【コラム】朗読劇 白昼夢の青写真 CASE-_他が為のIHATOV。【感想会】

2023年8月5日

画像引用元:https://hakuchumu0729.jp ©Laplacian

【感謝】こんな作品をつくってくれて、ありがとうー。


 

神ゲーの朗読劇

7/29(土)に東京・科学技術館サイエンスホールにて開催された、

朗読劇 白昼夢の青写真 CASE-_ケース ブランク 誰が為のIHATOVイーハトーブ

ーに参加してきたので、その感想を今回は書きます。

 

『白昼夢の青写真』は2020年に発売されたPCゲームソフトであり、

ジャンルとしてはADV・ビジュアルノベルになります。

 

Switchでも発売されているので、まだ買っていない方は今すぐポチってください。

好みは人それぞれだと思いますが、私が今までやった中でこんなに面白いシナリオゲーはありません

 

過去に2回ほど熱く語った記事を書いているので、良ければ読んでやってください。

 

過去に書いた記事:
【レビュー】面白さの次元が違う圧倒的シナリオ。『白昼夢の青写真』

続きを見る

【神ゲー】世界と呼ばれた少女の物語。『白昼夢の青写真』【再掲】

続きを見る

 

朗読劇の感想を一言でいうと、とにかく凄かったです。

何が凄かったかって、全てが凄すぎたとしか言えない。公演終了時は完全に放心状態になってました。

 

1週間が経過し、ようやく感情が整理できたので、ブログに感想を書くことにしました。

 

ココに注意

このイベントに参加した方、もしくは『白昼夢の青写真』をプレイ済の方に向けて書きます。

本編を知らない方にとっては作品のネタバレが含まれますので、

ネタバレOKの方のみお楽しみ頂けたらと思います。

 

記事の構成:
  1. 開催までの流れ
  2. 当日の様子
  3. 朗読劇の感想
  4. グッズ付きチケットの特典
  5. 統括

 

では、さっそくはじめていきましょう!

 

 

1.開催までの流れ

今回の朗読劇イベントは、5/18に公式からアナウンスされました。

本作の“正統続編”、原作者による新規書き下ろしストーリー。

参照リンク:浅川悠・三宅麻理恵が出演!ADVゲームの金字塔「白昼夢の青写真」正統続編の朗読イベントが開催決定!

 

ちょうどSwitch版でやり直して、ブログに感想を投稿した後でしたので、

別に狙っていたわけではないのですが、タイミングは良かったです。

『白昼夢の青写真』に脳を焼かれてしまっている私は、ノータイムでグッズ付きチケットを申し込みました。

 

先行抽選の競争率は高く、400名ほどの観客が入るホールは二公演(昼・夜の部)とも完売となったようですが、

私は運良く当選しました。いや、これは運ではなく“愛”ですね。

引用:スラムダンク新装版(20)/©井上雄彦

↑ チケット当選メールが届いたときの私。マジでこんな感じ。

 

公式からグッズ販売の情報展開などの続報もあり、来たる7/29の公演日を心待ちにする日々でした。

Twitter、もとい「X」でもファンの盛り上がりはどんどん高まり、前日の夜は中々寝つけなかったです。

 

あの感動的なエピローグから、一体、どんな物語が紡がれるのだろうーと。

 

 

2.当日の様子

さて、朗読劇の当日。

新幹線で移動して11:00頃に東京に着いた私は、まっすぐ会場付近に向かいました。

 

夜の部に参加予定だったので、グッズ販売(15:00開始)までは周辺をぶらつく予定だったのですが、

メチャクチャ暑い。暑すぎる・・・。

 

マジで命に関わるほどの酷暑日だったので、カフェや休憩所で涼みつつ、

物販開始の時間まで待つことにしました。小説やゲームを持ってきててヨカッタ。

 

物販は公演会場の科学技術館内で行われたのですが、スタッフさんの誘導が上手でスムーズに購入できました。

私はサントラ、Tシャツ、ゲーミングパッドをそれぞれ購入。

 

ゲーミングパッドは人気商品で、すぐに売り切れになってしまったようなので、買えたのはラッキーでした。

(※会場グッズは事後通販されているので、買い逃した方は是非ご利用ください。)

 

17:00頃になると会場に参加される方が集まってきて、朗読劇の入場開始の案内を今か今かと待ち構えています。

こんなにたくさんの同志がいるんだ・・・と、密かに嬉しくなりました。

 

仕事を終えて会場に来た友人とも合流し、二人で「白昼夢の青写真」のイベントTシャツに着替えて、

(結構、同じTシャツを着て参加される方も見かけました。)

参照リンク:「白昼夢の青写真 in her Shoes」TシャツCASE-0

 

いよいよ舞台となるサイエンスホールに入場しました。

 

 

3.朗読劇の感想

ここから、朗読劇を鑑賞した感想を綴ります。

 

・・・いや、正直「朗読劇」というものを舐めてました。

“続編”と謳ってはいるけれど、あくまでも「おまけシナリオ」のようなもので、

ファンサービスの域を出るものではないだろうと。

 

それでも充分嬉しいし、この作品に脳を焼かれた私はきっと満足できていたでしょう。

しかし、実際に公演されたものを観た瞬間、そんな軽い想像は吹き飛ばされます。

 

期待を遥かに超えるクオリティの舞台、シナリオ、演出。そして演者さん達の圧倒的な熱演。

この朗読劇の為に用意された新規OP、スチルイラスト、ミニLIVE。

 

『劇場版 白昼夢の青写真』がそこにありました

舞台上に設置されたゲーム画面に、声優さんたちが命を吹き込む朗読劇。

本当に全てのクオリティが頭おかしいだろってレベルで、2時間の公演が一瞬で過ぎていきました。

 

こういう言い方はよくないと思いますが、惜しくもチケット落選された方、

都合で参加できなかったファンの方々が残念でなりません。

 

これほどの作品を見たくても見れない人がいる、というのはあまりにも酷です。

思わずそんな気持ちになってしまうくらい、圧倒的な舞台でした。

 

Twitter、もとい「X」で『白昼夢の青写真』がトレンド入りするなど、

反響がいかに大きかったかが窺えます。

 

 

今回の朗読劇が今後どう展開されるか分からないので、ストーリーの詳細な内容は書きませんが、

私なりに感動した部分、気になった箇所などを簡単に紹介させていただきます。

 

 

良かったポイント:

今回のストーリーの意義を最も感じたのは、本編後のキャラクターの立ち位置が明確になったことです。

 

具体的には、世凪の仮想空間での語り手となった主人公:海斗と、

現実世界で基礎欲求欠乏症きそよっきゅうけつぼうしょうの根治療法研究を続ける遊馬あすま先生との関係性。

引用元:https://laplacian.jp/yonagi/gallery

 

本編のラストもこの二人が会話する場面で締め括られ、綺麗に決着はついていましたが、

朗読劇のストーリーは更にそこを補強する内容になっておりました。

 

声優さんの生の芝居で各ヒロイン、そしてアンドロイド:出雲の演技を観れたのはもちろんですが、

個人的には遊馬先生の出番多めだったのが嬉しかった。舞台で聴けて一番テンション上がったかも。

 

「この人は許せない」と感じているファンの方はいるでしょうし、私もそれは否定しませんが、

2周目をプレイしたときに、最も強く感情移入してしまったキャラクターでもあります。

引用元:https://laplacian.jp/yonagi/gallery

 

この人がいたから、『白昼夢の青写真』がここまで面白い作品になったことは間違いないでしょう。

遊馬先生の独白から結末までの流れは、思い出しただけで泣きそうになります・・・。

 

また、今回の朗読劇では初めて主人公:海斗に声が当てられました。

福島潤さんが声優を務めたのですが、全く違和感がなかったです。

この方のCV付きでもう一度本編をプレイしたい!と思ったくらいです。マジで海斗でした。

©Laplacian

 

ヒロインを兼役されている浅川悠さん、三宅麻理恵さんはやはり圧巻でした。

プロの声優さんにこんなことを思うのも失礼ですが、どうやったらあんなに演じ分けできるのか。

今回の劇では出番が少なめでしたが、世凪や出雲の生演技を観れたことは、本当に貴重な体験になりました。

©Laplacian

©Laplacian

 

そして、キービジュアルに描かれている通り、今回の物語は“りん”がキーパーソンになるお話

CASE 1のストーリーは特に印象に残るシナリオであり、ファンには堪らない内容でした。

 

シナリオの途中で、海斗が世凪との出会いから別れまでを追憶する場面がありましたが、

演劇中はここで啜り泣きされる方が多かったように思います。

 

「こういうのが好きなんだろ?」という、作り手のニヤリ笑いが浮かんでくる憎い演出でしたね。

大好きだよこのヤロー。

 

 

気になった点:

ーと、ここまで絶賛してきましたが、気になった部分にも触れます。

結論からいうと、私はこの朗読劇で涙を流すほどには感動できませんでした。

 

ゲーム本編をやったとき、軽く3回は泣きましたし、ラストの世凪のセリフ、

「・・・こんなに私を愛してくれて、ありがとう」

ここを読んだときはもう、自分でも引くくらいに号泣してしまったのですが。

 

ゲームをやったときほどには心を動かされなかった、というのが正直な感想になります。

参加されたファンの感想を見ると、「本編より泣いた!!」という声もありましたので、

あくまで個人の1意見に過ぎないのでしょう。

 

何故かというと、理由はシンプルです。

身も蓋もないですが、本編ほどストーリーの尺が無かったから

 

どこまでも救いがない世界で、徐々に記憶が崩壊していくヒロインと、

その全てを忘れることができない主人公の、あまりにも残酷な関係性。

©Laplacian

 

キャラクターたちの切実な感情がリアルに描かれた文章を読んでいくうちに、

完全に主人公とリンクして、「もうやめてくれ」と何度も言いたくなるくらい、

あり得ないほど感情移入してしまいました。

 

しかし、今回の朗読劇では結末に至るまでの主人公の葛藤、迷いが少なかったように思えます。

端的にいえば、どうしようもなく追い詰められる状況だとは感じにくかった。

 

今作のシナリオの最も重要なポイントは、「愛する者の為に誰かを犠牲にできるか。

本編で遊馬先生が主人公たちにやったことと、同じ立場になれるか? というものでした。

引用元:https://laplacian.jp/yonagi/column

 

ーそうして、この朗読劇のハイライトとなる「あのシーン」に繋がっていくわけですが・・・

この場面に向けて、主人公が動かされているように感じたことは否めません。

 

本編シナリオの海斗は、非常に聡明で理知的で、一方で激情家な一面もあるという人物像でしたが、

この朗読劇では3割くらい海斗が叫んでいたので、ちょっとイメージが違っていたかな・・・と。

 

もちろん、朗読劇の公演時間を考えれば、そんな描写に時間を掛けられないのは分かりますし、

私なんかよりも遥かに『白昼夢の青写真』を分かっている人たちが作り上げた作品なのですから、

これは致し方ないところでしょう。

 

総括すると、ファンにとって見たいものが見れた、素晴らしい作品でした

 

 

4.グッズ付きチケット特典

ここでは、グッズ付きチケットの特典について軽く紹介します。

 

 

特典内容は3つで、

  • サイン入り台本
  • 新規CG集
  • エピローグ小説

もう全てが目玉商品といっていいくらいの、豪華特典でした。

お値段は張りましたが、非常に満足しております。家宝にします。

 

こういうものを改めて見ると、本当に妥協なく作品創りに取り組んでいらっしゃることが、良く分かります。

多くのファンの方が気になっているのは、やはり「エピローグ小説」の存在でしょう。

 

Twitter、いや“X”の感想を見ると、「全員に配布して欲しい!」という意見を見かけました。

個人的な意見を言わせてもらうと、マストではないかなという感じです。

 

これはクオリティが低いとかそういう意味ではなく、

このエピローグがなくても物語としては充分に成立していたからです。

こういった配慮というか、特典の塩梅が非常にうまくて、感心してしまいます。

 

グッズ付きチケットが当選せず、どうしても内容が気になる方は僕にDMください

一緒に感想会をやりましょう。

間違っても、転売クソ野郎からメルカリで購入してはいけません。

 

朗読劇の台本は、物語を振り返ることが出来るのでめっちゃ良かったです。

個人的には、本編終盤の海斗と世凪が「30代中盤」と明言されていたのが驚きでした。

作中で人工遺伝子を摂取している描写はなかったはずですが、未来世界の人たちはやっぱり若いんだなと。

 

・・・だからこそ、人類が進化の袋小路に入ってしまったのが本編の悲劇でした。

作中では根本的な問題解決に至ることはありませんでしたが、

この朗読劇のラストで遂に一筋の希望が提示されたので、そういう意味でもやる意味のあった続編だったと思います。

 

 

5.統括

繰り返しになりますが、『白昼夢の青写真 CASE-_ 誰が為のIHATOV』は最高の続編でした。

制作に携わった関係者、スタッフ、演者の皆さんには感謝しかありません

創り手の本気の熱意が伝わる、素晴らしい作品でした。

 

これは余計な一言になってしまうかもしれませんが、

「追加公演してください!」

「BDを発売してください!」

ーといった意見を、公式に向けて過剰にメッセージを送るのは、どうか控えて欲しいなと。

 

行き過ぎた作品愛は、歪んだ正義感になって、創り手を脅迫するような姿勢になりかねません。

愛憎表裏一体は、まさに今作で描かれたテーマの一つです。

 

制作方針は、あくまでも創り手が意思決定するもの。

ファンとしては、ただ祈るしかないです。

 

仮想空間に移住した人類が世凪のことを想い続けたように、

我々も純粋に作品を愛し続けることが一番大事で、求められる姿勢ではないでしょうか。

 

もちろん、私はどんな形でもいいからもう一度観たいと思っています。

追加公演、あわよくばゲーム版の発売を切に願っています。

 

以上が、今回の統括になります。

最後まで読んでくださって、ありがとうございました。

 

 

余談

朗読劇が終わった後、お互いに語彙力を失った友人と帰宅し、

深夜まで飲みながら感想を語り合っていたのですが、

そのときが今年の中でピカイチで充実していた時間でした。本当に酒が旨かった・・・。

 

朗読劇の翌日、Twitterもとい「X」で知り合った白昼夢ファンの方とお会いして、

感想会にも参加させてもらいました。

 

大好きな作品について語り合える仲間っていいなぁ・・・と心から思いました。

参加した皆さん、本当にお疲れ様でした。

 

参考

「白昼夢の青写真」正統続編となる長編ビジュアル朗読劇 『白昼夢の青写真 CASE-_ 誰が為のIHATOV』

 

  • この記事を書いた人

イナ

本業は設計者。29歳。書評とコラムを発信する、当サイトの管理人。気ままに記事を更新します。日課は読書と筋トレ。深夜ラジオとADVゲーム好き。

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