©クラーケンコミックス/雷句誠
【コラム】ファン歴20年の決定版! 『金色のガッシュ!!』の名シーンセレクト
前回予告していた通り、今回は『金色のガッシュ!!』名場面ランキングをやりマス!
『金色のガッシュ!!』の作品全体を紹介した、というより、
私が好き勝手に語った記事のリンクは下に貼っておきます。
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【マンガ】平成を代表する最高のバディ作品『金色のガッシュ!!』
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今回の記事について
当ブログは書評だったり、エンタメ作品の紹介だったりをしています。
それは、自分の学びであると同時に、読んでくださっている皆さんの役に立てれば、
という思いで記事を書いています。
しかし、今回の記事は私の主観によるランキングです。どこに需要があるのか全く分かりません。
ブログのコンセプトからは思いっきり外れていると思います。
それでも、こういった記事を書こうと思ったのは、私が書きたかったからです。
人生の役に立つとか完全無視。趣味100%の、自分1人で満足したいが為に書いた記事になります。
そもそも世の中にあるランキングとか、個人的に意味ないと思っているくらいです。
そういった記事を書いたこともあります。
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【雑談】レビューなんて何の役にも立たない。観察眼を磨く方法論。
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普段の私なら絶対に書かないテーマですが、
『金色のガッシュ!!』20周年を記念して、私なりの感謝を込めて書きました。
記事を書くにあたって、改めてガッシュを全巻読み直しました。
まあ正直なところ、全然絞り切れなかった。
分かってはいたのですが、名場面が多すぎて大変でした。
書き始めたことを半ば後悔するくらい、真剣に悩みました。
どういった基準で選ぶかも迷いました。
あまりに有名なシーンばかりだと面白くない、という葛藤もありましたが、
単純に自分の胸がアツくなったシーンから、セレクトすることにしました。
また、最初は10個のランキングにしようと考えたのですが、
それだと記事が長くなり過ぎてしまうので、5つに絞りました。
その分、一つ一つの紹介の密度を濃くしようと思います。
作品を知っている方々からすれば、
「何でこれが入っていないんだ」という文句があるかと思いますが、
だからこそ面白いのではないかと思います。
では、スタートです!
第5位:病院でのコンサート(LEVEL.53 大切な用)
コミックス(5)〜(6)巻で描かれた「イギリス編」を締め括るエピソードから第5位を選びました。
いきなり魔物の戦いに関係ないシーンで申し訳ありませんが、好きなんだから仕方ない。
フォルゴレというキャラクターの見方が変わる、名場面です。
主人公:清麿の父との再会の為、イギリスを訪れていたガッシュ・清麿。
そこで偶然にも、変身能力を持つ魔物:キャンチョメと再会します。
このキャンチョメとフォルゴレのペア、ガッシュにおける屈指のコメディペアです。
彼のベストセラーとなったCDのタイトルが「チチをもげ!」ですからね。
「もめ!」じゃなく「もげ!」なところに作者の拘りを感じますね。
・・・と、面白い奴らなのですが、そんなフォルゴレが自身のコンサート直前に姿を消したとのこと。
行方を追ってたどり着いたのは、とある病院でした。
いなくなった理由
「今日は私に手紙をくれたお姫様のための独占コンサートだ」
フォルゴレがいなくなった理由は、秘密裏にファンの子供たちへのお見舞いに行くことでした。
この背中越しに清麿と会話するシーンに、当時は憧れたものです。
完全版が発売され、自分が大人になったとき、ガッシュを読み返して思ったことは、
「マジで、フォルゴレは漢だな」という感想でした。
ただの馬鹿キャラクターではなく、不意に見せるキメ顔や、身を呈して仲間を守るシーンが数多く描かれています。
最終章であるクリア編で、残念ながらキャンチョメは退場となりました。
しかし、そこまで読んでいると上記のセリフ「キャンチョメは守り通す!」という台詞も深みが出てきます。
彼は最後の最後まで、キャンチョメの目指すヒーローであり続けました。
「私はいつだってカバさんだった。」
「私の姿はキャンチョメの目にはカッコ悪く映っていたかい?」
第4位:アルベール覚醒(LEVEL.155 第七の術)
コミックス(17)巻。ガッシュが新呪文:ザグルゼムを発現させた回であり、
石板魔物との戦いの最終局面から、第4位を選びました。
この章は、「人間と魔物の絆」に焦点を当てたエピソードです。
石板から復活した千年前の魔物たちは、基本的にはペアを組む人間たちのことを、
「都合の良い道具」と認識しています。
その中で唯一、「レイラ」という女の子だけはペアとなった人間:アルベールと、
本当の意味でパートナーになろうとしていました。
石板魔物を従えるゾフィスから反旗を翻し、ガッシュ達を助けてくれた彼女でしたが、
それでも石化の恐怖には勝てず、闇に堕ちてしまいます。
そんな彼女の手を握り、掬い上げてくれたのは、清麿でもガッシュでもなく、
意識の無いはずのアルベールでした。
今度は、私があなたを助ける番
真の意味で「石の呪縛」から解放されたレイラは、今度は自分がパートナーを救うため、
ガッシュたちと共に、最強の石板魔物:デモルトに挑みます。
化け物染みたデモルトの強さに、何度も追い詰められるガッシュ達でしたが、
何とか精神操作の装置を破壊することに成功します。
精神操作で操られていた人間たちは、作中ずっと白目で描かれていましたが、
ここで遂にアルベールの目に光が戻ります。読者全員が「勝ったな」と思った瞬間です。
本物のパートナーを得た、レイラの本当の力は、完全にデモルトを押さえ込む程に強いものでした。
レイラはこの「石板魔物編」のみ登場となるキャラクターですが、
物語全体においても存在感がとても大きいですね。
レイラ&アルベールを作中のベストコンビとするファンも少なくないです。
この「石板魔物編」の後に登場するキャラクターにもいえることですが、
作中で強いコンビは仲間だろうと敵だろうと、パートナーとの確かな絆があるんです。
そのことが一番明確に描かれているシーンだと思ったので、第4位に選びました。
第3位:あなたは私の誇りです。(LEVEL.253 その声の主は・・・)
作中屈指の人気を誇る、ファウード編の山場であるコミックス(26)巻。
超巨大魔物:ファウードを操るゼオンの待つ、コントロールルームでの戦いから、
第3位がランクイン。
ここは何といってもガッシュVSゼオンがメインであり、作中屈指の名バトルであることは私も重々承知です。
ですが、その前哨戦となるロデュウ・ジェデュンとの戦いも素晴らしかった。
モモンは、ファウード編から登場した魔物になりますが、
それまで一度も他の魔物と戦っていない異色のキャラクターでした。
ファウードには半ば強制的に清麿に連れて来られたようなもので、戦い自体に参加したくなかった。
最初は、ロデュウとジェデュンの強さに怯えることしかできませんでしたが、
パートナーのシスター・エルからの言葉を受けて、前に進むようになります。
自分が戦わなければ、世界が滅んでしまう。
怖い、怖くないなんて関係ない。
もう大丈夫!! もう前を向ける!!
覚悟を決めたモモンは本当に強く、自身の探知能力・行動妨害呪文をフル活用して、
ロデュウ・ジェデュン二人を完全に手玉にとります。
しかし、後一歩のところでパートナーのシスターを狙われ、自分の本を燃やされてしまいます。
ここでシスターを見捨てていれば勝てたかもしれませんが、
それができなかったことが、モモンのキャラクター性を良く表していると思います。
世界よりも、たった一人の大切な人の方を選んだ。
シスターを救った後にモモンは自分を責めますが、誰もモモンの行動を否定することは出来ないと思います。
結果的には、たった一人で清麿が到着するまでの時間を稼ぐことに成功しました。
パートナーのシスターからは「最後まで人を傷つける呪文を覚えなかった」という最大の賛辞を受け、
満足して魔界へと帰っていきます。
最初はシスターのブラを盗んだり、ティオのスカートを捲ったりしていたクソ猿が、
こんなに泣かせてくれるキャラクターになるとは、当時は思いもしませんでした。
やっぱガッシュすげーわ。
この次の話のタイトルが、「モモンの信じた人達」というのもいいんですよね。
漫画史上でもトップクラスの覚醒シーンだと思っています。
私が読んできた漫画の中でも、最高のカタルシスでした。
ランク外:本当は入れたかった名場面
第2位・第1位の紹介の前に、個人的にはここも紹介したかった、という場面を2つほど簡単に解説します。
ボンジュール、ゾフィス
石板四天王:パムーンとの死闘の末。
体力も限界、呪文も使えないという状況で、残っていた千年前の魔物が集結した場面。
怒りを原動力に奮闘するガッシュでしたが、いよいよ限界を迎えます。
もう終わりだ・・・と思った瞬間、ブラゴ・シェリーペアが満を持して参戦!
たった一体の魔物と人間相手に、生き残った千年前の魔物が一掃されます。
ブラゴも凄まじいのですが、この辺りからシェリーの戦闘力も人間離れし始めます。
何なら、そこらの魔物より強いまである。
初級呪文を織り交ぜながら集団の敵を撹乱した後、皆大好き、「バベルガ・グラビドン」初登場からのこれです。
コミックス(15)では、この場面で引きでした。アツすぎ。
この場面もいいのですが、コミックス(15)巻は他に印象的な場面が多すぎて、一番印象に残っている巻ですね。
看護師になったチータ
最終章となるクリア編では、最終決戦の前にかつて戦った魔物のパートナーのその後が少し描かれました。
その中で、全読者が喜んだ場面がこちら。
このページの、最下段の真ん中にいる、看護師の女の子。
彼女は、先述したロデュウのパートナーだった「チータ」というキャラクターです。
登場当初は不気味なマスクを着けていて、いかにも敵というビジュアルだったのですが、
実は片目に傷を負っており、その所為で周囲から差別を受けるなど、
辛い生活を送っていたことがファウード編の終盤で明かされます。
ずっと不自由な人生を送っていた彼女でしたが、
パートナー:ロデュウがどんな状態になっても自分の意思で戦う姿、
最後に残した「強く生きろ」という言葉を受けて、ようやく救われます。
その後、ロデュウの言葉通りに歩んでいることが明らかになったのが、上記のワンシーンです。
マスクを外し、薄く微笑んでいる姿がいいですね。
少々、マニアックすぎるかもしれませんが、どうしても紹介したかった。
感情的だけど感情に流されないロデュウと、合理的な思考でサポートするチータのコンビは、
敵だけどかなり好きなペアでした。
アウトロー×不良少女風のビジュアルも魅力的ですしね。
後は、パムーン戦でガッシュがペンダラム・ファルガを生身で受け止めるシーンとか、
アースとエリーの別れのシーンとか、ティオの「また・・・明日」とか紹介したいのですが、
さすがにキリがないので、この辺りで止めておきましょう。
では、お待たせしました。ランキングに戻ります。
第2位:お前がパートナーで俺は幸せだった。(LEVEL.321 最後の戦い)
今、週一で小学校時代からの友人と、オンラインのミーティングをやっているのですが、
ふとガッシュの話題になり、「最推しペアは誰?」と聞かれました。
一晩考えた結果、私の中ではこのペアという結論になりました。
ガッシュ・清麿ペアのライバル、ブラゴ・シェリーペアです。
その2人の、最後の場面が第2位になります。
クリア・ノートとの死闘を終えて、魔界の王を決める100名の魔物の子の戦いも、
ガッシュとブラゴの2名だけになります。
魔界の王を決める、最後の一騎打ちが始まりました。
魔界の王を決める最後の戦い
両者の実力は完全に伯仲しており、「絶対に相棒を王にする」という、
決して譲れない思いのぶつかり合い。
そして、決着が訪れます。
王族の力に目覚め、アンサートーカーの力を駆使するガッシュと清麿を相手に、
ブラゴ・シェリーはわずかに押され始めていました。
しかし、自分を何度も救ってくれた、戦いに巻き込まれてしまった親友も救ってくれた、
そんなブラゴを負けさせるわけにはいかない。足手まといになるわけにはいかない。
「私の命にかえてもあなたを王にする!!!」
「必ず・・・必ず!!!」
互いの最大呪文のぶつかり合い。
ブラゴが最後に放った「シン・バベルガ・グラビドン」は、ガッシュの「バオウ・ザケルガ」に敗れました。
苦痛の表情で涙を流すシェリー。
ブラゴは彼女の手を握り、「よくやった・・・」と言います。
物語の前半、「何故この戦いは、こんなに弱い人間と組まねばならん・・・」と零していたブラゴ。
彼に守られながら、魔物に負けないように強くなっていくシェリー。
そんなシェリーに対して、ブラゴが最後に伝えたのは、パートナーへの純粋な感謝の言葉でした。
シェリーがいなければ、自分はここまで来れなかったという、真っ直ぐなブラゴの思い。
シェリーが声にならない叫び声を上げながら、ブラゴの本が燃えていくシーンは、
・・・何度読み直しても本当に言葉が出てこないですね。
この後、1位を紹介するのですが、1位も2位も私の中ではほとんど差はなかったです。
最高の名場面でした。
第1位:ミコルオ・マ・…ゼガルガ…(LEVEL.136 僕の王様)
第1位は、紹介するのも恥ずかしいくらいでしたが、紹介せざるを得ません。
『金色のガッシュ!!』を読んだ、ほとんどの読者が涙したであろう、
キッドとナゾナゾ博士の別れの場面です。
ガッシュの仲間となったキャラの中では、一番最初に退場する魔物となりました。
「石板魔物編」の中盤、敵の根城に侵入したガッシュチームは分断され、
それぞれ強力な千年前の魔物と戦うことになります。
キッドとキャンチョメは「ベルギム・E・O」という、
“常にイスに座っているエジプト風の仮面を被った巨大なガイコツ”という、
独特すぎるビジュアルの敵と対峙します。
このベルギム、意外にも愉快なネタキャラだったので、
こいつとの戦いで仲間を失うことはないだろうと、鷹を括っていました。
勝利に導いた戦士
しかしながら、ベルギムの実力は本物。
キッド・キャンチョメには敵の攻撃を防ぐ術がありません。
動けなくなった博士に、トドメの一撃が放たれます。
体を張って博士を庇ったキッドでしたが、博士の本に火がつき始めます。
キッドの退場が確定された瞬間でした。
ボロボロになりながら、呪文なしでキッドはベルギムに立ち向かいます。
そして、博士の側にはキッドの心の姿が現れ、感謝の言葉を直接語りかけていました。
「いつも僕と遊んでくれた博士、いつも僕を笑わせてくれた博士、博士と一緒にいるだけで楽しかった・・・」
「僕の王様は・・・ナゾナゾ博士なんだ!!!」
戦いを通じて成長し、憧れの博士のようになれた自分は、王様になることができた。
そして、燃えかけの本を握りしめたまま、博士は最後の呪文を唱えます。
有名なシーンだから一位にしたくないみたいな気持ちが最後までありましたが、
・・・選ばざるを得ないでしょう、これは。
正直な感想を言います。泣きました。
主人公ではない、味方の内の1人が退場するシーンで、こんなに胸がアツくなったことは今までなかった。
この場面だけは、電車の中では読めません。本当に。
総括
今回、ガッシュの名場面を決めるという企画をやった感想ですが、正直疲れましたね。
こんなに大変だとは思いませんでした。
でも、本当に楽しかったです。
『金色のガッシュ!!』を自分の言葉で初めてまとめてみて、
改めて作品に対する自分の思いや、魅力を再確認することができました。
ランキングの中に、主人公の場面が一つも入っていないのですが、
決してガッシュ・清麿ペアに魅力がない訳ではありません。
『金色のガッシュ!!』は皆が主人公の漫画なんです。
ここまで全員のキャラが立っている漫画は、中々ないのではないでしょうか。
今回の記事を読んで、「興味を持った」、「面白かった」と思ってくれた方は、是非、読んで欲しいです。
この作品のファンが一人でも増えることが、一番嬉しく思います。
番外編:好きな呪文TOP5
作中に登場した全呪文の中から、個人的に好きな呪文もランキングにしてみました。完全におまけです。
第5位:オルゴ・ファルゼルク
(理由:全体的にオシャレな術が多いパムーンの中でも、最強にオシャレな呪文。
ガッシュとウマゴンを同時にふっ飛ばしたときは「こいつマジかよ・・・」と思った。)
第4位:シン・フェイウルク
(理由:移動速度を上げる「ウルク系」の呪文で最強呪文というのが当時衝撃だった。
これをモロに喰らってほぼ身体が真っ二つになっているのに、
なお生きていたクリアは化物としか言いようがない。)
第3位:ジオウ・レンズ・ザケルガ
(理由:「バオウ・ザケルガ」を除くと、ガッシュ本来の最大呪文。
出番は本当にラストバトルからだったが、ブラゴとのコンビプレーがアツい。)
第2位:アラドム・ゴウゾニス
(理由:バリー強え! というのが一発で分かるシーン。
呪文の法則も他に無い組み合わせで、カッコ良すぎ。
バリーの退場シーンもランキングに入れたかったよ・・・。)
第1位:バベルガ・グラビドン
(理由:もはや説明不要ですね。)
紹介した作品
『金色のガッシュ!!』 著:雷句誠