夢を追い続けたエンタメ研究者:西野亮廣さんの映画を見た感想。

2020年12月27日

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【感想】えんとつ町のプペルを見に行きました!


大人が泣ける絵本:『えんとつ町のプペル』の映画公開!

つい先日、2020年12月25日のクリスマスに、映画『えんとつ町のプペル』が公開されました。私は知人から映画のチケットを頂いておりましたので、公開当日に見に行きました。

今回は映画を鑑賞した感想と、簡単な内容を紹介する記事とさせていただきます。

※内容のネタバレは極力避けますが、紹介する都合上、多少はストーリーの内容を含みますのでご注意ください。

 

映画の感想を一言で言わせてもらうと、「西野亮廣という男の執念を感じる作品」でした。月並みの表現になってしまいますが、めちゃくちゃ良かった。

 

『えんとつ町のプペル』という作品は、西野さんが脚本&監督となり、原案の時点で映画化までの構想を練っていた作品です。原作の絵本から、作業体制は完全に分業制の作品なので、西野さん1人でつくった作品ではありません。でも、物語の内容が原作者である西野さんの生き方そのものなんですよね。

『えんとつ町のプペル』はネットで無料公開されている作品になりますので、未だ読んでいない方は、下のリンクから覗いてみてください。

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『えんとつ町のプペル』のあらすじ

「信じぬくんだ。たとえひとりになっても。」

おはなし)
4000メートルの崖にかこまれ、そとの世界を知 らない町がありました。
町はえんとつだらけ。
そこかしこから煙があがり、あたまのうえはモックモク。
朝から晩までモックモク。
えんとつの町に住 むひとは、くろい煙にとじこめられて、
あおい空をしりません。
かがやく星をしりません。

引用:Amazon HPより一部抜粋。

物語はこの2人の登場人物が中心となって進みます。

  • ハロウィンの夜、ゴミから生まれたゴミ人間:プペル
  • 「えんとつ町」に住む少年:ルビッチ

プペルとルビッチが友達となり、誰も見た事がない“ホシ”を見ることを目指す。簡単に言えば、そういった物語です。

 

原作の『えんとつ町のプペル』の時点で、とても良い作品だという印象を持っていたので、映画も楽しみにしておりました。関わっている出演者、公開前のMV、予告編等を一通り見てみて、期待値はめちゃくちゃ上がり切っていました。

そして、実際に映画を見てみて、上がり切っていた期待をあっさり超えてくれました。クレジットが終わったとき、劇場内では拍手が起こると事前に話題になっていたので

「それは大袈裟過ぎるだろ。メディアの過大広告だな」

と冷めた目で見ていましたが、自分も気づけば拍手していました。

 

断っておきますけど、別に私は西野さんの信者ではなく、どちらかと言えば嫌いな方ですからね。“嫌い”というのも語弊があって、上手く表現する事が難しいのですけど、少なくとも同じ血の通った人間とは思っていません。

そんな私がこれだけ絶賛しているということが、どういうことを意味するか。作品が“本物”だったということです。まあ、「感動ポルノ」という意見も分からなくはないですが。

 

 

映画で良かったところ

映画の良かったところで言うと、たくさんあります。歌が素晴らしい、作画が素晴らしい、声優さんが素晴らしい・・・挙げればキリがありません。

個人的に一つだけ、最も良かったポイントを挙げるとするならば、独りよがりの作品ではなかったことです。大変下品な表現で申し訳ないのですが、作者のオ●ニーではなかったのが本当に良かった。

映画という作品自体、大勢の方々が参加されて成り立つものなので、構造的にそうならなかったのかもしれません。

 

『えんとつ町のプペル』という作品は、要するに「夢を信じて追い続けた人」の物語です。

夢を追うということは、本来、誰にも否定することのできない、素晴らしいことです。ただ、現実では“夢”を口にする人に対して、多くの人は応援するというより馬鹿にします。

「いつまでそんなことを言っているんだ」
「現実を見ろ」
「お前も空気を読んで、こっちにこい」

そんな心ない意見を浴びせる人も少なくありません。『えんとつ町のプペル』の主題歌にも、こういう歌詞があります。

夢を持てば笑われて
声を上げれば叩かれる

原作者である西野さんが、正にそうです。彼の活動を未だに「詐欺師」や「宗教」と揶揄する人も、少なくはないでしょう。

確かに、そういった側面もあるかもしれません。マルチ商法をやっているような人達は、夢を語るのが大好きですから。

 

それでも、西野さんは絵本を描き続けた。売り続けた。自分の力が、才能が足りないなら、多くの協力者を集めた。

何年間も笑われながら、叩かれながら、前だけを見続けて。8年間も走り続けたんです。

そして、彼は今回の映画で、自分の夢を一つ叶えました。

 

そういう映画だから、西野さんのように「夢を信じ続けた人」に向けての映画になっていると思うでしょう?

違います。

『えんとつ町のプペル』は、全ての人に焦点が当たっている作品です。

それは何でか、というのを次の章で解説します。

 

⚠️ここからは作品のネタバレを多少含みます!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夢を諦めてしまった人たちへ

劇中では、「夢を諦めてしまった人」を象徴するキャラクター:アントニオが原作絵本に引き続き登場します。プペルやルビッチと敵対するキャラクターです。

でも映画版では正直、主人公の一人であるルビッチよりも、アントニオの方に感情移入する人が多いのでは?とすら思いました。

 

実はアントニオは昔、偶然“ホシ”らしきものを見ているのです。でも、そんなことを言えば周囲から爪弾きにされる社会なので、心の奥底に本心を抑え込んで、「ホシなんてあるわけがないだろ」と自分自身を偽り続けます。

これは、原作絵本には無かった設定です。

 

このアントニオの気持ち、私にはとても分かります。というよりも多くの人にとってそうではないでしょうか。子供だった頃に持っていた夢って、もっとぶっ飛んでいませんでしたか?

 

子供の頃が思い出せないという人は、新入社員の頃を思い返してください。私は入社当時、

「同期の中で一番になる」
「この会社で15年後までには役員になる」

そんな目標を掲げていました。でも今はどうか?

  • 職務に就いてからは、日々の仕事と上司の要求に応えることで精一杯。
  • 自分なりに勉強しても成果には繋がらず、思っていたほどの評価は得られない。
  • いつまで経っても、社内で活躍しているビジョンが見えてこない。

そんな日々を繰り返すうちに、最初の頃に抱いていた志は、いつしか無くなっていました。

 

 

私も、アントニオだったんです。

夢を追い続けることが苦しく、諦めて、目標を下方修正して生きていくしかなかった。それが良いことなのか、悪いことなのか、そういう次元の話をしたい訳ではありません。

結局のところ人間は、今の自分にできることを精一杯やるしかありません。

 

劇中のクライマックス、プペルやルビッチと対立し続けたアントニオが、ルビッチを助けてくれます。周囲は敵に囲まれていて、下手をすれば殺されてしまうかもしれない状況で、勇気を持ってルビッチに伝えるのです。

「お前たちは何なんだよ。あのとき自分を信じられなかった俺が馬鹿みたいじゃないか。」

周囲から孤立することを恐れ、言いたい事をずっと言えずにいた自分の感情を爆発させます。

「俺は見たんだ。“ホシ”は絶対にあるよ!」

と言ってくれるのです。ここが、映画の中で本当に印象深い場面でした。私にとって“本当の強さ”を教えてくれたのは、プペルではなく、アントニオでした。

 

こういった、原作にはなかった場面や設定が、映画ではありました。原作の絵本には収めることができなかった、まさに完全版『えんとつ町のプペル』といって良い作品になっています。西野さんは、本当はここまでやりたかったんだな、というのが凄く分かりました。

今回の映画を見て、一番鳥肌が立ったのは、劇中のストーリーではなく、クレジットで「制作総指揮 西野亮廣」の名前がスクリーンに映されたときです。

本当に、良くここまでのモノをつくってくださったなと。心から敬意を表します。

 

 

私は決して回し者ではありませんが、映画『えんとつ町のプペル』、是非劇場まで見に行ってください。

 

 

余談

ここからは実際に映画を見る前、あるいは見た後に、より映画を楽しめる書籍・動画を簡単に紹介します。

映画公開後のコラボトーク

宮迫博之×西野亮廣コラボトーク!【諦めきれない夢がある】

 

西野亮廣さんの書籍

『えんとつ町のプペル』という作品がどのように生み出されたのか、その裏側を知ることができます。私は映画を見る前に読んでいて、この記事と同時に紹介するつもりでした。でも長くなりそうなので、次回の更新のときに紹介させて頂きます。

  • この記事を書いた人

イナ

本業は設計者。29歳。書評とコラムを発信する、当サイトの管理人。気ままに記事を更新します。日課は読書と筋トレ。深夜ラジオとADVゲーム好き。

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