【書評】サウナの魅力、教えます。
今回の内容はずっと書きたかった記事になります。
慶應義塾大学医学部特任助教・日本サウナ学会代表理事である、加藤容崇先生の書かれた『医者が教えるサウナの教科書 ビジネスエリートはなぜ脳と体をととのえるのか』をベースに、サウナの魅力を伝えます。
何度か当ブログで書いておりますが、私は大のサウナ好きなので、いつもより熱量高めでやっていきます。サウナだけに。
ただ、「サウナに入らないとか意味が分からない」といった、マウントをとるような記事にはしないようにしますので、ご安心ください。私もまだまだ“サウナー”と呼ばれる域には達していないですからね。
では、早速始めていきましょう!
サウナ嫌いについて思うこと
私は昔から、温泉もサウナも大好きでした。なので、温泉や銭湯に来ているのに、サウナに入らない人の気持ちが全然分からないですね。
サウナが嫌いな人は、恐らくこういう理由かなと思います。
- 空気が熱苦しく、不快な気分になる。
- サウナに入っている間、スマホを持ち込めないし、何もできない。
- その後の水風呂が冷た過ぎて入れない。
- サウナから上がった後のオッサンがベンチに座り込んでいたり、寝転がっていたりでダラシない。
その気持ちも分かります。しかし、本当にそう思っている人は、もったいない。正しい入り方を知らないだけなんです。
温泉に来てサウナに入らないという人は、未だこの世に産まれてきていない様なものです。
とはいえ、私もサウナの本当の魅力に気づいたのは、つい最近です。ちょうど去年、コロナの影響で銭湯や温泉を自粛していて、年末年始の休みで1年振りにサウナに入ったら、本当にトぶくらい気持ち良かったんです。
そこからサウナに益々ハマり、正しい入り方やオススメのサウナ等を調べるようになりました。調べれば調べるほど、奥深い世界であることが分かってきます。
今では週に一度、新しいサウナに行ってみるのが最大の楽しみになっていますね。
サウナの正しい入り方
一番伝えたいことなので、最初に言っておきます。これさえ覚えて頂けたら、もう十分です。
サウナの正しい入り方、それは
サウナ ▶︎ 水風呂 ▶︎ 外気浴
覚えましたか? 本当に大事なことなので繰り返しますよ。
サウナ ▶︎ 水風呂 ▶︎ 外気浴
外気浴って何だろう・・・?と思われた方は多いかもしれません。これは銭湯に置いてある休憩ベンチやスペースに座ったり、寝転んだりする行為です。銭湯でおじさんがやっているというイメージがありますよね。
何だよ、そんなことする意味あんの?と思うかもしれませんが、この外気浴こそがサウナのピークです。ここでいわゆる「ととのい」に入ります。
恥ずかしながら、私も以前は外気浴はやっておりませんでした。サウナ→水風呂で「あぁ、気持ち良かった〜」で終わっていたんです。違う違う違う、それだけでは足りなかったんですよ。
オリエンタルラジオの藤森さんが大のサウナ好きで、相方の中田さんのYouTubeチャンネルでサウナの授業をされておりました。これが非常に上手い説明動画となっているので、是非ご覧下さい。
この動画で藤森さんは、「サウナとは水風呂であり、ベンチに座ることが一番大事な時間」と語っております。
サウナに入らない人からすると、「ちょっと何言ってるか分からない」と思うかもしれません。しかし、サウナ好きからしたら、とても良く分かります。
サウナって水風呂に入らなければ、意味がないのですよ。
とはいえ、藤森さんは長年のサウナーですので、説明する内容が結構感覚的というか、言葉通りに入ったとしても初心者には厳しいところがあります。
例えば、サウナに入る時間を10〜12分、水風呂を2〜3分と説明しているのですが、私がその通りにやっても、あまり気持ち良くなかったんですよ。
というより、むしろ自分の活動限界を超えていたので、倒れそうになりました。サウナに我慢して入るのは大変危険な行為なので、そこは藤森さん本人も「個人差があるので自分の感覚で」と仰っています。
・・・いやいや、その自分の感覚が分からないんだよ、と思いますよね?
その為に、今回紹介する本があります。『医者が教えるサウナの教科書』の内容を、私なりに纏めてみました。
本の概要
加藤先生が書かれた『医者が教えるサウナの教科書』はサウナの正しい入り方や、メリット等を体型的にまとめた本になります。本の概要をまとめると、こんな感じです。
- サウナに入ると脳疲労が回復する。
- 経営者の中にもサウナ好きは多い。
- 睡眠の質が上がるなど健康面のメリットも大きい。
- サウナの入り方、ロケーションのポイント、姿勢
私が面白いと感じたポイントは、著者の加藤先生が最近になってサウナの魅力に気づいた、サウナビギナーであるというところです。元々サウナに入る習慣はなかったようで、
水風呂なんて拷問だと思っていたし、外気浴にいたっては発想すらしませんでした。
ということを書かれております。
2018年の秋に、サウナに関するラジオ番組で“サウナー”として有名な方々と交流する機会があり、直々にレクチャーを受けたところ、「ととのい」の状態に入り、サウナの魅力に目覚めたそうです。
今では日本サウナ学会代表理事を務めているのですから、驚きですよね。
本の内容としては、大変読み易く、勉強になるところは多かったです。医学的な視点で、「こういう風にサウナに入ったらいい」ということが分かるので、サウナ好きの方や、そうでない人にも読んで欲しい内容でした。
ただ、記載されているサウナに入ることのメリットには、「推測が多い」というところは気になりました。そこは加藤先生自身も、今後も研究を重ねてメカニズムを解明する、という旨を記載しております。
サウナの入り方
サウナに入ってから、出るまでの目安ですが、これは時間ではなく脈拍を基準に判断することを推奨しています。著者の加藤先生は平常時の2倍になったら出るようにしているそう。これは、軽いジョギングをしたときと同程度の負荷です。
まあ、ぶっちゃけ脈拍を測りながらサウナに入るのは面倒臭いです。私はそんなことやっていません。
その他の目安としては、背中の中心が温まってきたときが良いとのこと。深部体温が上がったという証拠になるからです。
更に、サウナ室での姿勢は「あぐら」か「体育座り」がオススメとのこと。全身を温める為には、体の高低差をなくした方が良いので。
ベストは「横たわる」ことと記載されていましたが、そういうスペースがあるサウナは珍しいですし、他の人が使用した後のスペースに寝っ転がるの、嫌じゃね?
ということで、私は基本的に「あぐら」を採用しています。
水風呂の入り方
水風呂は慣れてない人からすると、「冷たすぎ!無理無理!」となるかもしれませんが、心身をととのえる為には水風呂は必須。ぬるい水のシャワー等で、体を慣らしてから浸かるようにしましょう。
サウナ好きの私でも、水風呂に入った瞬間はキツいです。しかし、30秒程耐えれば、体の周りに熱を持った「羽衣」ができて、冷たさに適応し始めます。サウナ慣れしている人なら、10秒程度で羽衣を錬成することができます。
いや、羽衣って何?と思われるかもしれませんが、「羽衣」としか言いようがありません。
サウナー界隈では業界用語で使われている言葉で、本書にも記載されています。実際に体験してみてください。
水風呂を出る目安は、脈拍が平常時に戻ったタイミング、時間にすると1分程度とのことでした。サウナーによっては2〜3分入ることもあるようですが、常人は真似しない方が無難ですね。
あと、大きく息を吐きながら入ると、心臓への負荷が軽減されて、入りやすくなるとのことです。
余談ですが、「羽衣」は水流によって分解されるので、水風呂に先客がいる場合は、なるべくソッと静かに入ってください。これはマジでお願いします。
このように、医学的な観点から、目安はこれくらいという記述をされておりましたが、結局のところ、自分にとって気持ちの良い入り方をするのがベストという主張でした。
週に何度もサウナに行くようなサウナーでも、その日の体調や都合によって、入る時間を決めている様なので、自分に合ったスタイルで楽しめばいいと思います。
例えば、健康の為にはドライサウナではなく湿度の高いものや、ミストサウナを本書では推奨しています。が、私はドライサウナの方が好きですね。その方が「ととのい」に入りやすくなります。
サウナに入るメリット
皆さんが一番知りたいポイントは、「サウナに入ることで得られる恩恵は何か」といったことですよね。
シンプルにいえば、めちゃくちゃ気持ちいいから、ですね。それ以外にサウナに入る理由は要らないですよ、正直なところ。
ただ、『医者が教えるサウナの教科書』を読んで、最も腑に落ちたポイントがあります。それは先述した「脳疲労が回復する」ということです。スイッチが切り替わり、余計なことを考えなくて済む、というのが大きいですね。
本書でもオススメする最大の理由として、最初に記述されております。サウナは全ての健康法の中で、最も効率的に、そして瞬時に脳と体をコンディショニングできるのです。
仕事の負荷が高い時期だと、
- 帰宅して寝ようとしても中々寝付けない
- 休みの日でも締め切りの書類のことを考えてしまう
そういう経験は社会人なら一度はあるでしょう。
時には休まないと、パフォーマンスが悪くなることは分かっているけれど、どうしても余計なことを考えてしまいます。それを解決するには、脳のスイッチを強制的に“オフ”にすることが大事。
その為の方法として、マインドフルネス瞑想やら適度な運動等あります。私もやってはいますが、正直簡単ではないです。
瞑想・マインドフルネスといったものは長年の修行が必要で、習熟度によって効果が大きく左右されるものですから。
その点、サウナはしっかりと手順を守って入れば、誰でも自動的に心身がととのいます。
理由は、サウナがめちゃくちゃ熱いし、水風呂がキンキンに冷えているので、余計なことを考えなくなるからです。環境に適応することだけに、人体が集中し始めるんですね。
そして、最後に外気浴を行うことで、ようやく生命の安全域に入ったと判断し、「ととのう」ことができます。
脳のエネルギーの浪費が止まって、サクサクと動けるようになります。また、肉体も血流が増加することで、軽やかになります。
多忙なビジネスマンにとっては、これ以上はないという位に、絶好のリセット方法ですね。
「ととのう」とは?
先ほどから何度も使っている「ととのう」という表現、これもサウナー用語の一つで、「サウナ後の心身ともに非常に調子が良い状態」を指します。
本書の中では、こういう説明があります。“全体としてはリラックスしているのに、必要な部分だけ上がっているイメージ”と。サウナ直後のトリップ感だけが「ととのう」ではなく、心身が自動的にコンディショニングされることを捉えて、「ととのう」という状態です。
これも感覚としては、人によってまちまちですね。私の場合は、
ー心臓の鼓動が聴こえて、指先の一本一本、末端部に血管が広がっていくような感覚。自分自身の潜在意識に没入したかのような、圧倒的多幸感に包まれた状態ー
に入ったとき、「ととのった」と感じます。マジで宇宙を感じます。
あと、物事を前向きに捉えられるようになる、という点も挙げたいです。
私は先々月に会社の面談を上司と行い、自分のやっている仕事に関して、結構突っ込まれたんですね。取り組んでいるプロジェクトが割と特殊な環境なので、説明しにくいところはあったのですが、事実を述べても「意味が分からない」と言われてしまい、「どうすりゃいいんだよ!」という気持ちになりました。
結構、自分にとっては自信をなくす出来事でした。その後、また上司と話し合う機会があって、今は別に険悪な状態にはなっていないですが。
その時にサウナに入ると、一旦気持ちがリセットされて、「じゃあ、どうしていこうか」と考える余裕が自分の中に生まれました。
何が言いたいかというと、うじうじ悩む暇があるなら、とにかくサウナに入れ!ってことです。軽い鬱状態になっても、回復できるポテンシャルがサウナにはあると思っています。
私の入り方
このやり方が決して正しいとはいえませんし、絶対の法則とかではありません。あくまで一例として、私の入り方・流れを簡単にまとめます。
サウナの楽しみ方(筆者の場合)
1.先ずは体や髪をしっかりと洗い、湯船にゆっくりと浸かる。日によって変わるが、大体5〜10分くらい。湯船の無い、完全にサウナだけの施設の場合は、シャワーでしっかりと体の汚れを落とす。
2.体が温まってきたら湯船から上がり、体をしっかりと拭く(重要)。
3.1セット目のサウナに入る。入る時間は体調にも依るが、大体10分前後。空いていれば、ロケーションにも拘る。
- できるだけ早く熱くなりたいので、高い位置を選ぶ。出入り口から離れているとベスト。
- ヒーターの前は乾燥しやすいので、できれば避ける。
- サウナに集中する為に、テレビからは離れる。テレビは置いていないサウナの方が好き。
4.サウナから上がったら、かけ湯やシャワーでしっかりと汗を流す(重要)。
5.水風呂に入る。出るタイミングは感覚で、意識がパッキリと目覚めてきた時に。私の場合はおよそ1〜2分。
6.水風呂を出た後は、かけ湯で濡らしたタオルを絞り、体をしっかりと拭く(重要)。
7.休憩スペースに腰掛ける。事前にお湯や水を掛けて、清潔にしておく。足元が冷えるのを防ぐために、床・地面には熱いお湯をかける。
8.休憩。そのうち意識が宇宙に行く。大体5〜10分ぼーっとする。
9.外気浴が終わったら、使用した場所にお湯を掛ける。その後は、また入浴・シャワーに行くか、直ぐに2セット目のサウナに行く。
10.3〜8の流れを3セット繰り返したら、終了。
私の場合、サウナに入ろうと思ったら2〜3時間は掛かります。一般的なサウナーは皆そうなんです。時間がないときは、1セットで終了することもありますが。
まとめ
サウナの魅力に気づくと、「これが本当に合法?」と思うくらいに気持ちいいですし、私もハマり出してからは、「今週はどこのサウナに行こうか」とサウナが人生の最大の楽しみになりました。
サウナハットといったグッズや、サウナに関する書籍を購入するようになって、最近では幻冬社の箕輪さんがつくった「サウナランド」という雑誌も注文しました。とても良かったです。
何かに熱中できる時間というのは、とても幸せなものですね。
だからこそ、自戒の意味を込めて、「マウントをとらないようにする」というのは、私が気をつけているポイントです。「好き」を拗らせるとやりがちなのは
「これを知らないとか有り得ない」
「人生損している」
と、他の人にマウントをとる様になります。
こういう態度は、本人からすると楽しいことかも知れませんが、周りから見れば「うぜえ」以外の感想が出てきませんよね。
本書でも、サウナで過剰な刺激を得ようとすると、「サウナ依存症」になることがあるという記載がありました。私は大分、依存症になりかけている気がします。もう手遅れかもしれません。
何か一つを好きになるというのは素晴らしいことですが、同時に危うくもあります。それが無くなったら、どうするのか?という事態になりかねません。
そういう意味では、「依存先を複数用意しておく」というのが、人生において良い選択かなと思っています。恋愛と同じで、一つのものに拗らせるとメンヘラになってしまうので、気をつけていきましょう。
紹介した本
『医者が教えるサウナの教科書――ビジネスエリートはなぜ脳と体をサウナでととのえるのか?』
著:加藤容崇