©文響社/水野敬也
【書評】ドラマチックな恋愛は有り得ない。
全地球上の男子に捧げる恋愛教本
「好きな人と付き合いたい」
ーという願望は、全地球上の人類の願望といっても過言ではない。
最愛の人と共に同じ時間を過ごせるというのは、何事にも耐え難い人生の幸福である。
今回の記事で解説する『LOVE理論』という本を読み、行動すれば、
貴方にもそんな至福な人生が手に入ることをお約束しよう。
「何故、俺はモテないのか?」
「何故、アイツはあんなにモテるんだ?」
「どうやったら彼女が出来るんだ?」
誰かに相談したいけど、人に話すのが恥ずかしい。
・・・そんな悩みから、そろそろ解放されようではないか。
LOVE理論とは?
今回、解説させて頂く書籍はロングセラーにもなった『夢を叶えるゾウ』シリーズで知られている、
水野敬也さんの書かれた恋愛マニュアル『LOVE理論』という作品です。
本書は恋愛体育教師:水野“愛”也という名義で活動された作品になります。
意味はよく分かりませんが、あまり気にしなくていいと思います。
著者の水野さんは、イケイケのプレイボーイという訳ではなく、むしろ真逆の経歴です。
中高を男子校で過ごし、学生時代にまともに話した異性は母親のみ。
一重瞼で、ルックスがずば抜けていい訳でもなく、オマケに包茎。
恋愛に対して、強い劣等感・コンプレックスを抱いていました。
「堀北真希や、北川景子や、AKB 48と四十八手をせずに人生を終えていいのか? そんな人生クソ喰らえだ!」
自らの恋愛コンプレックスを打ち破る為に、水野さんは凄まじい行動力を発揮します。
- 世の中に出版されている恋愛マニュアル本を200冊以上読破。
- 大学デビューを果たすために、高校時代までの友人との連絡を全員切った。
- 六本木のホストクラブでアルバイトを始める。
モテる為には、変わらなければいけない。
そう考えた著者は、半ば狂気に近い精神状態で「モテる」為に恋愛を学び続けていきます。
実践を伴った独自の研究と、試行錯誤を繰り返し、確立させたのが、
この『LOVE理論』という本です。
結論から言うと、今からお前をトム・クルーズよりモテる男に育て上げることになる。
感想
Amazon prime readingで読んでみた感想としては、めちゃくちゃ面白かったです。
水野さん自身、「誰でも楽しく読める本」という方針でこの本を作成されたとのこと。
ガチガチの固い文章ではなく、平易で、ユーモアの溢れる文体になっています。
一例を挙げると・・・
正月、実家に帰ると十兵衛(犬)は玄関先まで迎えに来てくれるのだが、たいがいウニョ(猫)は部屋で寝てたりする。
そこで、「ウニョ、帰ったぞ」と起こしにいくと、ウニョは体をビクッとさせ「お前、誰?」みたいな顔で俺を見る。場合によっては逃げる。
それから遠巻きに俺を眺めているのだが、一日ほど経つと「どうも、こいつ、家族っぽいぞ」と判断したのか、「ウニャア」とスリ寄ってくる。
ちなみに、ウニョは俺が拾ってきた猫なのである。俺は、ウニョにとって命の恩人のはずである。その恩人を忘却しているのである。
これがウニョの使うテクニック「馬鹿」である。
こんな調子です。家でハーハー笑いながら読んでいたので、電車で読むのには苦労する本だと思います。
あと、下ネタがとても多いので、その点は留意してください。とりあえず、実家の母親には勧められません。
下ネタはまあ、置いといて。こういう恋愛マニュアルのような本を読んでいると、
「必死でモテようとしていてダサい」
「こういう本を持っていること自体が恥ずかしい」
みたいな反応をする人が世の中にはいます。一つ言わせて欲しいのですが、
そんなプライドが、人生で役に立ちますか?
きっかけがなんであれ、良い人生を手に入れるために努力し、
前進できる活力になるのであれば、それでいいじゃないですか。
結果がついてくるのは、前に進む者だけです。
その意思を見せないのであれば、あなたは一生、望むものが手に入ることはありません。
とはいえ、モテるモテないに関わらず、読んでいて面白い本なので、男女問わずオススメ出来る一冊かなと思います。
著者の陰毛の写真が載っているページがあったりするので、勧める相手は選ぶ必要がありますが・・・。
作品のポイント
本書は水野さんが実践を通して得た、30以上の恋愛理論が体系的に纏められています。
膝を打つぐらいに腑に落ちるものもあれば、ふざけ倒しているとしか思えないものもありました。
大体、本書で紹介されている理論を全て実践しようとする人は、極少数でしょう。
なので、今回の記事では、この『LOVE理論』の中核となる思考。
ポイントを3つに絞り、紹介させて頂きます。
具体的な恋愛テクニック等は本を読んで学んでもらうとして、
恋愛をする上で大事だと思った思考法を、私なりに要約します。
『LOVE理論』で大事なポイントは、次の3つです。
- 恋に恋するな。
- 誠実さなんて恋愛には役に立たない。
- 恋愛は絶望する。
・・・では、順番に解説を始めていきます。
1.恋に恋するな。
これは言い換えるなら、恋愛に「ロマンチスト」な姿勢で臨むなということ。
より簡単に言えば、惚れたハレたの恋愛をしてはいけない、ということ。
『LOVE理論』では最初に恋愛の根本原理として、「執着の分散理論」を教えられます。
男性が女性に振られる理由。
それは、決して一つに絞り切れるものではありませんが、
ほとんどの男に共通している理由として、愛也先生はこう述べています。
「余裕がない」ということです。
あなたにとって、どうしようもなく好きな相手がいたとします。
その人のことを考えるだけで胸が苦しくなり、話しかけられた日には、一日中小躍りしたい気分になります。
それほど夢中になっている相手に対して、あなたはいつもの自分でいられますか?
1人の人を好きになればなるほどテンパって、会話もぎこちなくなり、告白して玉砕。
・・・そんな経験はないでしょうか?
これが、恋愛において「好きになった相手に限って振られる」という現象の構造です。
あなたがどんなに相手を想っていようと、向こうは知ったことではありません。
むしろ、ぎこちない態度が「キモっ」と思われている可能性すらあります。
恋に恋している状態
愛也先生は言います。実際の付き合うまでの期間においては、
同時に何人もの女性に狙いを定め、振られてもいい心の余裕を保っておけと。
「恋愛っていうのはたった1人の、心から好きになった女性を口説くものでしょう」
ということを言う輩には、正拳突きを叩き込むと先生は語ります。
「なにが“好き”だ」と。
お前たちが感じる「好き」なんていうのは、
ただ外見が好みの女が勘違いさせるようなちょっとした優しい態度をとったから
「もしかしたらあの女イケるんじゃねえの?」
そう思って好きになってるだけだ。
これが、いわゆる「恋に恋している」状態です。
残酷な真実ですが、一途な恋は実らないのです。
私の経験談
恥ずかしながら、私もかつてはそうでした。
学生時代の私は4〜5年間ぐらい、たった1人の相手に片想いを続けていました。
友人から背中を押され、高校卒業前に知人からLINEを聞きだし、何度かメッセージのやりとりをしました。
通っていた学校は違いましたが、期間限定のアルバイトで再会するという奇跡が起きます。
神様が与えてくれたチャンスをものにできれば良かったのですが、
私が告白するでもなく、振られるでもなく、
ただLINEをブロックされるという“拒絶”という結果に終わりました。
応援してくれた周囲の友人からも呆れられ、毎日のように弄られ、当時の私のメンタルは崩壊寸前。
その頃に発売された、奥華子の『冬花火』を自宅で何百回もリピートし、
心の傷を一人で舐め合っていました。
まあ、自業自得の結果なので、どうしようもないですね。
たった一人の女性に執着するということがどれだけ危険な行為か、お分かり頂けたでしょうか?
2.誠実さなんて恋愛には役に立たない。
こんなことを書くと、「誠実さのどこが悪いのか」と反論されそうですね。
何も、誠実であることが悪いとはいいません。
ただ、恋愛における「誠実さ」というものを、分かっていない方も多いと思います。
突然ですが、下の画像を見てください。以前、紹介した『アオアシ』という漫画の、何気ないワンシーンです。
-
【マンガ】考えなければ勝てない。サッカー漫画の革命『アオアシ』
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ヒロインの花ちゃんにモブの男2人組がナンパしますが、軽くあしらわれるという場面です。
『アオアシ』は、主人公のアシトがとにかくモテます。
サッカーのことしか頭になく、女性に対する気づかいなんて出来るようなキャラクターではないのに、やたらとモテます。
別作品だと、『スラムダンク』の流川とかもそうですね。
私はこういった作品を読んで、
「女性には気のない素振りをした方がクールに思われるのかもしれないな」
「軽そうな男は嫌われるんだな」
こういう考えを持つようになっていました。
全然、違いマース。
私たちが目指すべきはアシトや、流川ではありません。ナンパしたモブの男2人組です。
これは『LOVE理論』における、「ラブ&セックス理論」または「ガッツキ理論」に当てはまります。
「あんなの」の図(私たちが目指すべき姿)。
友達2人組でナンパしていることや、“POWER”とデカデカとプリントされた帽子は、
確かにダサいかもしれませんが・・・。
愛也先生は言います。
色々な男を見てきたが、セックスしている男はほぼ例外なくガッツいている。
ガッツいている男は、確かに男からも女性からもウザがられるでしょう。
しかし、その表面上の態度に騙されてはいけません。
ガッツかれた女性の側からすれば、内心「私ってモテるかも」と気を良くするものだからです。
例え初対面であっても、「綺麗です」とか、「好みのタイプ」ということは伝えましょう。
こういうのは言ったもん勝ちです。
女性のいう「優しさ」とは?
この話と共通していると私が思ったのが、『LOVE理論』の序盤で記載されている、
「うわっつら kindness理論」です。
どんな男性が好みですか?と質問されると、大半の女性は「優しい人」と答えます。
そして、世の中に「優しい」男性が溢れていく訳ですが・・・
残念ながら、男性の思う「優しさ」と女性が求める「優しさ」は全然違います。
『LOVE理論』では、こう説明されています。
女の言う「優しさ」とは、一言で言ってしまえば「表面上の優しさ」である。
「表面上の優しさ」というのは、例えば次のような行動です。
- 足元が危ないときに手を差し伸べる。
- 「寒くない?」と何度も聞く。
- 歩く速度、食べる速度を合わせる。
- 食事後にデザートを勧める。
- 髪型の変化に気づいて、「似合っているよ」と言う。
「綺麗だよ」、「可愛い」を相手に向けて連発するのも、「うわっつら kindness」です。
使う相手や、頻度は考える必要があるとは思いますが、
是非、これらの行動を実践していきましょう!
3.恋愛は絶望する。
実際に恋愛というのは大変です。
この『LOVE理論』の内容を実践しようとするだけでも、大変な努力が必要です。
- モテるために努力する。
- 勇気を振り絞って、気になった女性に声を掛けてみる、マッチングアプリで必死にアピールする。
- デートの約束まで漕ぎつけられたら、プランを考える。周辺のお店や、食事が出来る場所を予約する。
- デート中は常に相手に気を遣い、つまらない話にも大袈裟に反応してみせる。
そうやって、ゴリゴリに神経を擦り減らして、それでも恋愛に発展できるかは分かりません。
意中の相手と結ばれる保証はどこにもありません。
実際、私もデートをドタキャンされた経験があります。
相手から誘われていたのに、そうなったケースもありました。
そのときの、事前に予約していたお店にキャンセルの電話を入れたときほど、
人生で虚しい時間はありませんでした。
次第に、こう考えるようになります。結局、男は顔なんじゃないか?
非常な現実に対して・・・
実際、世の中には「恋愛に苦労したことがない」という人はいるでしょう。
たった一人の彼女をつくるだけでも大変な努力が必要なのに、
一方で、ジャニーズには大勢の女性が群がっている現実があります。
ずっと好きだった女性を、イケメンの友達があっさり抱いたり。
そんな悔しい思いをしたのは、私だけではないはずです。
生まれつき持っている顔・身長。ルッキズム。
こんなどうしようもない理由で、大きな有利・不利が生まれてしまうのが、
恋愛という人生ゲームです。
・・・では、諦めますか?
私たちは、そんなクソみてえな現実世界でも、
前を向いて行動を続けるしかないじゃないですか。
- 「結局、男は顔だよね」と言い切れるだけの努力はしましたか?
- モテるために、限界まで努力しましたか?
違いますよね?
その気になれば誰にでも出来るようなことすら、未だ自分は挑戦していません。
そのことに、私は気づかされました。
愛也先生も、『LOVE理論』の中で、「恋愛に打ちのめされる日は必ず来る」と語ります。
一方で、こうも言います。
恋愛にどれだけ絶望しようと、打ちのめされ、自信を失おうとも、まだ試していない方法が存在するはず。
鍛錬を続け強くなり、新たな方法を模索し、試行錯誤して、次なる恋愛にぶつけること。
これが、『LOVE理論』における「エジソン理論」です。
失敗は成功の母。10000回ダメでも、10001回目は何か違うかもしれない。
ちょっと意味は違うかもしれませんが、覚えやすくする為に「煉獄(さん)理論」と言い換えてもいいでしょう。
「無限列車編」のDVD/BD発売おめでとうございます!
恋愛するかしないかは自由
今回は『LOVE理論』という本の大事な要素を、私なりに抽出してみました。
興味を持った方は、本書を手にとっていただき、大いに笑って頂きたいと思います。
なんだかんだと書きましたが、恋愛するかどうかは本当に、個人の自由だと思います。
彼女がいるから、結婚したから幸せだと、一概に言い切れる時代でもないと思っています。
どんな生き方をしていようと、自分に誇りを持てるならそれでいいですし、
家族がいようが何だろうが、死ぬときは一人ですからね。
最後に余談ですが、「結婚」について私なりの考えを書いてみようと思います。
私の結婚観
今年で26になるので、周囲の友達が段々と結婚し始めています。
その内、親から「いい人いないのか」とか「結婚しないのか」とか言われる時期になるのだろうと思います。
というか、既に少し言われています。
私個人としては、「知ったことじゃない」という気持ちです。
現状、充分に幸せだと思っていますし、結婚していないからといって、
哀れみを覚えられる謂れは全くありません。
真剣に日々の仕事に取り組み、休日には細やかな趣味を楽しみ、
健康で生きていられている限り、それでいいじゃないですか。
まあ、若いうちに結婚しておいた方が、若くて美人な嫁さんをゲットできる確率が高いのは事実ですけどね。
その意味では、さっさと結婚しておいた方が色々と徳なのかもしれません。
せっかく『LOVE理論』という素晴らしい本を読んだことですし、学んだことは実践していきます。
「結婚しない宣言」もウザい
最近、思うようになってきているのが「結婚しない」という自身のスタンスを、
SNSなどで発信している人が増えたな、ということです。
女性起業家とか、意識の高い人たちに多いような気がします。
偏見になりますが、ああいう人たちって「結婚しないのか」と聞いてくる親族と同じくらいウゼえな、と思います。
結婚しないという主張をしたいだけの、一種のセルフブランディングでしかないと思っているので。
以上、余談でした。
紹介した書籍
『LOVE理論』 著:水野敬也