【書評】一人の天才作家が、魂を燃やして生み出した劇薬。
ボーボボ
・・・とうとう、この作品を取り上げるときが来ました。
2001〜07年にかけて『週刊少年ジャンプ』にて連載された、伝説のギャグバトル漫画。
『ボボボーボ・ボーボボ』を紹介させていただきます。
連載終了から15年が経過しようとしている漫画ですが、
今でも語り継がれることの多い作品です。
むしろ、ここにきて再ブームの波がどんどん押し寄せているように感じます。
- ジャンププラスにて毎日無料公開!
- 「無敵要塞サイガス」のフィギュア化!
- グラブルとのコラボで「亀ラップ」が再録!
その火付け役になったのは、Mステでのゴールデンボンバーとのスペシャルコラボでしょうか。
あれが、全国で眠っていた“ハジケリスト”にとって、一斉蜂起の合図になったのかもしれません。
令和という新時代は、一体どこに向かおうとしているのでしょうか・・・。
Mステで金爆がボーボボを呼び出して世界トレンド入り。ボーボボのカオスを語る人たちが氾濫する事態へ
連載していた当時、小学生だった私たちの間でも大人気だった、伝説のギャグバトル漫画。
過去の記事で何度か画像を引用させてもらっているので、察している方もいたかもしれませんが、
『ボボボーボ・ボーボボ』全21巻。そして、『真説ボボボーボ・ボーボボ』全7巻。
私は全冊Kindleで購入済みです。
・・・2020年、『鬼滅の刃』の漫画・アニメが日本中で大ヒットし、
全国の老若男女が炭治郎や煉獄さんの勇姿に夢中になっていた頃、
私はボーボボを買い集めていました。
新型コロナウイルスが世界的に流行し、どこもかしこも自粛・自粛となって、
当時の私は既におかしくなっていたのかもしれません。
先月、私と同じようにコロナの陽性になり、自宅待機をしていた友人から、
「ボーボボを初めて読んだ」という話を聞きました。
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【体験談】とうとうコロナ陽性になりました。自宅待機で過ごした感想。
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存在は知っていたけど、ちゃんと読んでみたのが初めてだった友人は、
「とにかく“凄い”」ということを話していました。
あまりの衝撃だった為か、「読んだ後に体調が悪化した」とまで言っていました。
下手したら人生が狂うとも。
・・・あながち否定できないのが、恐ろしいところです。
その会話をきっかけに、私も全巻読み直してみて、
改めて「ボーボボってやっぱりすげぇわ」と思ったので、
今回の記事を書いた次第です。
どんなマンガ?
ジャンルとしては「ギャグバトルマンガ」にカテゴライズされるのでしょうか・・・?
Wikipediaの情報によると、コンセプトは「不条理ギャグバトル漫画」ということらしいです。
全巻持って読んでいる癖に、こんな曖昧な紹介をして申し訳ありません。
正直、この説明で本当に合っているのか、分からないです。
「ボーボボってどんなマンガ?」と訊かれても、
「ボーボボはボーボボなんだよ」としか答えられないような気がします。
何を言っているか意味不明だと思いますが・・・
それくらい前衛的で、革新的で、他に類を見ないマンガだったからです。
“不条理系”として雰囲気の近い作品(例えば、『でんじゃらすじーさん』や『ポプテピピック』等)はあっても、
決して比較できるような存在ではありません。
時代が平成から令和に移り変わっても、「ボーボボ」に並ぶような作品は生まれていません。
「今の人類には早すぎた作品」と称されるくらい、凄まじいパワーを持ったマンガでした。
どれくらい凄いのかというと、
第3話でキャラクター人気投票を実施し、
1位から10位まで全員ボーボボが独占する結果発表をしたマンガです。
上記の人気投票は、後に多数のパロディが生み出されるほど有名な場面ですが、
別にここだけが特別おかしいとかではありません。
この場面に匹敵するくらい、常人には考えられない展開のオンパレードなのです。
伝説
「このマンガを理解するよりも、宇宙の謎を解明する方が簡単」とまで言われた作品、
それが『ボボボーボ・ボーボボ』です。
近年では“ONE PIECEの正体”という説もあります。(ソースは2ch)
ワンピースの正体、「ボボボーボ・ボーボボ全巻セット」の可能性が急浮上
2003年から2005年にかけて、アニメ化もされた程の大人気マンガでしたが、
数えきれないほどの伝説を残してきました。
その一部をここで紹介します。
あらすじの時点でもう分からない。
よくネットで話題に挙がる画像で有名なのが、アニメ版ボーボボの、第12話のあらすじ。
もう一行目から意味不明で、あらすじが全く機能してません。
しかし、ちゃんとこの通りに映像化されています。
ボーボボで描かれる内容を文字起こしすると、どうやっても怪文書にしかならないので、
ネタバレが全くネタバレになりません。
実際、ボーボボ第194話のネタバレが、当時のネットの掲示板に掲載されたことがあったのですが、
内容が奇想天外過ぎて誰にも信じてもらえないという事態が起こりました。
そのときのコピペがこちらです・・・。
カンチョー君最後の特攻。ハイドレート過去回想へ。
寝てる天の助。弓矢。としちゃん。
4世とハイドレートは兄弟だった。つり人。
生まれてから帝王と下僕にわけて育てられた二人。
兄を守るために真拳使いになることを命じられる。
ハイドレートの前に真拳使いの家庭教師。だれるボーボボ達。
魚雷ガールの父地雷ダンディ、と5歳の魚雷。
何真拳を使いたいかハイドレートに聞く地雷が勝手に足の裏真拳に決める。
地雷ぬかに足をつけて8年。地雷死亡?過去終了。
地雷が気になるボーボボ達に足の裏真拳最終奥義で襲い掛かる
ハイドレートの足から出る悪霊みたいな。
笑い死にしそうになるボーボボ達大ピンチ。首領パッチステッキ。
ナントカカントカパトローナム。やっぱギャアァァァ。ふざけすぎー。
再び過去回想。
4世によってハイドレートが闇に送られるとき天の助はDJだった。
暴走ハイドレートは地雷ダンディの円盤真拳によって闇に送られる。地雷爆発。
闇の世界はマルハーゲ帝国に逆らったものが送られ葬られる場所だった。
闇の世界で裏帝国を作り力を蓄えるハイドレート。
しかしボーボボ達の興味は地雷ダンディのその後だった。(犬にくわえられている)
ベーべべ洗脳の過去回想へ。
猫誘拐。かつおぶし。七輪。さんま。毛糸玉。
ボーボボ兄弟の絆。ナントカカントカパトローナム。
あげ破壊。ボーボボ決め台詞で終わり。
思ったより長くなった。大体こんな感じでわかるだろ。
薬でもキメているとしか思えないような文章ですが、
このネタバレは全て本編で描かれた内容そのままです。
・・・何から何まで真実なのですが、全く頭に入ってこない。
こんなの見てたら頭がおかしくなる。
テレビ朝日系列で、2003年11月8日~2005年10月29日にかけて、
ボボボーボ・ボーボボのアニメが放送されました。
アニメの出来自体は、当時の基準と比較しても、良くできていたのですが・・・
混沌を極めた物語の展開は、全国の親御さんからの評価がよろしくなく、
多数の苦情が寄せられてしまいました。
その結果、放送開始から1年ほどでローカル放送となり、
スポンサーが付かない状態で放送されるという異常事態に。
最終的には「闇皇帝編」の途中で、アニメ版ボーボボは幕を閉じることになりました。
その時に寄せられていたPTAからの苦情の内容が、
「こんなもの見てたら頭がおかしくなる」
「教育に悪い」とか「下品」とかではなく、
「頭がおかしくなる」という前代未聞すぎるクレーム。
漫画やアニメに対する規制の声って、私は大嫌いで、
「嫌なら自分が見なければいい」という姿勢なのですが・・・
残念ながら、このクレームには全く反論できません。
こんな映像が全国の電波で放映されていたと考えると、とんでもない話です。
そんなボーボボのアニメなのですが、
出演されている声優さんたちが超豪華なことでも有名です。
ボーボボ役:子安武人さん
- ディオ・ブランドー/『ジョジョの奇妙な冒険』
- ジーク・イェーガー/『進撃の巨人』
- クラウディア・ホッジンズ/『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』
首領パッチ役:小野坂昌也さん
- ケルベロス/『カードキャプターさくら』
- 相田彦一/『SLAM DUNK』
- リーロン/『天元突破グレンラガン』
ビュティ役:野中藍さん
- 伊吹風子/『CLANNAD』
- 佐倉杏子/『魔法少女まどか☆マギカ』
現場でどんなアドリブを入れてもNGにならなかった為、
自分たちは天才だと思ったとか。
視聴者からの評判は良くなかったかもしれませんが、スタッフや声優さんたち、
制作側からはとても愛されている作品です。
『ボーボボ』声優集結で思い出語る 子安武人、小野坂昌也、野中藍ら「貴重な作品だった」
当たり判定が広すぎる。
ボーボボはありとあらゆることをマンガ内でやっているので、
近年の話題作である『鬼滅の刃』や『呪術廻戦』のようなダークな作品であっても、
その関連性を指摘される程です。
「作者がボーボボに影響を受けている」というより、ボーボボが色んなことをやり過ぎている為、
当たり判定がデカ過ぎるといった方が正しいでしょう。
全ての漫画はボーボボに通じていた・・・?
特色
物語の大筋は、西暦300X年の未来で全人類を丸坊主にして支配する「マルハーゲ帝国」に対して、
“鼻毛真拳”の使い手であるボーボボが毛の平和を守る為に戦うというもの。
連載開始当初は、シュールギャグだけで話が終わる回があったりと、
漫画のフォーマットそのものが不安定でした。
「バトルをギャグとノリで戦いながら進む」という定番の流れが決まったのは、
単行本でいうと7巻辺りからになります。
漫画のスタイルが確立されてからのストーリーは、まだ話の流れが理解できるので、
覚えている部分も多いのですが・・・。
前後の話と全く関係ないコントが、平常運転で次々と行われる序盤の展開は、
本当に意味不明です。
起承転結すら分からない、ロジックなんて何もないスタイルを、
勢いだけで進行する理解不能なストーリー。
物語の流れが言語化できない為、読んでいる瞬間は爆笑していても、
後からストーリーを振り返ったときに、全く説明ができません。
「世界一面白い走馬灯」という感想がネットにありましたが、
その表現が自分の中で一番しっくりきます。
漫画のスタイルが確立されて以降の展開も、ざっくりは理解できますが、
やっぱり分からないことだらけです。
「普通こうだろう」の“普通”がボーボボには存在しない為、
先の展開がまるで予測できません。
スタートとゴールだけは覚えていても、その途中で起こる出来事がめちゃくちゃなので、
「いつの間にか敵に勝っていた」という気持ちになります。
常人には思いつかない展開の連続でありながら、この漫画にはいわゆる「休憩回」がありません。
大きな章と章の間もメインキャラクター達はふざけまくるので、
異常なテンションが最初から最後まで続きます。
また、ストーリーの展開も物凄く早く、普通の漫画の5倍くらいのスピードで物語が進行します。
コミックスでいうと、大体3巻で一つの章が終わる感覚です。
実際に読んでみると3巻の密度じゃねえよ・・・。
作者の澤井先生はボーボボの連載終了以降、職業として漫画家を続けてはいますが、
作品の路線は大きく変更されています。
そうなるのも仕方がないと思えるくらい、凄まじいエネルギー密度を持った作品でした。
一生マンガが描けなくなっても当然のリソースを、「ボーボボ」という作品に注ぎ込んでいます。
作者自身も自分の生み出した作品に狂わされてしまった、まさに“劇薬”です。
登場人物
今回の記事でストーリーを含めて紹介しようと思ったのですが、読み直してみた結果、
これを一つの記事にまとめるのは私には不可能だと判断しました。
なので、作中のメインキャラクターだけ最後に紹介して、
この記事は終わりにしようと思います。
ボーボボ
この物語の主人公。
作者が「鼻毛かダンスの漫画を描こうと思っている」と編集に相談したとき、
「鼻毛でいこう、澤井くん」
という答えが返ってきた為、「鼻毛」をコンセプトにした漫画が始まった。(実話)
その名残か、ボーボボの髪型や服装は思いっきりダンサースタイルである。
野菜連合によって、十字架に磔になった状態で主人公が初登場する場面は、
未来永劫出てこないと思います。
首領パッチ
自称主人公だったりヒロインだったりする、金平糖みたいな赤い生き物。
その正体は、アルプス山脈に生息する水の妖精。私はさっきから何を書いているんでしょうね。
作中屈指の“ハジケリスト”であり、思考が同じになる「首領パッチエキス」が登場した場面は、
ヒロインのビュティを戦慄させてしまう程。
読者人気は全キャラ中ダントツの一位。
意外にもこの作品に下ネタは少ないが、時々セクシーシーンを披露してくれる希少なキャラクター。
ちっとも嬉しくないぞ。
ところ天の助
身体がところ天で出来ている半透明の生き物。「プルプル真拳」の使い手。
元毛刈り隊Aブロックの隊長だったが、マルハーゲ四天王の一人、軍艦との戦いから味方となった。
基本的に不死身の為、パーティのタンク役として極めて優秀。
ダメージソースの7割がボーボボ。
ビュティ
本作のヒロインで、ツッコミ担当。
この娘がいなければ、ボーボボは商品として成立しなかったまである、超重要なキャラクター。
ビュティがほぼ登場しないことで有名な「亀ラップ」の回は、
アニメ化までされてしまった為、無事に放送事故になった。
なんでかなー? なんでだろー?
凄まじいパワーを持った作品のツッコミ役を、一人で担ってしまっている為、
他の漫画の画像にビュティを混ぜるだけで「ボーボボ」になる。
へっぽこ丸
オナラ真拳の使い手である、心優しい少年。
基本的にツッコミ役だが、バトルオタクでもあるのでボケ担当になることもある。
他キャラに比べると戦闘力が未熟な為、やられることも多いが、
『真説ボボボーボ・ボーボボ』では成長したへっくんの姿が見れるぞ。
その他にもソフトン、破天荒、魚雷ガールといったキャラクターが登場しますが、
メイン人物の紹介ということで、今回はここまで。
最後に
この作品は全巻購入して全部読んだはずなのですが、全く内容を覚えていませんでした。
覚えてないというより、“脳が情報を処理できない”といった方が正しいのでしょうね。
ただ一つ断言できるとすれば、皆ボーボボが大好きってことです。わけわからないですけど。
いろんな意味で、空前絶後な作品だと思います。
今回の記事ではストーリーの紹介が出来なかったため、次回に持ち越します。
更新をお楽しみに。
(・・・まさか続くとは思わなかった。)
紹介した作品
『ボボボーボ・ボーボボ』 著:澤井啓夫