【アニメ】愛を綴る物語『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』

2020年11月7日

©暁佳奈・京都アニメーション/ヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会

【コラム】私の人生で、最も人に紹介したい作品。


今回はなんと、アニメ作品の紹介です。

当サイトは、本の要約ブログとして始めていたのですが、遂にアニメ作品を紹介することになりました。

 

まあ、このサイトのテーマは「人の人生を豊かにする」ことですから、

そういう意味では決して間違ってはいないつもりです。

 

アニメ、皆さんも好きですよね。日本が世界に誇れる文化です。

 

この1年間はコロナの影響で外出することを控えていましたが、

久しぶりに映画館に行って、前からずっと見たかった映画を見てきました。

 

その内容がとても良くて、感動したということもあり、気持ちが冷めない内に記事を書こうと思いました。

誇張抜きに、マスクがビショビショになるくらいに泣きました

 

今、世間では『劇場版 鬼滅の刃』が異例の大ヒットとなっています。

あの『千と千尋の神隠し』を超えて、歴代の邦画の興業収入で1位を狙えるのでは?と話題になっていますね。

(追記:歴代興行収入1位を突破しました。)

少し落ち着いたタイミングで、私も見に行こうと考えています。

 

でも、私としては今見て欲しい作品はこちらです。京都アニメーションが制作した傑作、

ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の紹介をさせて頂きます。

 

 

 

 

 

 

何故、私がこのアニメを推すのか、理由は以下の通りです。

  • 身近にいる大切な人を、もっと大事にしようと思えるから。
  • 思いを伝えることの重要性を学べるから。

 

では、紹介を始めさせて頂きます。

 

 

あらすじ

感情を持たない一人の少女がいた。
彼女の名は、ヴァイオレット・エヴァーガーデン
戦火の中で、大切な人から告げられた言葉の意味を探している。

戦争が終わり、彼女が出会った仕事は誰かの想いを言葉にして届けること

――戦争で生き延びた、たった一人の兄弟への手紙
――都会で働き始めた娘から故郷の両親への手紙
――飾らないありのままの恋心をつづった手紙
――去りゆく者から残される者への最期の手紙

手紙に込められたいくつもの想いは、ヴァイオレットの心に愛を刻んでいく。
これは、感情を持たない一人の少女が愛を知るまでの物語

出典:ヴィオレット・エヴァーガーデン公式サイトより一部抜粋

 

©暁佳奈・京都アニメーション/ヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会

 

生まれてからずっと軍人として戦ってきた主人公が、

戦争が終わった後の世界で、“大切な人への手紙”の代筆を行い、「愛」を知る。

 

『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』とはそういう物語です。

主人公が代筆を行う手紙には、様々な登場人物たちの愛の形が書かれます。

  • 婚約する恋人への思い。
  • すれ違ってしまった兄弟への思い。
  • 亡くなった家族への思い。

 

あらすじを読んでもらえると大体分かりますが、割と王道の作品です。

どこかで見たことがあるような設定も多々あります。

 

「ハイハイ、感情を持たない人が最終的に心を知るようになるんでしょ」

・・・という気持ちになるのも分かります。

分かりますが、それでも見て欲しいです。王道の魅力というものを改めて思い知らされます。

 

特に私がお気に入りなのは、7話と10話です。

視聴者からの評判の高い話で、それも納得できる評価でした。視聴する際はハンカチの準備をお忘れなく。

(特に10話はヤバい。何回見ても泣いてしまう。)

 

基本的に一話完結型で、それぞれの話の中で起承転結があり、しっかりオチがつくのもポイントです。

 

ざっくり物語の雰囲気を味わうために、京アニさんが公式で『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の要約動画を出しています。

下の動画を見て、興味があればアニメ本編に手を出してみることをオススメします。

 

全13話なので、サクサク見れるのが良いですね。

出典:5分で分かるアニメ『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』/京アニチャンネル(YouTube)

 

実際に映像を見てもらうと、良くお分かりになると思います。

作画がとても綺麗ですよね。劇場版かと見紛う位のクオリティです。

この作画の質が、最初から最後まで全く落ちません。

 

更に、前述したように映像の美麗さだけではなく、描かれるストーリーがとても良いです。

 

私が今まで見てきた映像作品で、心に残っている作品はアニメが多いです。

むしろ、感動して泣いた作品ってアニメだけですね。

例えば『トイ・ストーリー3』とか『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲』とか。

 

他の作品を挙げて、それらとの比較はしたい訳ではありませんが、

この『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』は、多くの人の心に残る作品になると思っています。

必ず1話は共感できるものがあるはずです。

 

 

主人公の魅力

『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』は、主人公の名前そのものが作品のタイトルになっています。

主人公のヴァイオレットは、全ての創作物語の中でも一番と言っていい位に、美少女です。

京アニさんのアニメに出てくる人物は、基本的に顔面偏差値が高い。

 

このヴァイオレットという人物を一言で表すと、“人形”です。

外見の美しさだけのことを言っているのではなく、本当に人間らしさを感じられないキャラクターとなっています。

 

引用:http://tv.violet-evergarden.jp/character/

 

物語の最初、主人公の行動原理には一切自分の意思がありません

他人から命令されなくては、自分で食事を摂ることすらしません。

主人公が食事をする描写が、序盤では徹底的に省かれており、水を飲む場面すらもないです。

ない、というよりは敢えて描かれないような演出がされています。

 

感情表現も極めて希薄です。

生まれ育った環境が「戦場」という特殊な環境だった為か、

人の気持ちや感情を理解することができません。

自分自身の感情すらも言葉に出来ないのです。

 

更に、戦争で両腕を失っており、機械式の義手を装着しているので、

益々人間的な要素を感じにくくなっています。

 

ヴァイオレットは間違いなく人間の少女ですが、

人としての機能が欠けており、違和感を覚えることが多いです。

視聴者にそう思わせるところが凄いですね。

 

『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の世界では、代筆を行う職業を「自動手記人形」と呼んでいます。

物語を何も知らない人がこの作品を見たら、

主人公のことを本当にロボットや機械式人形だと勘違いしてしまうと思います。

 

そんなヴァイオレットが、代筆業を通して初めて、

人の気持ち・自分の気持ちというのを理解し始めます

 

アニメを見ていると、ヴァイオレットが変わったと明確に分かる場面があります。

そこが作品の魅力の一つです。

 

今、絶賛上映中の『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』は、物語の完結作であり、

主人公がどういう人生を迎えたかが明らかになります

物語を最初から見ていけば、本当にヴァイオレットは成長したな、と感じられる場面が随所に見られました。

劇場で見れて良かった、と心から思いました。

 

 

「変わらないもの」なんてない

『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』では、作品の性質上、様々な別れのシーンが描かれます。

  • 戦場で戦死してしまう兵士。
  • 病死で亡くなってしまう少女。
  • 幼い娘を残して先立つ母親。

 

こういった物語を見て、私が感じたことは、

「終わりのないもの・変化しないものはない」という当たり前の事実でした。

 

人はいつか死んでいくものです。私も、この記事を読んでくださっている、あなたもそうです。

そんな当たり前のことに、普段の私たちは気づけていません。

 

私には離れた場所に住んでいる友人がいます。年に数回会っていて、一緒に旅行することがあります。

そんなとき彼はよく、「この幸せなときがずっと続けばいい」ということを言います。

 

私もこの考えには同意していました。

同意しているどころか、「こういう時間が失われることはない」と錯覚すらしていました。

 

先日、その友人ではありませんが、私にとって大切な友人がこの世を去りました。

最近は全く会えていませんでしたが、地元に帰れば飲みに行くような関係で、いつも馬鹿な話で盛り上がっていました。

 

5年後、10年後も、彼とはそういう関係でいられると、勝手に思っていました。

また一緒に酒を飲めると信じていました。

 

彼の訃報を聞いたとき、私の胸の中に広がったのは大きな後悔でした。

「なんで声をかけてやらなかったのだろう」
「なんでもっと大切にしてあげられなかったのだろう」
「なんで帰ったら飲みに行こうの一言が言えなかったのだろう」

今となっては、何もかも遅すぎます。私はもう、これから一生、彼と話すことはできないのです。

 

私が言いたいことは、自分の周囲にいる人を大事にして欲しいということです。

私は、大切な人と一緒に居れる、幸せな時間がずっと続けばいいと思っています。

でも、ずっと続くということはありません。その幸せは永遠ではありません。

だからこそ、今のこの瞬間をもっと、もっと大切にしてあげてください。

 

『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の作中で書く手紙は、

本人にとって最後のメッセージであることも多いです。

 

私は、3ヶ月に一回位の頻度で母から手紙が届きます。

内容は家族の近況と、体調に気をつけてとか、そんな感じです。

 

今まで何気なく読んでいたのですが、考えを改めました。

今度、母へ手紙を書こうと思います。

 

家族に何か思いを伝えるって、私にとっては恥ずかしくて、今までずっと避けていました。

でも、思いを伝える機会がこれから先、いつまでもある訳ではありません。

私はもう、思いを伝えられない後悔をしたくありません

 

 

決して忘れない

これから先は、ブログには書きたくない、個人的な思いを綴ります。

この作品を製作した京都アニメーションは、昨年とても痛ましい事件が起こりました。

 

何の罪もない、優秀なアニメーターの方々が命を落としてしまいました。

今までの人生で感じたことがないような怒りと、悔しさが胸の中に充満したのを今でも覚えています。

 

事件から1年が経過し、日常を忙しく過ごしていても、常に心の片隅に留まっている感覚です。

一生、忘れないですし、忘れてはいけないことだと思っています。

 

世界では今も、悲惨な事件は毎日起こっています。

私個人の影響が及ぶものではないから、自分のやるべきことに関心を向けるべきだということも理解しています。

それでも、一人の人間として、あのような酷い出来事を「可哀想に」なんて他人事のような感情で済ませたくない。

 

私は被害者の遺族ではなく、関係者でもありません。

だから、ブログに書くこと自体、躊躇いがありました。

 

被害を受けた人達に、本当の意味で寄り添うということはできません。

「お前なんかに何が分かる」と言われるかもしれません。

それでも、私はあの事件で傷つけられた1人です。

 

自分の思いを伝えていくことが、今の私にできる最大の貢献だと信じて、書きます。

 

事件が起こった当時、私は仕事中でした。

事件の速報を休憩中に知り、多くの人が巻き込まれたという情報を見て、午後の仕事は気が気でありませんでした。

「どうか、誰も死なないで欲しい」と、ただただ願うことしか出来なかった。

 

仕事が終わった後、会社の駐車場で事件の全容を確認しました。

その時点での犠牲者の数が判明されており、あまりの惨状に言葉を失いました。

その後、どうやって帰ったのかすら、記憶にありません。

狂いそうになる程の怒り。こんなことを実行した容疑者への殺意が、全身を支配していました。

 

燃えるような強烈な怒りと、無念さはいつまでも消えず、その日は一睡もできませんでした。

好きでやっていて、アニメという素晴らしい作品を生み出している人達が、

何故あんなに理不尽な目に合わないといけなかったのか。

 

「犯人を殺してやる」と本気で思いました。

今もなお、この記事を書いている指が、怒りで震えているほどに。

 

事件の後、私は私にできることとして、支援金を送りました。

とにかく、助けになるようなことは積極的にやっていこうと思ったからです。

 

あのとき、何が起こったのかを正確に知るために、記事も読めるものは全て読みました。

そういったことをしていて、私は酷い無力感に苛まれました。

支援金を送ったところで、亡くなった方々が戻ってくる訳ではありません。

 

ほんの少しでも、遺族の方の心の支えになってくれればと思いましたが、

自分が同じ目にあったと想像すると、

「こんなものが何の救いになるのだろう」という気持ちになりました。

 

もし事件に巻き込まれたのが、自分の家族だったら、友人だったら、恋人だったら。

そう考えてしまうと、私はそういった人達に何もしてあげられない。

自分には何の力もない。そのことを思い知らされました。

 

 

メッセージ

私が救いを感じたのは、あれだけの事件が起きたにも関わらず、退職者の数が非常に少なかったことです。

事件の一週間後には、職場復帰をされている方がおりました。

 

事件で一命を取り留めた社員の方が、後に取材でこう答えています。

「今はとても前向きな気持ちになれません。でも、亡くなった仲間の分の意思を継ぎます。」

「仲間を多く失ったが、立ち止まれば容疑者の思い通りになる。ひるまずにつくり続ける。」

 

それを聞いたとき、私は感動で涙が出てきたのと同時に、

今まで自分のことしか考えてこなかった自分が恥ずかしくなりました。

私はこれまで、こんな前向きな気持ちで仕事に取り組んでいたことはありません。



「一体、自分は何をやっていたのだろう」と強く思いました。

同時に、京都アニメーションのスタッフの方々を、心から尊敬しました。

京都アニメーションの方々が前を向いているから、私も前向きな気持ちになることができました。

 

そういった個人の心情を除いても、『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』は本当に素晴らしい作品でした。

先述した評価に嘘偽りは全くありません。是非、多くの方に見て欲しい作品です。

 

この作品に関わった全ての人に、心から感謝を伝えたいです。

本当にありがとうございました。素晴らしいものを見させて頂きました。

最後までやり切ってくださった方々には、感謝しかありません。

 

 

最後に・・・

事件から1年間経過した追悼式において、関係者の方からの弔電内容を紹介させて頂きます。

私たちの日常はまた今日も、一刻一刻目まぐるしく変わっています。

それでもあの日の悲しさを、やり場のない怒りを、ぶつけようのない悔しさを、

私たちは決して忘れることはありません。

 

私たちに出来ること。それは未来へと思いを繋いでいくこと。

仲間たちの忘れられない思いを、忘れられない作品創りへと昇華していくこと。

その意思は決して変わることはありません。

 

あの日から色々な感情と向き合いました。共に作品を作ったたくさんの同志がいました。

何事も無ければ、きっと今も一緒に作品を作っていたであろうと思います。

色々な感情を時間をかけて見つめ直しました。

何が出来るのか、何をするべきなのか。

 

同志たちのことを想い続けること。

もう共に作品を作ることは出来ませんが、その『志』を繋いでいくことは出来ます。

そしてその『志』を繋いでいく多くの仲間が居ます。

その仲間と共に、永く永く歩んでいきます。

 

引用:

京アニ放火事件から1年、ウェブで追悼式が開催「志を繋いでいく」

 

 

私の信念

  • 私も、自分の仕事を通して、多くの人々を笑顔にしたい。
  • 世界最高の仕事をしたと胸を張って言いたい。
  • 自分の為ではなくて、もっと人を喜ばせることに人生を使いたい。
  • 周囲の人に良い影響を与えたい。
  • 自分のこれからの人生は、「他者貢献」の為に使う。

そう決意しました。

 

このブログは、その一環です。

他者貢献の為に生きると決めた私の人生は、今とても充実しています。

 

もう二度と、こんな悲劇があってはならない

それを実現させることが、私の生きる目的です。

 

Sincerely.

 

紹介した作品

ヴァイオレット・エヴァーガーデン』公式サイト

どうか、大切な人へ手紙を書いて欲しい。

 

  • この記事を書いた人

イナ

本業は設計者。29歳。書評とコラムを発信する、当サイトの管理人。気ままに記事を更新します。日課は読書と筋トレ。深夜ラジオとADVゲーム好き。

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