©KADOKAWA/八木仁平
【書評】「自分探しの旅」終了のお知らせ。
終わらない自己分析に悩める人へ
コロナによる世間の情勢変化や、あるいは自分をもっと成長させたいという考えから、
私の周りには実際に転職活動を行っている方が多いです。
先週、主任と帰りが一緒になったときに、ちょうどそういう話になりました。
私は以前から「転職しよう」と思っていて、今年の4〜6月頃は実際に某企業にカジュアル面談などやって頂きました。
そういうこともあり、主任から転職の意思はあるか?ということを尋ねられたときに、
「選択肢の一つとしてあります」と答えました。
今の会社、というより今の上司は「転職は全然あり」という考えなので、
転職サイトの紹介や、実際に求人のある企業等を教えてくれます。
もちろん、会社に残って欲しいという思いはあるでしょうが、
会社よりも個人の人生ありき、と捉えてくれているので、ものすごく有り難いですね。
そんな訳で、最近の私はブログの他に、個人のスキルを高めること(今はタイピング練習)や、
自己理解を再び行っているのです。
そして、以前に転職活動を行っていたときには、目指す業界を絞っていたので、あまり悩まずに済んだのですが、
一度転職活動が白紙に戻ったことで、再びこのような問いと向き合わなければいけなくなりました。
- 自分の好きなことが何なのか分からない。
- 何をやったらいいのか分からない。
自己分析について思うこと
これは自分のことなので、誰かに聞いたって分かるものではありませんし、正解はない。
また、いろいろな考え方もできる問いです。
例えば、「正解を選ぶのではなく、選んだ道を正解にすればいい」という“開き直り”もできます。
逆に「好きなことをやっていなければ、結局長続きはしない」という意見もあるでしょう。
例えば、以前の記事で紹介したファッション業界のカリスマ、
MBさんは「好きなことは仕事にできる」と自分のブログやyoutubeで何度も発信しています。
そのための方法とは、「考える」こと。
“ながら”ではなく、机に向かって毎日一時間、本気で考えるということをやる。
1ヶ月も続けていたら、自分の好きなことの一つ二つくらい、絶対に見つかるはずだと。
このことは本人が飽きるくらいに繰り返している言葉です。
彼はその方法で好きなことを仕事にして、彼にとって最高の人生を謳歌しています。
一方で、「好きなことを見つける必要なんて無い」という意見はどうでしょう。
以前紹介した『転職の思考法』という本では、そういう主張をしています。
ほとんどの人にとって心からやりたいことは不要なもの、仕事そのものを愛している人間なんて世の中に1%もいない。
市場価値を高めていけば、それが後々自分にとっての天職になるということが書かれた本です。
この本、マジでオススメなので是非読んでみてください。
「俺はもう運命の仕事に就いているよ」っていう人も、キャリアの参考になりますし、
凄く良いことが書かれていますので。
-
【要約】あなたに天職は存在しない。好きな仕事がなくてもいい。『転職の思考法』
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私の考えはどちらかというと、この『転職の思考法』で書かれていることが正しいと思っています。
「やりたいことだけを仕事にしている」という人の多くが、
最初は特に大きな理由もなく始めたことに、気がついたら夢中になっていたというパターンじゃないでしょうか。
要するに、成功ストーリーは後付けだということです。
ならば、MBさんの言うことは間違っているのでしょうか。それは違いますよね。
彼は“考え続けて”やりたいことを仕事にしているわけですから。
好きなことを仕事にできるか?
自分にとって「好きなものは何か?」を考え続ければ、いつか本当に見つかるかもしれません。
ただし、そんなものが絶対に見つけられる保証はありません。
間違ってはいないかもしれないけど、万人がそのやり方で上手くいくわけではない。
何故、そう言い切れるのか?
私は実際にやったからです、“好きなこと探し”を。
一ヶ月とは言いませんが、休日に図書館に引きこもって自分が好きなもの、
夢中になっていたことを洗い出しました。
それを全てこのブログで紹介はできませんが、一部を抜粋します。
●私の好きなもの:
- 読書して自分の価値観を磨くこと。
- 温泉。サウナ。
- 掃除。
- 料理。
- 漫画。
- 家でお酒を飲みながら映画を見る。
- ピアノの演奏を聴く。
- オーケストラを鑑賞する。
- ゲームのサントラを聴く。
- 好きなイラストを見る。
- etc.
そこから得られた結論は、どうやって仕事にすんねん?というものでした。
人生で関わることはできるだろうけど、
これでどうやって食っていくことができるんだという気持ちにしかなれませんでした。
あくまで趣味の範囲で好きなことであり、仕事として、プロレベルに昇華する気はなかったからです。
色々な自己啓発本を読んで、好きなものを見つける方法を何回か試してみましたけど、
そんな簡単に見つかる訳がないんです。
私はもう、終わりのない自分探しに疲れました。
そんなときにこの『世界一やさしい「やりたいこと」の見つけ方』を、半ば諦め状態で読みました。
読んだ時点では、全然乗り気ではなかったのですが、もの凄く良かったです。
この本で提示される自己理解の方法は、とても腑に落ちるものでした。
内容
まず、超読みやすいです。タイトルに“世界一やさしい”ってありますから、
これで理解できなかったら嘘ですね。
内容が簡単ですし、文字が大きくて1P辺りの文字数が少ないです。
東進ハイスクールの林修先生が、昔テレビで「最近の本は全て離乳食みたい」ということを仰っていました。
離乳食、つまり内容が薄く、徹底して“読みやすさ”を重視したものしか売れない時代になっていて、
難しい本を敬遠されるようになってきているのが悲しいと。
言っていることはとても分かります。
私も読書家を名乗るからには、昔の名著などを読むべきだと思っています。
ただ、やっぱり敷居が高いんですよ。
『人を動かす』とか『思考は現実化する』とか過去の名著に挑戦して、
何とか読み終えた本もあるのですが、中身が重厚すぎて、多分3%も理解できていないですね。
『思考は現実化する』の内容を完全に自分のものにするために、
噛み砕いて理解しようと思ったら、マジで1年はかかると思います。
全く本を読んでいない人が読むには、ヘビー過ぎます。
胃もたれ、胸焼けまっしぐらです。
だから、林先生には悪いんですけど、私は積極的に離乳食をオススメしたいと思います。
名著に挑戦するのはその後でいいんです。
頑張って読み切っても、自分の行動が変わらないのであれば、全く意味がありませんからね。
本書のスタンスは、私のような人生に悩める子羊(?)に、寄り添って書かれています。
著者の八木さんも、昔は自分のやりたいことが分からず、
ベッドに寝転んではyoutubeを再生し続ける日々を送っていたのだそうです。
人間、やることがないと自堕落な生活になってしまいますね。
そんな時期があったからこそ、「やりたいことが分からない」という人の気持ちが良く分かっていらっしゃいます。
その上で、いつまでも自分のやりたいことが見つからない人に対して、
「2つの悪循環にハマる」と警告しています。
- 仕事がストレスになるので、ストレス発散にお金を使ってしまう。
- 仕事に興味がないため、他の娯楽で無限に時間を奪われる上に、いつまでも成長しない。
仕事にはある程度ストレスがかかるものなので、悪循環とは一概に言えないことかもしれませんが、
それでも多くの方に当てはまる内容であると思います。
そうならないために、やりたいことを見つけ出して、「成長し続ける」無限ループに入ることが、
本書の目的になります。
構成
本書の構成は以下のようになっております。
Chapter1:5つの勘違い
Chapter2:なぜ迷い続けるのか。
Chapter3:自己理解メソッド
Chapter4:大事なことの見つけ方
Chapter5:得意なことの見つけ方
Chapter6:好きなことの見つけ方
Chapter7:本当の自分を生きる
Chapter8:自己理解の魔法
自分のやりたいことの見つけ方としては、Chapter3〜6までの内容になりますので、
そこを読んで頂ければ大丈夫です。
この記事では、個人的に特に大事だなと思ったことだけ紹介しますので、
気になった方は読んでみて下さい。そんなに高い本ではありません。
とにかく行動だ!は間違い。
私はいろんなところで、「行動すること」の大切さを人から言われてきました。
時にはセミナーだったり、youtubeだったり、本だったり。
この意見に対しては、実際、そうなんだろうなと思っていました。
世の中の“成功者”と言われる人のほとんどが言っているのですから、
疑いの余地も持っておりませんでした。
「やりたいことが見つからないなら、とにかく行動するしかないよ」と。
筆者はこのアプローチの仕方を、間違っていると断言しています。
何故なら、やりたいことが分からない原因は「選択肢が多すぎること」だからです。
今はSNSが発達しているので、本当に多くの方が、いろんな情報を毎日発信しています。
このブログも、その一つです。
そんな社会で、何でもかんでもやってみるのは非効率だということです。
却って、やりたいことが益々分からなくなる可能性もあります。
重要なことは、やりたいことは「自分の中」にしかなく、実現手段は「社会の中」にあるという考え方です。
社会の中からやりたいことを探すのは、ナンセンスってことですね。
更に危険なこととして、「どれが一番メリットがあるのか」という考え方で判断する方法を挙げています。
時代の変化は早いので、今メリットがあると考えられる選択肢が5年後、10年後にどうなっているかは分かりません。
目先の利益を追うのではなく、あくまでも自分がどうしたいか?という基準を持つこと。
それが大事です。
どうするのが正解なんだろうか?という正解主義的思考では、絶対にやりたいことは見つけられません。
世の中の仕事全てにメリット・デメリットは存在するし、時代によって状況が変わるからです。
ただ、私は「とりあえずやってみよう」の精神で、ノータイムで挑戦できる人は最強だと思っています。
だって、やってみないと自分に合っているかどうかなんて分からないですからね。
やりたいことを見つける方程式
自分のやりたいことを見つける方法。それは次の法則によって導き出すことができます。
大事なこと×得意なこと×好きなこと=自分が本当にやりたいこと
大事なこと:何のために働くのか、に対する自分の答え
得意なこと:自然と人より上手くできて、心地よく行えること(特性・性格)
好きなこと:自分の情熱のある分野
筆者の八木さんは、まず、やりたいことの定義をはっきりさせようと述べています。
確かに、「やりたいこと」ってそもそもが曖昧な言葉です。
本書の例を使って、職業:youtuberを参考に考えてみましょう。
僕は将来、youtuberになりたい!という子どもがいたとします。それ自体は、私は良いと思います。
ただ、本書の定義によると「youtuberになりたい」というのは、自分のやりたいことに成りえません。
何故なら、youtubeは「好きなこと」ではあるかもしれませんが、「得意なこと」ではないかもしれないからです。
youtuberの仕事には「撮影」はもちろんのこと、「企画」、「動画編集」などの地味な仕事があります。
視聴者として楽しんでいる分にはとても華やかな職業ですが、実際に自分でやってみると大変です。
私はyoutubeデビューはしてないですが、とあるプロジェクトで、10分間程度のプレゼン動画を撮影したことがあります。
たった10分の動画なのに、何回も何回もリテイクして、
編集の力を借りてようやく形になりましたが、準備期間含めると1ヶ月位かかりました。
その苦労を知っているからこそ、分かります。
また、会社とは違って就業時間が決められていない分、逆に自分のプライベートな時間がなくなるかもしれません。
というよりは、プライベートと仕事の境界が曖昧になる可能性が高いと思います。
それに納得しているなら、構わないのですが、
仕事とは切り離して家族と過ごすための時間を、自分の「大事なこと」にしている人にとっては、
「やりたいこと」から外れてしまうことになります。
要するに、「好きなことを仕事にする」だけでは足りないってことです。
自分のやりたいことをやるためには、Why(なぜ?)、What(何を?)、How(どうやって)
ーという3要素を満たさなければいけないのです。
やっている業界に興味が持てないなら、「好きなこと」が欠けている。
分野は好きだけど、やっている作業内容に面白みを見出だせないなら、「得意なこと」が欠けている。
仕事は面白いけど、何のためにやっているのか分からないなら、「大事なこと」が欠けている。
私も今、この法則を使って「自分が本当にやりたいこと」を探しています。
仮に見つからなかったとしても、やる意味は十分にあります。
何故かというと、私は転職するからです。この自己理解をやることは、転職する際に使えます。
なぜこの会社なのか(大事なこと)、なぜこの業界なのか(好きなこと)、どうやって成果を出すのか(得意なこと)。
自己理解がしっかりできているなら、これらの基本的な問いに、
明確な根拠を持って答えることができるようになります。
本書の中には、3要素を見つけるための重要な質問、チェックリストが用意されているので、
これに取り組むことで「本当にやりたいこと」が見つけられるようになります。
動画でも見れます。
本を読むのがダルい。あるいはわざわざお金を出して読もうと思わないという方に向けて、
著者の八木さんのyoutubeのリンクを下に貼っておきます。内容はほとんど同じです。
youtube:やりたい仕事が見つからない人が、必ず最初に見るべき動画。これで人生を変えましょう
通勤中にこういうのを聴いて学習するのも良いですね。
多分、私はやらないですけれど。
紹介した本
世界一やさしい「やりたいこと」の見つけ方 人生のモヤモヤから解放される自己理解メソッド 著者:八木仁平
オススメ度:★★★★☆
※自己理解に悩んでいる人は参考にして下さい。