©ダイヤモンド社/赤羽雄二
【書評】その「悩み」、消えるよ。
「考える」とは?
- 一生懸命考えたつもりのアイデアでも、他人から見たら陳腐なものだった。
- 自分の考えを相手に説明しようとしても、上手く言葉が出てこなくて頭が真っ白になった。
そんな経験はありませんか?
私は仕事でよく経験します。相手に問題点を説明しようとしても、話が上手くまとまらなかったり、話を理解してもらえなかったり。社会人一年目は「君は何が言いたいの?」が一番上司から言われた言葉でした。
それは私の話し方などにも問題があったのですが、一番の原因は“自分でも何が分からないのか分かっていない”ということでした。例えば仕事を進めていて、分からないところが出てきたとき。この分からないことがたった一つであれば、話は単純です。
しかし、私の場合は一つの仕事に対して、分からないことがいくつもありました。
「自分の分からない所が分からない」
「問題を解決するために必要な前提条件が分かっていない」
という状態だった訳です。
分からないところだらけの状態で作業を進めて、それでも容赦なく納期は迫っていきます。頭が混乱し、何が問題だったのかも曖昧になります。だから、人に相談しても伝わらなくなる。
分からないことを分からない言葉を使って相談しているわけですから、そりゃ伝わらなくて当然です。
この場合、私のやるべきことは、深く考えるということでした。私も、むやみに人に助けを求めていたわけではありません。自分なりに思考して、問題点を分析して、相談するようにしていました。
でも、一生懸命考えたつもりでも実際は立ち止まっていて、いつも空回りの結果に終わっていました。
なぜなら、それは考えるふりをしているだけだったからです。
著者の赤羽さんは本の冒頭で、「大半の人はどうすれば深く考えることができるか分かっていない」と述べています。確かに、今まで私達は「深く考える」という行為を人から教わったり、意識的に行ったことはありません。だから、具体的な方法を知らないんです。
では、考えることとは何か? 紙に書き出すことです。
先程の私の例でいえば、何が分からないのかを一つ一つ紙に書き出し、整理する。そして、どうすれば解決するかを導き出す。そこまで分かってから、それを持って人に相談すれば良かったのです。
頭の中で延々と考えていても、情報を客観視できないので、焦点がぶれてしまうのです。我々凡人が「頭が良くなりたい」と思ったら、紙とペンを持ちましょう。話はそこからです。
0秒で決断せよ
本書の目的は「ゼロ秒思考」を身につけることです。優れた経営者は皆、即断即決ができる人とよく言われます。これは地頭やセンスではなく、トレーニングによって身につけられます。
なぜなら人間は皆、本質的には頭が良いから。ただ、その使い方をわかっていない人が多すぎると著者は述べています。
普段から即断即決の行動ができる人とは、どういう人でしょうか?
それは、普段から問題に対して考え続けている人です。アンテナを立てて積極的に情報収集し、最善と最悪のシナリオを想定する。そうすることによって、どんな事象に対しても「仮説」を立てているのです。
そういった思考に近づくために、効果的な手段がメモ書きです。
頭の中のもやもやをどんどん紙に書き出していくと、心配事が整理されて頭がスッキリするだけでなく、本当に大事なことが見えてきます。思考が進むほど、物事の本質が次第に分かるようになり、生産性が何倍にも上がります。その思考の到達点が「ゼロ秒思考」というものです。
思い悩んでいる時間が0になるって、最強だと思いませんか?
「ゼロ秒思考」を身につけることで、深く考えることができるだけではなく、心のコントロールの達人にもなれます。ストレスや不安が軽減されて、前向きに生きていくことができるようになれるのです。
メモ書きの方法
本書で推奨しているメモ書きのやり方は、頭に思い浮かんだことをひたすら紙に吐き出していくというものです。人に見せるものではないので、形式や体裁といったものにこだわる必要はありません。
その代わり、A4紙一枚を1分間で書くこと。これを10枚、毎日書き続けるというのが、本書で教えられるトレーニング法です。1日10ページのメモ書きを書け、と言われると溜息が出そうになりますが、やってみたら意外とできるものです。何せ、10分しかかからないですからね。
私が個人的に一番いいと感じたのは、同じことで悩む時間が減ったということです。頭の中での思考だけでは、以前と同じことで悩んでいるということが、よくありました。紙に書き出すことで、「以前も同じことで悩んだな」と気づき、「だとすると、違うやり方を考えてみよう」という風に、思考を切り替えることができます。
不思議なことに、アウトプットしなければ「前と同じ思考を繰り返している」という簡単なことにも気づかないんですね。本書では、大半の人の思考は“堂々巡り”あるいは“逡巡”だと言い切っています。メモに書き出すという行為をしなければ、悩みが減らず、いつまでも行動に踏み出せません。
私もまだ毎日の習慣になるほど、メモ書きをやっているわけではありませんが、頭の中のモヤモヤが溜まってきたときに、紙に書くようにしています。メモの内容は、今考えている不安なこと、将来のこと、嫌いな人とうまくやっていく方法など、何でもよいです。
本書から抜粋したメモ書きを下に載せます。
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今度のプロジェクト発表会は上手くいきそうか
ーやることはやった
ーもう一人、説明しておいた方が良い人がいたな
ー社外とはすり合わせができているから問題ない
ーデモはちゃんと動くか
ー明日もう一回試してみよう
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こんな感じです。プロジェクト発表会について漠然と悩んでいたことが、メモ書きによって整理されて、「デモが動くかどうか」という本質的な懸念事項が見えるようになりました。
仕事で行き詰まったときにも使えるテクニックなので、是非試してみてください。
情報を集めすぎない姿勢
私達がついやりがちなのが、情報収集し過ぎてしまうこと。言い換えれば、人にアドバイスを求めすぎるということです。
社会人になってからは、上司の意見に沿わないと怒られる経験をされた方も多いでしょう。何か決断するべき際、自分の頭では考えず、上司の言うことが無条件に正しいこととしてしまう。あるいは、絶対的な正解を求めるあまり、際限なく色々な人に意見を聞いて回るということもあります。
こういった姿勢では、問題を先延ばしにするだけです。また、仕事の進め方を上司の判断だけに任せていると、後で間違っていたことが発覚すれば膨大なやり直しになり、結果的に上司には迷惑をかけることになってしまいます。
我々に必要なのは、「大胆に仮説を立てる癖」をつけること。
最初は全然見当外れでもいいのです。
仮説をもとに、事実と照らし合わせて、間違いがないか検証する。これが、正しい情報収集のやり方です。
今の時代、情報なんていくらでも手に入ります。この人でなければ知り得ない情報、そういったものは殆ど無くなってきているんです。
だからこそ、今の自分にとって必要な情報とは何か、ということを私達は見極める必要があります。
情報を得ることは、もちろん必要な行為です。しかし、そういった情報に踊らされていないかどうか、まずは自分の頭で考えてみましょう!
思考することの重要性
今回は、思考法についての本の紹介でした。自分自身に言い聞かせるために書くのですが、こういった自己研鑽のための読書は「読むことが目的」になるとOUTです。自分の成長のために読書をしているわけなので、本を読んだ後に自分の行動が変わったかどうかが全てです。
私はそういった基本的なことに気づかず、学生時代にひたすら本を読み続けて満足していた時期があります。ただ単に「いいこと知ったなー」で終わっていました。それでは意味がありません。
この『ゼロ秒思考』を読んだ後も、“毎日メモ書きを10ページ行う”という習慣がつけば合格です。これを実際にやってみるかどうか。
私はまだできていませんが、思考することの大切さは日々学んでいることなので、明日から生活に取り入れます。
結局のところ、人生の成功者は「自分で考える」ということをやってきた人達です。そこに例外はありません。
私もまだまだ周囲に流されているだけの常識人間ですが、一つ一つ行動を変えて、自分にとって幸せな人生を追求します。
そのためにも、先ずは一本でも多くブログを投稿すること!ですね。
紹介した本
『ゼロ秒思考』 著:赤羽雄二
オススメ度:★★★★☆
※悩んでいる状態というのは、「問題解決する為の答え」が出ていないということ。「これからどうするか」を紙に吐き出せば、何かしらの答えは出てくる。