©大和書房/ダル・ベン・シャハー
【書評】幸せになりたい→その答え。
ハーバード大学の神授業
私は全くテレビを見ていない、という話を以前しましたが、中学生の頃までは結構テレビ見ていました。今と違ってyoutubeがそこまで盛んではなかったですし、NetflixやAmazon prime video使っていませんでしたから。その後、高校で寮生活をするようになってからはテレビ離れが進みました。
で、昔は何の番組を見ていたのかというと、もうあまり覚えていないですね。ただ、NHKでやっていた「ハーバード白熱教室」は今でも印象に残っています。
5人の命と1人の命、どっちを選択するかを議論する「トロッコ問題」。多数が生き延びるために、1人を犠牲にすることは間違っているかを考える「ヨット遭難問題」等は知っている方も多いのではないでしょうか。
ハーバード大学では、タル・ベン・シャハー先生という超絶頭の良い人が、
- 幸せとは何なのか?
- どうすれば人は幸せになれるのか?
ということをを徹底的に研究しました。
最初、学生8名から始まった彼のゼミは、数年で1000人以上の学生が申し込むようになり、名実ともにハーバード大学の人気No.1の授業になりました。この講義は多くの学生の人生を変えたと言われています。
今回は、ハーバード大学において「伝説の授業」としてメディアでも取り上げられた、「ポジティブ心理学」のエッセンスを凝縮し、その理論と、実践する為のアクションプランをまとめた本を紹介します。
これを読んで、明日から幸せになりましょう。
幸せの定義
「今、幸せですか?」
と聞かれると、胡散臭い宗教的な雰囲気がありますが、人は誰でも幸せになりたいですよね。人は皆、幸せになるために生まれてきたのですから。
では、「幸せ」って何なのかと改めて考えると、それは人それぞれだと思います。
例えば、仕事に全力で打ち込んで市場価値を高めることに熱心な人もいれば、趣味の時間を全力で生きている人もいます。
趣味の内容も人それぞれです。休日は外に出て友達とパーティーするのが好きな人も、家で一人で映画を見たりゲームをしている人もいます。
どの時間を過ごしているのが一番幸せなのか、それはその人自身の価値観によりますよね。
ちなみに、今の私は通勤時間や休日に読書をして、こういうブログを書くことが基本の休日のパターンになっています。連絡を取り合っている友人は数名で、コロナの影響もあり外出もほぼしておりません。
「それの何が面白いのか?」と、人によっては言われてしまいそうな生活ですよね。でも、今の私は結構幸せですよ。少なくとも、自分の目標に向かってやりたいことをやれているので。
こういう生活を過ごしていて、改めて思いました。「人の幸せって何なのだろう?」と。
時代や個人によって異なるとは思いますが、私なりに答えを出すとするなら、「人生に希望を持てているかどうか」で決まるものかなと。その希望を持つための要因として、「仕事」や「人間関係」や「愛」、「お金」等が関わってくるのでしょう。
52のアクションプラン
大雑把に決めてしまうなら、「ポジティブな人」は幸せだと思います。
一見明るい人でも、その内には他人には分からない、深い悲しみがあるかもしれません。ですが、ポジティブな人は周囲にも良い影響を与えるので、自然と人が集まります。少なくとも、ネガティブ思考の人よりは幸福になりやすいのではないでしょうか。
では、人生をポジティブに過ごすにはどうしたらいいのか、ということの研究結果を、52のアクションプランにまとめたのが本書です。
前述したとおり、「ポジティブ心理学」の理論を日常生活に落とし込むために、一つ一つワークが設定されています。これに取り組むことで、単なる知識では終わらず、実際の行動に繋げることができます。
・・・とは言うものの、いきなり52のワークをやって、更に、習慣化させることができる人は殆どいないでしょう。少なくとも私には無理です。
というわけで、本書を読んだ私が「これはできそう」、「これはやった方が良い」と思ったものを3つほど紹介させて頂きます。
どれも簡単にできるので、安心して下さい。ただ、習慣として落とし込むのは難しいかもしれません。
1.感謝をする
綺麗事のように感じるかも知れませんが、幸福になるには、ポジティブになるには「感謝」を忘れてはいけません。
私たちが普段、何気なく享受している生活は、非常に高水準で恵まれているものです。それは、世界の多くの人々が、一生懸命に働いているから成り立っています。
コンビニで何か買って食べるだけでも、レジを打ってくれる店員さんや、商品を仕入れてくれる業者、それ以上の多くの方が関わっています。
そもそも私たちがここまで生きてこれたのは、教育を受けさせて、育ててくれた両親がいたからこそです。
そんなことが「当たり前の幸せ」になっていますが、感謝の気持ちを今一度持って下さい。毎日1〜2分、ちょっとしたことでもいいので、感謝できることを5つ書くという実験をした人たちは、人生を肯定的に見れるようになり、幸福感が高くなりました。
幸せへの第一歩は、感謝することです。
特別な出来事なんて必要ありません。ただ、普段の日常を「有り難い」と思うことで、恵まれた部分に「意識が向く」からです。
そうやって、自分にとって大切なことに気づくことが大事なんです。
ACTION:感謝ノートをつくる。
ノートを用意して、上記のワークを毎日やって下さい。自分自身を褒めてあげてもいいと思います。毎日仕事を頑張って偉い!なんて人前で言うのは恥ずかしいですが、ノートになら書けるでしょう。
感謝というのは他人の為だけにするものではありません。自分を肯定するためにするのです。
2.運動をする
世界的有名企業のCEOや、各国を代表するリーダー。私たちのような平凡なサラリーマンとは別次元に忙しい生活を、彼らは毎日過ごしているのでしょう。そんな人たちの多くが、私生活に「運動」の習慣を取り入れているというのをよく聞きます。
健康を維持することも勿論、重要なことですが、「運動」する習慣はそれ以上に大事な意味を持っています。
週3回、1回30分の運動をすることには、抗うつ剤を服用するのと同じ効果がある。そんな研究結果が紹介されています。逆に言えば、運動を全くしないということは、段々と鬱に近づいていくということです。
確かに、長期休暇とかに家でずっとダラダラ過ごしていると、気持ちが後ろ向きになっていきますよね。私はそういう休日を過ごして、後悔した経験があります。
人間は元々、体を動かして生きている動物です。素直に本能に従って、運動の習慣を取り入れましょう。
ACTION:今日から運動する。
最終的には45分の運動を週4回やりなさい、と本に書かれているのですが、ここまでやるのは流石に厳しいかな・・・と個人的には思います。
私も今年からジムに通い始めましたが、大体週に3回のペースでした。今はコロナで自粛している為、家にヨガマットを敷いてスクワット、腹筋、腕立て伏せを50回ずつやっています。
これくらいの軽い運動でも、結構リフレッシュになりますし、何も運動しないより断然マシです。
ジムに行くのもいいですが、自分が楽しんでできるものだとより良いですよね。キックボクシングとか、ボルタリングとか趣味でやっている人も多いので、私もそろそろ、そういったものに挑戦してみようと思っています。
3.困難から学ぶ
「困難」という言葉から連想されるものは、苦しい、辛い、嫌だ。そんな後ろ向きの感情でしょう。人生で大変なことは避けて通りたい、というのは本能からくるものであり、むしろ当然の感情です。
だから、多くの人々は困難に立ち向かいません。彼らは困難の正反対にあるものが「楽しさ」だと信じ切っています。その場しのぎの解決法として、お酒、ギャンブル、風俗といったものに手を伸ばします。
でも、本当は分かっているはずですよね。本当に必要なのは不安を取り除くことではなく、困難を乗り越えることです。困難を乗り越えて、人生の意義を達成したとき、私たちは心から喜ぶことができます。
困難こそが人生における全ての喜びの源なのです。
・・・なんてカッコいいことが本には書いてありますが、私としては「何かを達成したときのほうが、酒も美味いですから頑張りましょうよ」位のレベルで受け止めています。そんな心構えで十分だと思います。
ただ、他の人よりもずっと成長したいと思うのであれば、自分にとってより困難な道を選んでください。
ACTION:人生で辛かった経験を書き出し、克服する。
人生で辛かった経験の一つや二つ、誰にでもあるはずです。普段は心の奥底に閉まって見ないようにしているかもしれませんが、一度向き合ってみて下さい。そういった感情に向き合うということが重要です。
傷ついたことを書き出し、整理することで、はじめて私たちは癒やされます。そして、より大きな喜びを感じられるようになります。
最初は上手くいかないかもしれません。人生での体験から、自分ではどうにもならないほどのトラウマを抱えた人もいるかもしれません。
「困難に立ち向かえ」なんて人に偉そうに言えるほど、私も挑戦を続けてきたわけではありません。
それでも、諦めずに挑戦するということが大事です。勝ち負け、失敗か成功かという結果よりも、自尊心にとって長期的に良い結果をもたらしてくれます。
一つ確かなことは、実際に失敗した辛さよりも、「失敗するかもしれない」と感じる恐怖のほうがずっと大きいということです。
Ex.考え方を変える
株式会社divの経営者であり、youtuberとして活躍されている「マコなり社長」が以前、自身の動画でこんなことを言っていました。
「仕事より楽しいものはない。それは譲らない」と。この発言を聞いて、どう思いましたか?
私が最初に思ったことは、「この人ヤバイな」という気持ちでした。尊敬というよりは畏怖に近かったです。というのも、私は彼の動画を日常的に視聴しており、起業をし始めてからの体験談を数多く知っていました。
とある動画では、
- 開発したアプリが全然軌道に乗らず、創業期の仲間が皆辞めた。
- 会社を潰さないために、毎日2時間睡眠で生活していた。
- やっと事業が成功したと思ったら、大赤字を出してしまい、毎日シャワー室で叫んでいた。
といった壮絶な体験を語っています。
こんな大変な経験をしているのに、仕事が一番楽しいものと言えるものなのでしょうか。今は成功しているから、ポジショントークで言っているだけだと思うかも知れません。ですが、彼自身の幸福度は、起業を始めたときからあまり変わっていないそうです。
私は彼の生き方に憧れてはいますが、シャワー浴びながら叫ぶような生活を続けていたら、いつか死ぬとしか思えません。
だから、こんな風に生きるというのは私には無理です。別にマコなり社長と同じ生き方をする必要は全く無いですけどね。
仕事以上に楽しいものはない、ということの真意
ただ、本書を読んだことで、マコなり社長が言っていた「仕事以上に楽しいものはない」ということの意味は分かった気がします。
多くの人にとって、仕事というのは大変なものであり、辛いものです。「お給料は我慢料」なんて言葉があるように、楽してお金を稼げたら皆苦労はしませんよね。
しかし、本書では興味深い研究結果が報告されています。それは、
多くの人々が仕事より遊びを好んでいるにも関わらず、その行為に完全に没頭し、心から楽しんでいる状態を体験するのは仕事のほうが多い
という事実です。
何とも奇妙な結果だと思う一方で、どこか思い当たるところはありませんか?
私たちは仕事をしているとき、確かに時間を忘れて没頭している瞬間があります。
苦労してやっと目標を達成できたとき、プロジェクトが上手くいったときの喜びは、例えばゴルフでベストスコアを達成したときよりも、ずっと大きい場合があります。
仕事は辛いもの、遊びは楽しいものといった意識が、私たちには過剰に刷り込まれています。そういった偏見を持ったままでは、自ら幸せになれる可能性を制限しているのです。
ACTION:学び続ける
幸福で成功している人というのは、今も学び続けています。昔、「女王の教室」というドラマで、女優の天海祐希さんが演じた担任教師が、「好奇心を失った瞬間、人間は死んだも同然」といった台詞を言うのですが、確かにそうなんですよね。
世界に対して何の疑問も思わない人生は、さぞ退屈なものでしょう。
本書では、次の2つの分野を勉強することを推奨しています。
- 自己啓発
- 仕事に関すること
それらの相関関係や、どちらの関心も満たせるものに気づいたとき、自分が興味を持てる分野というものも見つかっていくはずです。それに出会える人生は、「幸福」と呼んでもいいのではないでしょうか。
まとめ
今回紹介した内容は、本全体でいうと僅かなものでしたが、いかがだったでしょうか。
「人生を変える」という大仰なタイトルの割に、案外普通だなと拍子抜けしたかもしれません。確かにその通りで、まとめるとこういうことです。
- 感謝しなさい
- 運動しなさい
- 勉強しなさい
何と言うか、当たり前のこと過ぎて驚きがないですね。小学校で先生から言われそうな内容です。
この本から学べることは、人生を変えるために必要なことは思ったより単純だという事実に気がつくこと。
そして、幸福になれるかどうかは、自分次第ということです。
私が取り上げたものは一部の内容なので、興味があれば読んでみてください。
紹介した本
『ハーバードの人生を変える授業』 著:タル・ベン・シャハー 訳:成瀬まゆみ
オススメ度:★★★☆☆
※結構、知っている内容が多かったので、個人的には買うほどでもなかったかなという感想です。