【マンガ】宇宙兄弟の名言を紹介します。 ーPART 2ー 

2020年10月10日

©講談社/小山宙哉

【コラム】前に進む勇気をくれる言葉


 

以前の記事で紹介した、『宇宙兄弟』の名言シリーズ第2弾をやっていきたいと思います。前回はこちらです↓

【マンガ】『宇宙兄弟』の名言を紹介します。ーPART 1ー

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『宇宙兄弟』は私が中学生だった頃、当時通っていた美容室に置いてあったことをきっかけに、読み始めました。

そこから少しずつ読み進めて、大学生になった辺りで、漫画喫茶に行って当時の最新巻(27巻だったと思います)まで一気に読みました。それからしばらくの間、読むのを途中で止めております。

で、今年に入ってからkindleで集め始めて、今は最新巻が出るのを心待ちにしている数少ない漫画になっています。8月頃に出た最新巻(38巻)は発売当日にポチりました。

 

一つ言えるのは、社会人になってからハマりだした漫画ですね。

学生時代に読んでいた頃は、「序盤は面白いけど、主人公が宇宙飛行士になってからは少し面白さが落ちたなあ」という感想でした。ネットでも時々そういった意見を見かけます。

 

最初の展開は、主人公が受ける宇宙飛行士選抜試験が話の主軸で、試験自体の面白さと、最後には主人公が選ばれるのかという、緊張感のある分かりやすいストーリーになっています。だから、そういった感想も分かります。

しかし、読んでいけば分かりますが、『宇宙兄弟』は主人公が宇宙飛行士に選ばれてからが本番です。『スラムダンク』で例えると、湘北5が揃ってからのストーリーです。

『スラムダンク』を未だ読んだことがない人は、こんな記事を読んでいる場合ではありません。今すぐ読んでください。スポーツ漫画どころか、全漫画での頂点といってもいいくらいの作品です。

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主人公が宇宙飛行士になってからのストーリーは、一言で表現するなら“宇宙空間を舞台にしたヒューマンドラマ”といえばいいでしょうか。『宇宙兄弟』に限らず、宇宙を扱った作品ってほとんどがそうだと思います。

ヒューマンドラマというと、地味な心理描写が続いたり、予想のつかないアクシデント等に苦悩する描写が続くというイメージが、何となくあります。

 

しかし、そこは漫画という媒体の強みで、長くなりがちな訓練描写はガッツリ省略したり、キャラクターの心理描写も省けるところは省いているので、テンポがもの凄く良いです。それでも、学生時代に読んでいたときには「まだ宇宙に行かないのか」、「なんか思っていたストーリーと違うな」と感じていました。

この漫画の面白さは、実際に社会に出てみないと分からなかったと思います。私は社会人になってから、

  • 成長するということ
  • 他の人に提案すること
  • 仕事を進めていくこと
  • 結果を出すこと

の難しさを実感しました。別に仕事を舐めていた訳ではなかったのですが、価値観や個性の違う人たちと、一つのことを成すということの難しさが全然分かっていませんでした

そういった状況になってみて初めて、主人公たちの苦悩や、やっていることの凄さが実感できるようになっていったんです。

 

宇宙飛行士という職業は、誇張抜きに、全人類を代表するスーパーエリート集団です。そんな人たちは当然、一人ひとりが誰よりも努力しています。

それでも、そういった努力が必ずしも実を結ぶということはありません。ずっとやっていたことが白紙になったり、たった一度の失敗が大きな後遺症になったりします。

そんな大きな困難に直面しても、決して諦めず、腐らず、自分がやるべきことに全力で取り組むのです

 

何回も『宇宙兄弟』を読み直して気づいたのですが、「もう止めようぜ」という人は一人も出てこないんですよね。そういった姿勢を、私も学ぶべきだなと強く思います。

 

 

勇気をもらえる言葉

前置きが長くなりましたが、今回紹介するのは『宇宙兄弟』の中では超王道の台詞です。知っている人も多いかもしれませんね。

それでも、この辺りの話を読み直していたときは、私がちょうど仕事で行き詰まっていたときで、ドンピシャで心に刺さった台詞です。個人的にとても思い入れがあります。

 

それでは、ご覧ください。

出典:『宇宙兄弟 13巻』より

 

出典:『宇宙兄弟 13巻』より

 

主人公、南波六太(ムッタ)の回想シーンより。懇意にしている天文学者:シャロン博士から、少年時代のムッタは

“It's a piece of cake”

という英語を教わります。このときのムッタは、自分に少し自信がなくなっている時期だったのか、今後よく使いそうだということで

「僕はいざというときに役に立たないダメ人間です」

という台詞の英語を教わろうとしていました笑。

 

そのときに、シャロン博士が教えてくれたのが、“ケーキ一切れ分”という英語の言い回しでした。その言葉の本当の意味はというと・・・

 

出典:『宇宙兄弟 13巻より』

 

そう、It's a piece of cake!というのは「楽勝だぜ!」という意味でした。もの凄くポジティブ、というより楽観的な台詞だったわけです。

 

何故、この言葉をムッタが思い出したのかというと、作中でシャロン博士は、治る見込みがない大きな病気にかかってしまうのです。宇宙飛行士になるきっかけとなった人物の一人であり、少年時代に「月に望遠鏡を建てる」という約束をした彼女の存在は、ムッタにとって、家族同様に大きなものでした。

シャロンが病で倒れる前に、ムッタは宇宙へ行き、約束を果たすことができるのかー?

 

というのが、『宇宙兄弟』という作品の大きな見どころでもあります。

こういった事情があるからといって、ムッタは周囲から配慮されて、すぐに宇宙へ行けるようになるわけではありません。長い長い訓練を経て、いろんな知識を身につけて、時には上手く行かない現実にも向き合って、一つ一つ目標への扉を開けていきます。

 

それでも、どうしようもならない事態が起こった際には、気分が落ち込むこともありますが、そんなときにこの言葉に支えられるのです。

出典:『宇宙兄弟 16巻』より

 

ムッタとは話のスケールが全然違いますが、私も仕事で上手くいかないときはこの言葉を呟いています。流石に人に聞かれるのは恥ずかしいので、物陰でコッソリとですが。

実際、仕事で「楽勝」なんてことあるわけありません。

  • 自分なりに全力でやったことを、上司に否定されたとき。
  • 納期を守ることができずに怒られたとき。

目の前が真っ暗になり、どうすればいいのか分からず、やる気が次第になくなっていく気持ちは、よく分かります。私もそうでした。

 

社会人1年目の頃、深夜まで連日残業しても、仕事の問題を解決することができなかったことがあります。頼りにしていた先輩社員からは「君の仕事だよ」と言われて助けてもらえず、トイレに閉じこもって、その場で叫びたい気持ちを押し殺していました。

当時の上司に、「申し訳ありません。仕事が終わりませんでした」と毎日頭を下げて、惨めな気持ちで帰宅していました。

 

今思い返すと、自分が周囲に助けを求めるのが下手だったり、仕事の進め方が間違っていたりということが原因だったのですが、当時の自分は、上手くいかない要因を他人の所為にしていたと思います。

「なんで教えてくれないのか」

「なんで上司は自分の提出物を採用してくれないのか」

そういう風に考えていました。気持ちがどんどん後ろ向きになり、そればかりか、仕事早く終われということしか考えられなくなっていました

 

でも、辛い状況だからこそ、前向きに取り組まなければ、望んだような結果はついてきません。そんなときに、自分を奮い立たせてくれるのがこの言葉です。実際にやってみると、本当にメンタルがリセットされるんです。

馬鹿にされるかもしれませんけど、試しに言ってみてください。“It's a piece of cake”と。

「こんなもん、楽勝だぜ」と言ってみれば、後はもう、やるだけです。

宣言するというのが、大事ですね。

 

紹介した本

宇宙兄弟 13』 著:小山宙哉

  • この記事を書いた人

イナ

本業は設計者。29歳。書評とコラムを発信する、当サイトの管理人。気ままに記事を更新します。日課は読書と筋トレ。深夜ラジオとADVゲーム好き。

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