経営者になるつもりの全くないサラリーマンが、『経営者になるためのノート』を読んでみた。

2021年1月16日

©PHP研究所/柳井正

【書評】理想を追求せよ。


久しぶりに本の書評の記事を書かせて頂きます。2021年、最初の一冊は『経営者になるためのノート』です。超有名作品ではありますが、最初に簡単な紹介から始めさせて頂きます。

 

著者はUNIQLO、GU等のアパレル事業を行っている、株式会社ファーストリテイリング代表取締役会長兼社長である、柳井正さんです。この本は実際に、社内の教育資料として使用されているものです

前書きで「自分で完成させていくノート」がコンセプトとあります。欄外に空白の部分が広めにつくられているので、本当にノートの感覚で書き込んでいくことができます。ファーストリテイリング社では、

ノートの汚れ具合を見れば、その人の成果が見える

と言われているそうです。

 

 

今回はガッツリ本の内容を紹介する訳ではなく、私がこの本を読んで「これが一番大事だな」と感じたことを書きます。内容を知りたい方は、是非お買い求めください。

 

 

結論:ビジネスマン必読

感想としては、非常に良かったです。もっと早く読んでおけば良かった、と思ったくらいです。

今まで読んでこなかった理由としては、本記事のタイトルにもある通り「経営者になるつもりがなかった」からです。今でも起業したい気持ちとか、別にありません。

 

起業家って「俺は絶対にこれがやりたい!」「これをやらなければ死んでしまう!」という強い願望がある方がなるものだと思っていて、それは素晴らしいことではあるものの、そんな人は極少数ですよね。大概の人は、仕事にそんなに強い拘りはありません。

私も例に漏れず、今のところ「世界を変えてやる!」という大きな目標は持っていないですし、そんなことできないだろうと思っています。それを「意識低い」と思われても仕方ないことですけどね。

 

ただ、自己研鑽は自分なりに続けていますし、まだまだ成長しなければいけないとは思っています。そういうときに、この『経営者になるためのノート』を読んだことは良かったです。

自分の仕事に対してのモチベーションが、とても上がりました。解説のページにも書かれておりますが、辞書のように取り出して、自分の実務と結び付けながら、定期的に読み直そうと思います。

 

 

本書のポイント

この本で良かったな、と思う部分は、下記の通りです。

  • 文章、内容が分かり易い。
  • 本に直接書き込める。
  • どんな職種、立場の人であっても、自分の仕事に置き換えられる。

 

一つ一つ、簡単に解説していきます。

 

文章、内容が分かり易い

これは大事ですよね。私もそれなりに本を読んできているので、「読み難い」と感じるものも少なからずありました。海外の翻訳書なんかは顕著ですね。翻訳されている文章が分かりにくいことは仕方ないですし、嫌なら原書で読めばいいことですけどね。

ただ、読みにくい文章だと読書を「苦痛」に感じてしまいます。読み切る気力が途中でなくなってしまいますね。『経営者になるためのノート』は、文章と内容が洗練されていて、とても読み易いです。内容自体を読み切るのには、1時間程度あれば充分だと思います。

 

本に直接書き込める

先述した通り、これはノートですからね。汚せば汚すほど真価を発揮します。

本書に限らず、読書って「自分の立場に置き換えて、どう行動するか考えること」が一番大事なので、本にメモ書きしながら熟読していかなければなりません。でも、ぶっちゃけやらないじゃないですか。

『経営者になるためのノート』では、先述した通り欄外がノートになっているので、読んでいくうちに自然とメモをとっています。全ての書籍は、この形式になった方が良いのではないかと思いました。一々ノートを広げてメモ書きするの面倒ですし。

私は今は基本kindleで読書していて、ブログを書く為に「メモとハイライト」の機能を使っています。今後はもっとメモを書き込んで、活用していきます。

 

どんな職種、立場の人であっても、自分の仕事に置き換えられる。

これが一番重要なポイントですね。本書は社内教育で使用されているものなので、アパレル事業の経営者に必要なものは何か、というテイストで書かれているのですが、どんな人にも当てはまる言葉なんです。

例えば私は今、自動車の設計を仕事としてやっていて、アパレルとは全く関係ない職種です。もちろん経営者でもありません。それでも、「実務でどう活かせるか」ということを常に考えて読むことができました。

別にどの立場とか関係なく、大切なことばかりが書かれています。

 

柳井さんは「マネジメントの発明者」と言われるドラッガー先生の書籍から経営を学んだ、と言われているので、本書の内容もその影響を受けていると感じました。ただ、ドラッガーの書籍の20倍分かり易いです。

 

 

何が一番大切か

本書では「経営者に必要な四つの力」として、以下の内容を掲げています。この四つの力それぞれについて、様々な視点から、どんなマインドであれば身につけることができるかを記しています。

  1. 変革する力
  2. 儲ける力
  3. チームをつくる力
  4. 理想を追求する力

どれも非常に大切なことですが、私としては最後の理想を追求する力が一番大切だと感じました。これがあれば充分だと思います。実際に、本の中にもこういう文脈があります。

私自身、経営者を四十年ほどやってきて、他の人の経営を見てきて、経営で最も大切だと思うことは、企業活動が自社の使命感にもとづいて行われているかどうか、ということなのです。

理想を追求していかなければ、人は怠けてしまいます。楽な道に逃げた方が安全ですから、当たり前です。高い目標があって始めて、「このままでは目標を達成できない」、「どうすれば目標を達成できるだろう」と考えていくようになります。

 

この高い基準を持つ、ということが大事ですね。ちょっと頑張れば達成できるような目標なら、人は頑張らないですから。理想を追求していく力を求めれば、自然と

  • こういう風に変化していく必要がある。
  • この事業を成功させるには、もっとお金が必要だ。
  • 自分だけではできないから、周りの人も巻き込んでいこう。

という思考になっていきますので、自然と他の三つの力も身についていくと考えます。

 

ユニクロでの思い出

実は私は学生時代、UNIQLOでアルバイトをしていました。アルバイトでしたので、任せられる仕事はレジ打ち、清掃といった雑務がほとんどでしたが、それでも「求められる仕事の要求が高い」と感じていました。

洋服を畳むのは1枚○秒、清掃は○時間で全て完了させる、といった様に、一つ一つの作業にルールが細かく決められていて、業務量も膨大にありました。特に冬の繁忙期は「こんなに働くのか」と思ったこともあります。朝から晩まで一日中仕事することも、決して珍しくはなかったです。

多忙の中、それでも「お客様ファースト」は絶対に守るべきことでした。今振り返ってみると、お客様の視点で仕事に取り組めていなかったなと思います。

 

ただ、これは間違いなく言えるのですが、アルバイト楽しかったんですよ。周りの友達からは「ブラック企業の奴隷」なんて言われてましたけどね。

働いている社員の方が皆、素敵な人だったというのも大きかったですが、要求されている仕事に対して「どうやったら達成できるだろう」とか考えているのが楽しかったです。どうやったら社員さんにとって嬉しいだろうか、とか考えてやっていました。

高い基準がなかったとしたら、絶対にそうはやっていなかったと思います。

 

理想を追求せよ、と言われても「綺麗事ばかり言ってんじゃねえ」と言いたくなるのは分かります。でも、経営者として「一勝九敗」の精神で戦い続け、山口の小さな服屋を世界的グローバル企業へと成長させた、柳井さんが語るからこそ深みのある言葉です。

自分が誰よりも理想に向けて行動し続け、結果を出しているのであれば、どれだけ大きなことを語っても、誰も文句は言いません

 

私も「世界中の人を笑顔にする」という高い理想を宣言しているので、これからも日々精進していきます。とりあえず、深酒はもうしないようにします。(昨日もやらかしてしまいました。)

理想を実現させるためには、「当たり前のことを泥臭く、最後までやりきる」という姿勢が前提とのことでしたので、まずは目の前の仕事を本気でやります。

 

紹介した本

経営者になるためのノート』 著:柳井正

オススメ度:★★★★★

※迷いなく人に勧められます。

  • この記事を書いた人

イナ

本業は設計者。29歳。書評とコラムを発信する、当サイトの管理人。気ままに記事を更新します。日課は読書と筋トレ。深夜ラジオとADVゲーム好き。

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