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【コラム】もっと期待値を下げてもいいのでは?という話。
絶賛公開中の映画、細田守監督の最新作である『竜とそばかすの姫』の興行収入が50億円を超えたそうです。
ここ最近は『鬼滅の刃 無限列車編』に始まり、『シン エヴァンゲリオン劇場版:||』など100億以上の興行収入を突破する作品も、珍しくなくなってきた感じがあります。
50億円突破というのも、相当に凄い数字なのですけどね。
引用:<竜とそばかすの姫>興収50億円突破 細田守監督最新作
私は先月末に劇場で見てきました。いずれはブログに感想でも書こうかな位に思っていたのですが、ちょっとしたキッカケがあって、今回の記事で書くことにしました。
映画の感想の記事を書くのは、キングコング西野さんのプペル以来ですね。
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夢を追い続けたエンタメ研究者:西野亮廣さんの映画を見た感想。
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では、早速始めていきましょう!
評価は賛否両論?
ネット上の感想を見ると、評価としては賛否両論に分かれているという印象です。
元々、映画というものは人によって好みが分かれやすいですし、特に細田守監督の作品はそういう印象があります。
先日、江頭2:50(エガちゃん)さんも“忖度なしの批評”というタイトルで、YouTubeに動画をUPされておりました。
この動画が面白かったので、私もこの作品に対する評価をしたいと思い、今回の記事を挙げた次第です。
エガちゃんの評価
動画で語っていた内容をまとめると、
どこが面白いんだよ、このクソ映画!
という本当に忖度なしの感想で、そのとき飲んでいたコーラを思いっきりタブレットにぶっかけてしまいました。
動画内で作品の肝を割と説明しているので、これから作品を観に行こうと考えている方はご注意ください。
エガちゃんのダメ出しとしては、「とにかくストーリーが全然ダメで、ツッコミどころ満載」というものでした。
私の感想
で、私がこの映画を観た感想なんですが、エンタメ作品として充分に面白いと感じました。
映画館に足を運んで良かったと思いましたし、他の人にも勧められます。「また観たい」と感じた映画でした。
ただ、エガちゃんの言っていた感想も、百里あると思いました。
簡単にまとめてしまうなら、いいところも悪いところも極端、そういった映画かなと。
ストーリー
映画の内容を全く知らない方の為に、超簡単に作品を紹介します。
あらすじ
物語の主人公:鈴は高知の田舎町に住む女子高生。
歌うことが大好きだった彼女だが、幼き頃に大好きだった母を事故で亡くしたことをきっかけに、歌うことが出来なくなっていた。
ふとしたきっかけで、仮想世界「U」にて自分の分身(アバター):Belleを作成。「U」の世界で彼女は、初めて自然と歌うことが出来るようになる。
すると、「U」の世界でBelleの歌った動画が死ぬほどバズり、世界の歌姫として急速に人気を集めていくことになる。
数億人を集客する程となったBelleのコンサート。そこに突然、「U」の世界を荒らしまわる存在、“竜”と呼ばれる謎のアバターが登場。コンサート会場を大混乱に陥れて去っていく。
「あなたは誰ー?」
全世界の人々の中から、Belle(鈴)は“竜”を見つけ出し、彼を救い出すことが出来るのか・・・。
というお話です。
この映画とは全く関係ないのですが、つい最近、私の小学校からの友人が何気なく投稿したTwitterがめちゃくちゃバズってました。
大きな反響自体はありがたいことであると同時に、弊害として全然関係ない趣味垢やら、企業からDMが多数来たとのこと。
https://twitter.com/gthaxolotl/status/1428891127059337221?s=21
今の時代、SNSで影響力を持つというのは凄いことであり、同時に大変なことでもあります。
『竜とそばかすの姫』でも、そういったテーマを扱っているシーンが描かれていました。ただ、扱っているにしては展開が雑ではないか、と感じられるところもあり、そこが賛否分かれているところなのでしょう。
評価
私なりに、この映画の良かったところと悪かったところをまとめます。といっても、大多数の意見とほぼ同じだと思いますが・・・。
良かったところ
- 仮想世界「U」の世界観。
- 音楽と作画、演出
もう、言ってしまえば「音楽が凄い」、「作画が凄い」それだけの映画です。そこにフルコミットしたといってもいいでしょう。
映画館の贅沢なスクリーンで見るのが本当に楽しい映画でした。
音楽も、サントラを購入するくらいに良かったです。(肝心のメインテーマが収録されていないのは残念でしたが・・・。)
悪かったところ
- テーマが絞りきれず、ごちゃごちゃしている印象。
- 登場人物に感情移入できない。
世間の評判では、「細田守監督の集大成」という意見がありました。映画の予告などを観た方は、分かると思います。
「今までの作品のテーマの良いとこどりをしました!」という印象を受けませんでしたか?
別にそれが悪いことだとは全く思わないのですが、この映画で何を伝えたかったのかは分からなかったです。
エガちゃんも動画で怒っていましたが、「いくら何でも話の都合が良すぎるだろ」と。
物語の肝となる部分もキチンと描かれず、観客が登場人物に寄り添えないまま、映画が終わってしまった感は否めないです。
もっと寛容になってほしい
ただ、『竜とそばかすの姫』がクソ映画だったかというと、私は決してそう思いません。
私とエガちゃんで感想がこんなに違う1番の理由は、「何を重視しているか」です。
エガちゃんは細田守作品の中でも、『時をかける少女』や『サマーウォーズ』は大好きらしいんですね。私も『時かけ』は大好きで、自宅にBlu-rayを持っているほどです。
この2作は奥寺佐渡子さんという脚本家が手掛けた作品で、『おおかみこどもの雨と雪』以降の作品は、基本的に細田守監督が脚本を書いています。
だからストーリーが微妙になった・・・と書いてしまうと失礼ですが、『時かけ』や『サマーウォーズ』に比べてしまうと、それ以降の作品は物語の展開に“粗”のようなものを感じるようになりました。
私がそう感じるほどですから、映画好きの方々から見れば顕著に分かるのだと思います。
エガちゃんは、過去に映画関連の本を出版しているほどの映画通です。
目が肥えてしまっているからこそ、今作のツッコミどころ満載のストーリーには憤りを感じてしまったのでしょう。
期待しない生き方
私が本作を楽しめた理由は、シンプルに「大して期待していなかったから」です。
作品に対するハードルをめちゃくちゃ下げた状態で、映画館に足を踏み入れました。すると、自分の思っていた以上の迫力ある映像美と、主人公:鈴(Belle)役を務めた中村佳穂さんの歌唱力に圧倒されてしまいました。
ご都合主義的なストーリーを許してしまうくらい、それらが圧倒的に魅力的でした。
『竜とそばかすの姫』は作品の性質上、そんなに高尚なストーリーも求められていなかったのではないでしょうか。
日本の歴代興行収入ベスト5に入る『君の名は。』や『アナと雪の女王』も、そんなに革新的なストーリーではないですよね。『君の名は。』に至っては、“RADWIMPSのMV”と言ってもいいと思います。
それが結果的に売れているからいい、という単純な話ではなく、多少のストーリー性を犠牲にしてでも光るものがあるなら、そこには価値があると私は思っています。
映画はストーリーこそ全て!という人にとっては、本作は向かないでしょうね。ストーリーが一番大事という意見も、絶対に間違ってないと思います。
涙が出るほど感動できる名作は、美しく素晴らしい物語があってこそ。ですが、過度に期待を持つことは、やっぱり危険だと感じます。
映画に限らず何を体験するにせよ、最初に高い理想を抱き過ぎると、後で失望することになりかねません。
「期待を持たない」
「ハードルを下げる」
そう言ってしまうと、「何だか冷めていて面白くない」という風に感じられるかもしれませんが、ここで私が言いたいのは“幸せの価値基準を高く掲げるな”ということ。
言い換えるなら、“足るを知れ”ということです。
世の中、それこそクソ映画は山ほどあります。あえて名を挙げませんが、私の人生で実際に観た中で、圧倒的にワースト1位の映画がありました。
無理にとは言いませんが、一度ネットで「クソ映画」と調べて、出てきた作品を観てみてください。
もう、マジつまんねえですよ!? 真のクソ映画って、マジで笑えないんですよ!!
一度そういうものを経験すれば、世の中のほとんどのエンタメ作品は、実にクオリティ高くつくられているということが分かります。
世の中の“作品”を手掛けている全ての人をリスペクトするようになります。
静かで豊かな喜び
世界で一番幸福度が高いと言われている国は、フィンランドです。
現地の人たちがどんな生活をしているのかというと、仕事の後にサウナに入り、自然の中でコーヒーを飲みながら、読書をしたり星空を眺めたり・・・決して派手な生活ではないですが、そういった静かな生活の中に「幸せ」を見出しているんです。
私たち現代人に求められている生き方は、まさにこういう姿勢なのではないでしょうか。
足るを知りましょう。