【要約】確実に締め切りに間に合う方法『なぜ、あなたの仕事は終わらないのか』

2020年2月29日

©文響社/中島聡

【書評】仕事は「最初だけ」頑張ればいい。


概要

マイクロソフト社でプログラマーとして、Windows95の開発に携わった著者が、圧倒的な実績を出すことをできた理由は「時間との向き合い方」だった

  • 自分よりも優秀な能力を持つ者たちを、どうやったら出し抜くことができるのか。
  • やりたいことを実践するためには、どのような努力をしていけばいいのか。

本書ではそのノウハウとなる時間術を伝授する。時間を制する者は、人生を制す。

 

 

爆速で仕事に取り掛かれ!

ロケットスタート時間術。著者の中島さんが、実践し続けたことで結果を出すことのできた方法です。一言でいえば、納期に対する2割の日数で、全体の8割の仕事を終わらせるというものです。順を追って解説します。

2割の日数で8割の仕事を終わらせる、という言葉だけ聞くと

「そんなの無理だろ」
「相当な能力がないとできっこない」

と思われるでしょう。実際、私はそう思いました。

しかし、これはあくまで、あなたの仕事の進め方に対する考え方を変えよう、という話です。自分の能力以上の実力を無理やり発揮して、必ずそうしろというものではありません。

 

終わらない仕事のやり方

私の普段の働き方、多くの方がそうだと思われますが、仕事をする際に先ず「見積もり」をします。設定された納期から逆算して、一日の仕事量を割り振り、納期が近くなれば残業をし、期日内に仕事を完了させるような仕事のやり方です。

この方法を本書では「ラストスパート志向」と呼んでいます。そして、この方法をやっている限り、あなたの仕事は終わりません

その理由を、本の中では数学のテストに例えて、こう説明されています。

 

数学のテストは、基礎問題と応用問題から成されます。当然、私たちは最初に簡単な基礎問題から解き始めます。

一通り解き終えたら、応用問題に初めて目を通します。応用問題だけあり、持っている知識を活用して解を求めなければいけませんが、どうやっても解けません。

そして結局、時間切れということになります。

 

この例はあくまでテストの話なので、減点で済む話ですが、これが仕事となるとどうでしょうか?

応用問題が解けない限り、絶対に仕事は終わりません。しかし、実際に取り掛かってみなければ、問題を解くのにどれくらいの時間がかかるのかさえ分かりません。

要するに、納期を守れない人は応用問題を甘く見ている人です。

  • 安請け合いをして内容の理解が足りない
  • ギリギリまで難しいところをやらない
  • 計画の見積もりを間違える

これが、仕事が終わらない人が実際にやってしまっている、典型的な仕事の進め方です。

 

 

納期を守る為にやるべきこと

ロケットスタート仕事術を実させる為、ここからは具体的なアクションプランを紹介します。

 

①プロトタイプを先につくる

2週間後が締め切りと言われた仕事があります。この仕事が2週間で終わることができるかは、やってみないと分かりませんし、上司だって、必ずしも計算して立てた日数とは限りません。

仕事のリスクは、先ず自分で計るしかありません。

その結果、2週間で終わらないことが分かれば、上司に相談する。これが私たちのやるべき仕事の進め方です。

 

中島さんは、「全ての仕事は必ずやり直しになる」と言っています。どうせやり直しになるのだから、最初は細かいことはさておき、全体像を真っ先に作り上げるべきだと。これは私も同意見です。

私も経験があるので言えますが、仕事が遅い人は、作業のスピードが遅いのではなく、後で膨大なやり直しをする羽目になって、結果的に遅くなっています。仕事のアウトプットが最初にイメージできていない上に、他者と意識共有ができていないからです。

 

締め切り前に締め切りを設定する

締め切り当日がゴールと思っていると、最後になって不足していた部分に気づき、慌てることになります。それで何とか出来る人ならそれでいいのでしょうけど、世の中のほとんどの人はそんなに優秀じゃないので、大変に困った事態になります。

中島さんはこれを仕事の「誤差」と呼んでいます。

これは、避けることができないアクシデントと言い換えていいでしょう。締め切り前に体調を崩すとか、PCの調子が悪くなるとかですね。仕事に限らず、プライベートでも電車の遅延等が原因で、待ち合わせに遅れた経験がありませんか? 

 

中島さんはこういう場合、待ち合わせの30分前にはカフェでコーヒーを飲むようにしているそうです。中島さんにとって、10時に待ち合わせすることは、9時30分に近くのスタバでラテを注文することと同義です。締め切りを狙っても締め切りには間に合わないからです。

 

ロケットスタート時間術の実践法

冒頭で述べた、ロケットスタート時間術について、まとめるとこのような流れになります。

  1. スケジュールの割り出しの為に、2日下さいと答えて仕事に取り掛かる。
  2. その2日で、ほぼ完成の状態まで持っていく。
  3. 2が達成できなかった場合、スケジュールの見直しを交渉する。

仕事が終わらない原因は、締め切り直前のラストスパートです。10日でやるべきタスクなら、2割の2日で8割終わらせるつもりで取り掛かる。ミスがあっても、初期段階ならリカバリーも容易です。

アドバイスとしては、考えてから手を動かすのではなく、手を動かしながら考えて下さい、と述べています。そして、残りの2割の仕事は「完成にまで持って行く仕事」です。8割の日数で、2割の仕事をこなすわけなので、余裕をもって、「仕事の完成度を高める」ことに専念します。

 

締め切りまでの日数によって、最初の2日という期間は変わりますが、早い話、超前倒しで仕事を進めていけ、というやり方です。

重要なポイントですが、納期を前倒しにするのではなくて、取り掛かりの時期を前倒しにすることです。

最速で仕事を終わらせるというよりも、安定して仕事を続けていくための手段だと意識して下さい。

ここからは、活用方法の具体例を紹介します。

 

ロケットスタート時間術を活用する
①長期の仕事の場合:

1年間かかるプロジェクトだと、最初の2割の期間が月単位になってしまいます。そんな長期間、ロケットスタート時間術を実践するのは、不可能です。

こういう場合は、先ず仕事を切り分けて、1年単位の仕事を10日~16日単位の仕事に分解すること。困難は分割せよ!

 

②並行して仕事を進める場合:

筆者はマルチタスクを非推奨していますが、どうしても、そういう状況にならざるを得ない人がいます。

この場合は、1日を朝、昼、夜に切り分けて、各プロジェクト(A, B, C)に取り掛かる期間とします。そして、それぞれの最初の時間(例えば2時間とかに設定する)で8割の仕事を終わらせる。

分解した以上、Aをやっている間にBやCに手をつけてはいけません

 

③大きな仕事と小さな仕事が並行して進む場合:

小さな仕事は、ロケットスタートの期間に集中して行うものではありません。かといって、納期直前に全力でやっても終わりません。

なので、大きな仕事をロケットスタートで8割終わらせた後の、残りの日数で、小さな仕事の準備をしていきます。そうすれば、2つの仕事を抱えていても、前倒しで進めていくことが可能です。

 

どんな状況でも、基本は変わらずに応用することができます。取り掛かりの最初の期間で、超集中して仕事を進め、メールや電話等の雑務は、残りの8割の時間で「流し」で済ませてしまいましょう。

緊急の連絡等は、当然優先されるべきですが、そういったものは例外です。普段の仕事では、最初の数時間のメールは無視します。

 

 

中島さんの生き方 

本書は時間術に関する内容でしたが、中島さんの生き方、人生観も多く記載されていました。マイクロソフトの創業者であるビル・ゲイツに関するエピソードもあり、とても面白かったのですが、ここでは割愛します。気になる方は読んで下さい。

 

成功できる人と成功できない人。

そこには、様々な要因があると思います。その要因として中島さんは、「時間の使い方」を挙げています。

成功者は皆、時間の使い方が上手いんです。繰り返しになりますが、時間を制する者は、人生を制すのですから。これは「リバウンドを制する者は試合を制す」という『SLAM DUNK』の名セリフと同じくらい、信用できることだと思っています。

 

中島さんの生き方、それを一言でいうと、「自分の苦手なことはやらなかった」ことです。

中島さんはとても優秀なプログラマーです。幼少期の頃から、バリバリの理系タイプだった彼は、理数系の科目のみで有名進学校へ入学しました。

逆に、歴史用語を覚えるのは苦手だったらしく、社会科目は殆ど勉強してこなかったそう。そして、学生時代様々なアルバイトを経験し、一番熱中していたプログラミングの道を選び、それが生涯の天職となりました

 

天職を見つけるには

私は、自分に適した職とは何かというのをずっと考えていました。自分の好きなこと、やりたいこととは何なのかと。答えは今も見つけられてはいません。しかし、こういった書籍や、様々なビジネスの動画から学び、一つ分かったことがあります。

やりたいことが分からない人間というのは、要するに何もやっていない人間」です。この言葉は、ベストセラーの『夢を叶えるゾウ』から引用しました。

(※完全に余談ですが、『なぜあなたの仕事は終わらないのか』と『夢を叶えるゾウ』はprime readingの対象なので、Amazon Primeに加入していれば無料で読めます。いい時代ですね。)

 

 

自分を変えようと思ったら、今の立場から動かなければ、何も変わることはありません。そうは言っても、何から始めればいいのかが分からないのだ、という人も大勢いるでしょう。

具体的な解決案としては、「自分が嫌じゃないことをどんどんやっていく」ことだと思います。

これは、先に述べた中島さんの生き方そのものですね。

更に、中島さんは、自分に適した職業の基準は、頼まれなくても自分から喜んで残業するほどに楽しい仕事かどうかで選ぶべきだと言っています。世の中に楽な仕事なんてありませんが、好きなことであれば、困難にも立ち向かうことができます。

 

「努力は夢中には勝てない」と言いますが、集中力というものは好きだからこそ自然に出てくるものであり、無理やり絞り出すものではありません。現状の仕事に満足できていない人は、仕事に対する根本的な問いに、もっと真剣に向き合わないといけません。そのことを改めて感じました。

 

中島さんも、仕事でやりたいことを100%実現できているかというと、決してそんなことはありません。嫌だけどやらなければいけない仕事というものは、常にあります。そんなとき、彼は「どうすれば嫌な仕事を最小化できるか」を考えているそうです。

そして、やりたい仕事があるなら、上司に頼む前にまずやってみることが大事だと言っています。何かに携わりたいなら、まずは企画し、実現可能か調べ、コストを計算し、そこまでやってから上司に「後はやるだけですが、やってみませんか」と持ちかける。

この方法で、筆者はWindows95において「ドラッグ&ドロップ」と「右クリック」という概念を、現在の形につくり上げました。

 

  • やりたいことに勇気をもって飛び込んでみること。
  • 自分の好きなことに向き合い続けること。

それ以外に何かを成し遂げたり、幸せな人生を手に入れたりする手段はありません。

 

紹介した本

なぜ、あなたの仕事は終わらないのか』 著:中島聡

オススメ度:★★★★☆

※仕事の正しいやり方は、「2割共有」です。真っ先に全体像を薄くつくりましょう。

 

  • この記事を書いた人

イナ

本業は設計者。29歳。書評とコラムを発信する、当サイトの管理人。気ままに記事を更新します。日課は読書と筋トレ。深夜ラジオとADVゲーム好き。

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