメインシナリオです。
そこは遥かな未来ー。
どこかの研究所で、記憶喪失になった主人公:海斗は目覚めます。
まるで白昼夢のように、鮮明なストーリーのある夢。
CASE 1〜3までの物語は全て、海斗の見ている不思議な夢の話です。
設定
その空間に居たのは、自我を持たない少女:世凪。
そして、少女型のアンドロイド:出雲と、
補助端末である「リープくん」の4名(?)。
CASE 1〜3を進めていく内に、主人公の置かれている状況が分かっていきます。
- 海斗と世凪は、同じ夢を見ている。
- 夢が進んで行く度に、世凪に少しづつ自我が生まれている。
- 海斗は記憶を失う前に、自分が記憶を失うことについて同意している。
- この計画の全ては、世凪を救う為にある。
断片的にこういった情報が提示されていきますが、
- 何故、こんな夢を見ているのか?
- そもそも、海斗が記憶を失っている理由は?
- 海斗と世凪の関係性は何なのか?
- この世界で何が起きているのか?
- 夢に出てくるヒロインが共通して、世凪と似た容姿をしているのは何故か?
- 世凪には何があったのか? 夢を見ると自我が回復しているのは何故か?
これらの疑問については、CASE 0が始まるまではプレイヤーには分かりません。
前述した通り、CASE 1〜3の全てが終わったとき、
CASE 0の物語が始まります。
本編開始
3つの平行世界の物語を見届けた海斗。
研究所から世凪と「リープくん」の姿は消えて、出雲から案内されます。
たどり着いた部屋の前で出雲とも別れ、
「記憶を取り戻した後、ある場所で待っている」
ーと、告げられます。
研究所に1人取り残された海斗。
案内された部屋で待ち受けていたのは、記憶を失う前の、
かつての自分が残した映像端末。
そこに映し出されたのは、今回の計画の首謀者でした。
海斗は、「彼」との対話を通して、自分自身の記憶を追体験していくことになります。
これが、CASE 0のストーリーです。
プレイ後の感想
ここから先の物語については、何を書いてもネタバレになってしまう為、
ストーリーの具体的な内容については伏せておきます。
一つだけ断言できるのは、これまでの物語とはケタ違いに面白いということ。
CASE 1〜3までの物語も面白く、充分に楽しめていたのですが、
最終章は文字通り次元が違いました。
テキストを追いかける指が、全く止まりませんでした。
これまでの3つの物語が、全て単独の話として綺麗に完結していたので、
最終章で集約されるという意味が、最初は分からなかったのですが・・・
CASE 0の物語を進めていく内に「そういうことだったのか!」という衝撃の連続。
CASE 1〜3までの全ての物語が、
プレイヤーの脳内で次々とCASE 0にリンクされていきます。
そして、それが山場ではなく、
CASE 0での世界の謎も提示されて、そこに海斗や世凪が巻き込まれて、
ー最後には、ここまでプレイヤーが体験してきた「計画」に繋がっていきます。
断片的に提示されていた情報により、朧げに見えていた物語の全体像が、
ハッキリと頭の中で結ばれた瞬間。
もう、面白いを超越して「快感」でした。
プレイヤーに待ち受けるシナリオ
それだけでなく、これまでの物語に感じてきた「面白さ」の性質も、
これまでとは全く違うという印象を受けました。
CASE 1〜3の物語でも、苦しく、切ない場面はありました。
ですが、CASE 0では「切ない」とか、そういう次元の話ではありません。
クリア後、シナリオライターの方が書かれたコラムを読みましたが、
「ここまで主人公を追い詰める必要があるのかと、悩みながら書き進めた」と述べておりました。
私も相応の覚悟で進めていましたが、それでもかなり胸に来るものがありました。
本当に辛すぎる・・・。
でも、だからこそ、ラストシーンが輝くのです。それは間違いなく保証します。
ここからは、物語に関する一部ネタバレがあります。
世凪
CASE 0のヒロイン:世凪はこの作品全体のヒロインでもあります。
CASE 1〜3までは、その存在を全く掴めないようなキャラクターでしたが、
CASE 0の海斗の記憶によって、一気に掘り下げられます。
CASE 0で描かれる世凪の姿は、本当に魅力的でした。
非常に活発で、物語を描くのが大好きで、
海斗とは幼少期の頃から互いに想い合っている存在。
ですが、CASE 0の序盤で世凪は、
「いつまでも海斗とは一緒にいられない」と口にします。
世凪が抱えていた秘密、それはー「リンク先:ネタバレ」
これから先の未来ー・・・
いつか世凪は自分自身を忘れ、海斗の存在も分からなくなる。
ゲームを開始してからすぐに、プレイヤーは抜け殻のような世凪の姿を見てきた為、
いずれそうなることは分かっていました。
ーですが、世凪という存在が等身大の、1人の少女であることがやっと分かったタイミングで、
この秘密が明かされる為、受けた衝撃は大きかったです。
こんなにどうしようもない理由だったとは・・・。
海斗の決意
海斗も当然動揺し、言葉を失います。
それでも彼は、残された時間の全てを世凪の為に使うと決意します。
何としても、世凪を救う方法を自分が考えると。
たとえ世凪が自分のことを忘れてしまっても、
自分は決して世凪を忘れることなく、永遠に愛し続けると。
本当の意味で二人が結ばれた瞬間でした。
この時点でもう、私は泣きそうになりました。
でも、『白昼夢の青写真』という物語は、こんなところでは終わらなかった。
「世界と呼ばれた少女」
その後、海斗は文字通り、世凪の為に自分の人生の全てを捧げます。
研究者となり、「仮想空間」を構築することを目指します。
この研究が実現すれば、あるいは世凪と共に過ごすことができるかもしれないと、
わずかな希望に懸けてー。
長い時間を経て、悲願だった海斗の研究がようやく実を結んだ結果、世凪は・・・
・・・世凪は。
ーもう、ここから待ち受けている展開は、上手く言葉にできません。
たとえ、どんな言葉を使ったとしても、
プレイヤーが味わう事になる感情は表現できない気がします。
海斗も世凪も、何も悪くなかったのに。
何で、なんで、こんなことになるのか。
物語の終盤まで読み進めたとき、
「嘘だろ・・・。」
ーと、思わず声に出てしまう程、私は主人公に感情移入していました。
リアルに「“俺”、どうしよう」って絶望しました。
たった一つの物語に、どれほど感情を揺さぶられたか分かりません。
『白昼夢の青写真』の副題となっている、“世界と呼ばれた少女”の意味が、
これほど儚く、残酷なものだったとは思いもしなかった。
大好きな人とずっと一緒にいたい・・・。
ただ、それだけだったのに・・・。
本当に胸が引き裂かれるくらい、プレイヤーにとってはしんどい展開ばかりが続きますが、
それでも最後の最後には、
「このゲームをやって良かった」と、思えることができました。
この記事を最後まで読んでいただいて、少しでもこの作品に興味を持ってくれたなら、
是非プレイしてみることをお勧めします。
・・・こんなにわたしを愛してくれて、ありがとうー。
統括
プレイ後は、しばらく放心状態になりました。
エンタメ作品を遊んで、こんな気持ちになったのは久しぶりのことでした。
今は、公式がYouTubeで出しているサントラを無限に再生している毎日です。
リンクを下に貼っておきます。
全楽曲のサントラ
【白昼夢の青写真】COMPLETE SOUND COLLECTION 全楽曲鑑賞動画
しばらくは、この作品の余韻に浸ることになりそうです。
アダルトゲームということで食わず嫌いをしておりましたが、
実際に体験してみるって大事だなと、改めて思い知らされました。
その業界で勤めている友人がおりますので、縁があれば、
そういった作品を遊んでみるのもいいかもしれません。
余談
欲を言えば、全年齢版を発売して欲しいと思いました。
やっぱりアダルトゲームなので、万人にはお勧めできないですね。
決してその分野を差別している訳ではありませんが、
性質上どうしようもないことかなとも思います。
開発側から「全年齢対象の分割版の開発を進めている」という情報が発信されていたので、
是非実現して欲しいですね。
【追記】全年齢版がSteamにて発売されました。(2022/2/9〜)
【追記】NINTENDO Switchでの発売が決定しました。(2022/11/17〜)
参考:「白昼夢の青写真」がSwitchで11月17日に発売決定!世界に全てを捧げた少女と一人の青年の純愛物語
私も、性的欲求を満たしたくてこの作品を遊んだ訳ではないので、
可能なら全年齢版で遊びたかったというのが本音です。
【追記】Switch版をプレイした感想を書きました。
-
【神ゲー】世界と呼ばれた少女の物語。『白昼夢の青写真』【再掲】
続きを見る
物語が盛り上がった場面で、そういう描写が挿入されるので、
ちょっと感情の持っていき方が分からない時がありました。
以上、ありがとうございました。
紹介した作品
『白昼夢の青写真』 ©Laplacian
公式サイト:リンク