【コラム】漫画は30巻前後で完結してくれませんか・・・。
今回は普段の本の要約ではない為、皆さんの役に立つ記事ではないかもしれません。
ただ、『ONE PIECE』という漫画について、今の私が思っていることを吐露しようと思います。
あらかじめ断っておくと、私は今の『ONE PIECE』には否定的な立場です。
「アラバスタ編」や「ウォーターセブン編」、「インペルダウン編」が作品のピークで、その後はどんどんツマらなくなっていると感じています。
批判等もあると思いますが、一読者としての正直な気持ちを書きます。
ココがポイント
『ONE PIECE』という商品のパッケージは、もう限界にきているのではないか。
今のONE PIECE
なんで今回の記事を書こうと思ったのか。そのきっかけから話をさせて頂きます。
先週、友人と雑談していたときのこと。最近読んでいる漫画の話題になって、そこで『ONE PIECE』の話になりました。
友人「ワノ国編、オモシロいよなぁ〜。登場人物がまとまっていて、楽しい。」
と、その友人は話していました。それを聞いて私は、
私「・・・あ〜そうなんだ。へぇ。」
と、めちゃくちゃ気の無い返事をしてしまいました。
誤解のないように補足させてもらうと、その友人とは小学校から20年くらいの付き合いがあるので、お互いにほとんど遠慮が無いんですよ。
初対面の相手だったら、流石にもうちょっと態度は良いですからね。
何でこんな返事をしてしまったかというと、今の私が『ONE PIECE』を全然読んでいないからです。
コンビニで「週刊少年ジャンプ」を見かけても、全く手に取らないようになっています。
1995年生まれである私たちにとっては、『ONE PIECE』という国民的漫画は少年時代とともにあった、まさにドンピシャの世代。
コミックスで100巻を突破し、物語もとうとう佳境に入ろうとしていて、大盛り上がりの展開!
・・・らしいのですが、正直、読む気になれません。
エンタメ作品の情報を知る目的で、私はよく「5ちゃんねる」を見ています。
『ONE PIECE』に関しては、しばらくはそれで済ませていいとすら思っています。
小学生だった頃、従兄弟の家で初めて『ONE PIECE』を読んだときには、世の中にはこんなに面白い漫画があるのかと驚き、「世界一面白い漫画」だと本気で思っていたのに。
どうして、こうなってしまったんだろうー。
結論:
考えた結果、大体下記の3つの理由に分類されると思います。
おそらく、多くの読者が思っていることと同じです。
- 物語が動かない。
- 読者は結末を知りたい。
- 全盛期は過ぎた。
統括すると、冒頭で述べた通り、“商品力の限界に達している”ということです。
この3つの理由を深掘りして、分析していきます。
・・・が、その前に、簡単に『ONE PIECE』という作品そのものを紹介しますね。
ONE PIECEの紹介
『ONE PIECE』は国民的漫画なので、その存在を全く知らない人はいないでしょう。
ただ、全く読んだことがない人も世の中にはいると思うので、どんなストーリーかだけ簡単にまとめます。
ONE PIECEの展開
- 世は大海賊時代ー。“悪魔の実”を食べて「ゴム人間」となった少年:ルフィは大秘宝“ONE PIECE”を求め、憧れの海賊を目指し海に出る!
- 行く先々の島で仲間を集め、「麦わら海賊団」を結成したルフィ。
- 海を守る「海軍」や「世界政府」といった組織。また、“ONE PIECE”を狙う海賊達との戦いが始まる。
- “ONE PIECE”を目指していく最中、「この世界の謎」に巻き込まれていくことになるルフィ。彼らに待ち受ける運命とはー?
超強引にまとめてしまいましたが・・・まあ、大体こんな感じです。
「主人公が“ONE PIECE”を手にして海賊王になる」という一本の軸があります。
その目標を達成する為に、航海していく島々の物語が「空島編」、「魚人島編」といった感じで括られており、舞台が変わるにつれて本筋のストーリーが進んでいきます。
ちなみに、“ONE PIECE”がどういった宝なのかは未だに分かっていません。
もう、四半世紀は続いている超大作ですね。これが作者:尾田栄一郎先生のデビュー作というのが凄まじい。
国内累計発行部数は2021年7月時点で4億部を突破しており、2015年には「最も多く発行された単一作家によるコミックシリーズ」としてギネス世界記録に認定されています。
名実ともに、国民的漫画でしょう。
・・・しかし、最近のコミックスのレビューを見ると、こんな意見を多く見かけます。
読者の意見
- 読みづらい、読んでいて疲れる。
- いい加減、うんざりする。
- ごちゃごちゃしている。
- 僕たちが大好きだった頃の『ONE PIECE』とは別物。
私は今や読んですらいないので、この意見が真っ当に正しいものかどうかは分かりません。
ただ、言いたいことはクッソ分かる。分かりすぎる。
とはいえ、友人が言っていた通り「ちゃんと読めば面白い」のでしょうね。
100巻を超えて尚、そんな物語を生み出し続けている尾田栄一郎先生は、間違いなく大天才です。
それは、疑うべくもありません。
けれども・・・私は、物語を追うのに疲れてしまいました。
『ONE PIECE』に不満を持っている読者の気持ちを、言葉を選ばずに4文字で代弁します。
「もういい。」
1.物語が動かない。
『ONE PIECE』という作品のシステム上、仕方のないことではあるのですが、初期と比較して本当に物語が進みません。
単純に「作者が引き伸ばしたい」ということではなく、構造上の問題です。
とにかくキャラが多い。多すぎるんです。
先ず、現在の主人公パーティーの総員が10名を超えています。
そして、対峙する敵の数はもっと多いです。
それに加えて、その島でゲスト参戦する味方、大量のモブ、やられキャラ等々・・・。
現在進行中の「ワノ国編」は、ここまでに登場したメインキャラが集結している部だけあって、尋常じゃない程のキャラクターが話に関わっています。
余りにも多すぎるので、ネットで分かりやすく相関図を創ってくださっている方がいました。
こちらのサイトを見ていただけると、大分状況が分かり易いと思います。
参照リンクはこちら!
【ワンピース】相関図あり!多すぎるワノ国の登場人物キャラクター一覧まとめ
・・・これを覚える労力を使えば、世界史の一時代の歴史くらいなら丸ごと暗記できてしまいそう。
どんどん酷くなっている。
ただ、今になって始まったことではなく、その兆候は10年くらい前からあったんですよね。
それが年々積み重なっていって、もう止められないところまで来ているなと感じます。
キャラを増やすのは構わないですよ、それが作品自体の面白さに繋がるのであれば。
しかし、あくまで個人的な感想ですが、『ONE PIECE』ではキャラの多さがストーリーの足を引っ張っていると思います。
読者からすると大して思い入れの無いキャラクター同士の、わちゃわちゃした描写の連続。
それらが場面ごとに一々切り替わって、物語の本筋に中々進んでくれません。
学生時代にジャンプで読んでいた頃から、「今週の『ONE PIECE』、さすがに酷くないか?」と感じたときがありました。
例を挙げると、
- 敵の本拠地に突入した次の週。各キャラクターがそれぞれどう動くかを決めただけで1話終了。
- リアルタイムで2年くらい戦っていた大ボスを、ようやく倒した次の週。登場した全ての味方キャラが「ルフィが勝ったぞ〜!」と喜んで1話終了。
「先週から1mmも状況が進んでねぇ!!!」
単行本でいうと60巻を超過した「パンクハザード編」辺りから、物語が完結するまでの道のりの長さに、私は目眩がし始めていました。
ただ、これで絶望するのは序の口。
原作漫画がこのテンポなので、アニメでは輪を掛けて、どえらい事になっていました。
たまたま『ONE PIECE』のアニメを観ていたとき、「ホールケーキアイランド編」をやっていたときのこと。
その話の大ボスであるビッグ・マムというキャラクターが、“食い患い”という発作を定期的に起こします。
「特定のスイーツを食べないと、理性がなくなって手当たり次第に周辺を破壊し始める」といった症状です。
で、このビッグ・マムがほとんど30分間、「クロカンブッシュ〜!!!(怒)」と叫んで、そのまま話が終わった回がありました。
テレビの前で私は、煽り抜きでこう思いました。
結局、今の『ONE PIECE』で面白いと感じるときって、「一つの島の話が終わって次の島に行くまでの間」になっていると感じます。
そこでやっと、物語が動きますから。
2.読者は結末を知りたい。
2019年に、明石家さんまさんがMCを務めている長寿番組「ホンマでっか⁉︎ TV」で、尾田栄一郎先生の仕事場を訪れる回が放送されたことがあります。
参照リンクはこちら!
木村拓哉が「ONE PIECE」尾田栄一郎の自宅にサプライズ登場!「ホンマでっか!?TVSP」
その番組の中で、こんなやり取りがありました。
さんまさん:「もう最後の方まで決まってますの?」
尾田先生:「はい、もう自分の中では決まっています。」
さんまさん:「はぁ〜。なのにワノ国とか行って、引っ張ってるわけやな。」
尾田先生:「引っ張ってるわけじゃない。描きたいもの描いてるんで。描くべきものがあるから描いてる。」
まぁ、これは流石にさんまさんの方が、尾田先生に失礼すぎるのではと思いますが・・・。
でも、これが読者の正直な感想だよな。とも思います。
ここまでずっと読んできたファンが見たいものは、ワノ国の冒険ではないんです。
「“ONE PIECE”とは何なのか?」です。
もっと言えば、「Dの意思とは?」、「“空白の100年”に一体何があったのか?」でしょう。
それを知りたいから、ファンの方々は100冊もコミックスを買って、ずっと物語を追いかけているのですよ。
尾田先生も20年以上に渡って物語を描いている訳ですから、責任を持って最後までやり遂げてくれるとは思っていますよ。
ただ、自分の描きたいものを描きたくて、今のワノ国の話をやっているのだとしたら。
それは違うよな、と言いたいです。
漫画という“商品”を世の中に出している訳ですから、自分の描きたいものより、読者を満足させるものを描くべきです。
もちろん、何が何でも読者の意見を聞いてくれーと言いたい訳ではないですよ。
でも、自分の描きたいものを描いた結果、肝心のストーリーがツマらなくなってしまったら、本末転倒じゃないですか。
以前にそういう記事を書いているので、参考にご覧下さい。
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【要約】「好きなことで生きていく」を追い求めてはいけない理由。
続きを見る
よく聞く話で、漫画家の方には「連載の初期からずっと温めていた話」があり、自信満々でお出ししてくることが多い。
そして、そんな話に限ってツマらないーと。
連載が上手くいったことで、読者目線が欠けてしまっているのが原因だと思います。温めすぎて腐ったんです。
・・・『ONE PIECE』で、そうはなって欲しくないのですが。
(でも、ワノ国は尾田先生がずっと描きたかったと公言しているから、モロ当てはまっているんだよなぁ。)
核心に近づけば、ちゃんと面白い。
ただ、直近の話で「光月おでん」というキャラクターの過去が描かれたときは、メチャクチャ面白かったです。
そのときは、コンビニに立ち寄ってまで「ジャンプ」を読んでいました。
何でかっていうと、『ONE PIECE』という物語における超重要人物:ロジャーが20年以上の時を経て、本格的に登場した話だったんですね。
Twitterでも毎週のように『ONE PIECE』がトレンドに上がり、次の週の話が気になって仕方ないという状況でした。
俺たちの見たかった『ONE PIECE』が、そこにありました。
↑このシーンを読んだときなんか、痺れました。ロジャーも白ひげもカッコよすぎんだろ。
大盛り上がりでその過去の話は終わり、
・・・で、今は主人公たちが(私にとっては)どうでもいい敵たちと、ダラダラダラダラと何年も戦っている訳ですが。
私はそのときに、はっきり分かってしまったんです。
結局のところ『ONE PIECE』は、面白い展開を先送りにしているだけだと。早く「ラフテル」に到達してくれよと。
作者の尾田先生曰く「あと5年で物語は終わる」とのことですが、多分、5年後も同じこと言ってるんじゃないかな・・・。
というか、5年もあれば大体の漫画って終わるんですけどね。
あの『スラムダンク』でさえ、連載していたのは6年かそこらですから。
3.全盛期は過ぎてしまった。
人によって一番好きなエピソードは分かれると思いますが、『ONE PIECE』で一番盛り上がった話は、間違いなく「マリンフォード頂上戦争」ですね。
それは疑いようもないでしょう。
これまで顔見せ程度にしか登場してこなかった、主人公よりも遥か格上のキャラクターたちが集結し、次元の違う別格の戦闘が描かれます。
現状の話と比較しても、作中最大規模の戦いでした。
参照リンクはこちら!
当時中学生だった私のクラスでも、毎週『ONE PIECE』の話題で持ちきりでした。
コミックスの売上でギネス記録を達成したのもその頃で、メディアでの取り上げられ方も凄まじかったですね。
「SMAP×SMAP」という番組で、「ワンピース王決定戦」という企画が開催されたり。
物語全体でも“第一部の締めくくり”という扱いで、それに相応しいものだったといえます。
それと同時に「明確な分岐点」になってしまった、とも考えています。
第二部からの『ONE PIECE』
「マリンフォード頂上戦争」が終結し、そこから『ONE PIECE』は第二部となり、新たな冒険が始まります。
そこを区切りとして、ストーリーが段々と面白くなくなってきた感じが否めません。
より正確に云うと、「マリンフォード頂上戦争」の結末が区切りでした。
分かりやすく説明すると、「マリンフォード頂上戦争」の終わり方で、『ONE PIECE』はコケてしまったんです。
ネットで散々擦られているので、今更説明はしないですが・・・
要は主人公の兄:エースというキャラクターが、バカみてぇな死に方をしたんです。
擁護できるポイントもあるにはありますが、もうちょっと何とかならなかったかな、と。
とはいえ、『ONE PIECE』という漫画で“キャラクターの死”が明確に描かれた初めての場面であり、日本中が衝撃を受けたことは間違いありません。
賛否両論はありつつも、大盛り上がりで「マリンフォード頂上戦争」は幕を閉じます。
そこから、物語は二年後の世界が舞台となり、「魚人島編」、「パンクハザード編」が始まっていく訳ですが・・・
ここから、先述した通り「物語が動かない」という現象が加速していきます。
どうでもいい話が全然終わらないし、とにかく一つ一つのストーリーが長い。
『デスノート』もそうでしたが、一度、物語がリセットされて、そこから益々面白くなっていったマンガは少ないと思います。
鬼滅の刃との比較
作品の比較は好きではないのですが、『ONE PIECE』は『鬼滅の刃』としばしば比較されます。
『ONE PIECE』がちょうど「ワノ国編」をやり始めた時期に、『鬼滅の刃』は惜しまれつつも原作漫画の連載が完結し、
- 年間売上コミックスランキングを『鬼滅の刃』が独占。
- 公開された映画「劇場版 無限列車編」が、興行収入400億という未曾有の売上を達成。
紛れもなく、新たな国民的漫画になりました。
漫画喫茶で一気読みしようと思ったのですが、人気過ぎて全然借りられなかったので、全巻Kindleで買っちゃいましたよ。
こんなことを書くと日本国民全員を敵に回してしまいますが、『鬼滅の刃』が漫画史にその名を遺すほどの名作だったとは思えません。
間違いなく面白い漫画だったとは思いますけどね。
『鬼滅の刃』はコミックス全23巻で完結した漫画で、『ONE PIECE』ではちょうど「アラバスタ編」という超々名作の話が終わったところですね。
23巻で比較するなら、『ONE PIECE』の方が漫画として圧倒的に面白いです。
言葉は悪いですが、『鬼滅の刃』は比較にもならない、とさえ思っています。
↑ルフィVSクロコダイルのラストバトルは、何度見ても鳥肌が立ちます。
ただ、『鬼滅の刃』で私が良かったなと感じたのは、“その場で決着がつくこと”です。
家族愛を中心にしたストーリーが素晴らしいとか、アニメのクオリティが凄まじいとか、『鬼滅の刃』という作品への感想は様々ありました。
ですが、一番のポイントはそこだと思っています。
「鬼舞辻無惨を倒す」というただ一つの目標を目指して、ほとんど寄り道せずストーリーが進行していったことがウケたのだと。
『るろうに剣心』が全28巻、『スラムダンク』が全31巻、『金色のガッシュ!!』が全33巻。
私が読んで「これは名作だなー」と思った漫画は、大体が30巻かそこらなんですよね。
漫画という商品力の限界が、そこにあるのかもしれません。
余談
こういう記事を書いて、「お前が最近の漫画を読んでいないだけだろ」とか思われるのは心外なので、最近読んでいる漫画を簡単に紹介します。
一つ目は、「マンガ大賞2021」で選ばれた『葬送のフリーレン』。
1巻を読んだときは「まあまあ面白いかなー」くらいだったのですが、2巻、3巻と読んでいく内に段々面白くなっている印象です。
敵も味方も、登場するキャラクターが皆かわいいですね。むふー。
かわいい絵柄ではありますが、死生観がはっきりしているのも好印象。
二つ目は、「モーニング」で連載されている『焼いてる二人』。
ざっくり説明すると、料理×恋愛漫画といった感じです。
全体的に都合が良すぎるストーリーですが、いいんです。マンガなんだから。
私は料理するのも観るのも好きな方なので、読んでいて妙に癒されます。どうでもいいことですが、最近圧力鍋を買いました。
あとは、以前にも紹介した『アオアシ』は相変わらずアツいですね。近々発売される最新刊で、今やっている試合がいよいよ決着なので、非常に楽しみです。
もうすぐアニメ化もされます。
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【マンガ】考えなければ勝てない。サッカー漫画の革命『アオアシ』
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アニメといえば、『進撃の巨人』もアニメのファイナルシーズンが公開中で、盛り上がっていますね。
こちらもアニメに合わせて、ちょこちょこ集めています。
以上、余談でした。
紹介した作品
『ONE PIECE(100)』 著:尾田栄一郎