【書評】現実的に社会で活躍する方法論。正直、つまらないです。
はじめに
前回からまたブログの更新まで、期間が空いてしまいました。申し訳ありません。
ここ最近は、本業の方が相変わらず忙しいこと。また、先週はワクチン3回目の接種が終わり、無事に体調を崩しておりました・・・。
今週から、またブログの方を頑張っていこうと思います。よろしくお願いします。
今回は、moto(戸塚 俊介)さんの書かれた書籍、『WORK』を紹介させていただきます。
2022年の1月に発行されたビジネス書で、割と新しめの本だったのですが、kindleで期間限定:50%オフになっていたこともあり購入しました。
ココがポイント
今の自分の働き方、転職活動に悩んでいる人にとって大いに参考になる。
記事の見出しに「つまらない」なんて書いてしまいましたが、本としては十分に面白く、誰にでも自信を持ってオススメできます。
つまらない理由
ただ、本の中に書かれている内容は、私にとっては既存の価値観を覆すようなものではありませんでした。
本書は「自分の価値を上げる」ことにフォーカスしたビジネス書ですが、書かれている内容そのものは、別の書籍でも書かれているような内容が大半です。
例を挙げると、「主体的になる」とか、「安定思考の危険性」とか・・・
目新しい情報は特に無く、他のビジネス書・記事を読んでいる様な読者にとっては、既知のものがほとんど。
それこそ、私が昔紹介した『13歳からのアート思考』のような、多くの人が気づいていないアート作品の魅力が分かる様になるとか、そういう面白さはありません。
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【要約】美術革命!『13歳からのアート思考』 アートって何なの?からの解放。
続きを見る
読書の大きな魅力である「自分の価値観が変わる」という体験は、この本で味わうことは無かった。
日常の、会社の中で上司から言われるFBに近いものがあります。
実際、Amazonのレビューを見ていても、私と同じような感想を抱く方が多い印象でした。
ある程度の社会人経験を積んだ方や、中堅クラスの方にとっては既知の内容であり、
新たな気付きは無いと思いました。」
この本の価値
では、「そんなこと言われなくても分かっているよ!」と思う人が読む価値が無いのかというと・・・それは違います。
何故かというと、
「分かってはいるけど、社会の中で実現出来ているか?」
または、
「今もなお、継続出来ているかどうか?」
それはまた、別の問題だからです。学んだ内容を実行し、続けていくのが一番難しい。
私たちは物語の登場人物ではないのだから、「常に努力し続けること」が簡単に出来る訳がないのです。
ある本を読んで、職場の雰囲気を良くする方法として「自分から元気良く挨拶すること」がいかに大事かを学んだとします。
ですが、毎日終電で帰宅するような生活が続いてヘトヘトの中、それでも継続して出来るでしょうか?
現実の職場には考え方の合わない、コミュニケーションを避けたいような相手もいるでしょう。
日々の業務で摩耗していく内に、気がつけば本で学んだ内容なんて、とっくに忘れてしまっています。
だからこそ、たとえ既知の情報だったとしても、本を読んで“振り返り”が出来ることは、価値があることだと思います。
「そういえば、今の俺って出来ていないかもな・・・」
そんな風に自分のライフスタイルを客観視し、内省を行うことの出来るツールだと考えれば、無駄な読書なんて無いのです。
(お金を払って購入したのだから、そう考えた方が精神的にも健全です。)
motoさんについて
本の解説の前に、著者であるmotoさんについて軽く紹介しておきます。
著者プロフィール:
< moto(戸塚 俊介) >
1987年長野県生まれ。実名は戸塚俊介(とつかしゅんすけ)。
新卒で地方ホームセンターへ入社後、マイナビやリクルート、スポットライト(現:楽天ペイメント株式会社)など複数社へ転職。
会社員をしながら「moto」というハンドルネームで活動し、2021年4月に個人の転職メディアを上場企業へ10億円で売却。
現在は複数の会社を経営している。著書に『WORK(日経BP)』『転職と副業のかけ算(扶桑社)』。
「転職アンテナ 年収とキャリアを考える転職メディア」より一部引用。
要はサラリーマンをやりつつ、副業でもバリバリ稼いでいる、ちょーイケイケのビジネスマンです。
副業だけでなく、本業の方でも圧倒的に稼いでいるのが凄まじい。
転職に関する情報を多数のメディアで発信されており、名前を聞いたことのある方は多いでしょう。
彼の書籍である『転職と副業のかけ算』は、ベストセラーにもなりました。
転職なんて考えておらず、「俺は今の仕事が大好きで、一生続けていくぜ!」という人でも、彼の考え方は参考になると思います。
ただ、度々発信されている内容で、
新卒で地方ホームセンターへ入社し、転職と副業を通じて年収240万から年収4,000万に至るまでのリアルな実体験とノウハウ。
これがmotoさんの売り文句であり、代名詞となっている紹介ですが・・・正直、どこまで再現性があるのかどうかは分かりません。
こういった情報を鵜呑みにして、
「学歴とかなくても、レジ打ちとかから一発逆転出来るんだなあ!」
などと安易に考えるのは危険です。
当たり前ですが学歴は大事ですし、人生に一発逆転なんて有り得ません。
私は将来的には転職を考えていますし、副業とは言えなくとも当ブログを書いている身の上ですが、
「転職や副業は絶対にやった方が良い」とまでは考えていないです。
楽しければやってもいいし、苦痛なら頑張って続ける様なものではない。それくらいの気持ちでやっています。
あくまで、一つの参考情報としてmotoさんのキャリアから学んでいくというのが、正しい考え方だと思います。
『WORK』の解説
さて、ここからは本書のポイントを私なりにまとめてみました。
ただ、解説を始める前に一つ、言っておかなければいけないことがあります。
YouTuberのサラタメさんが『WORK』の解説動画を2022/1/14に挙げておりました。
その動画で解説していたことと、本記事の内容が被ってしまっている上、当記事の方が「パクリ」と疑われても仕方の無い状況です。
参照リンクはこちら!
【1月発売の新刊】WORK|副業で5億&転職で年収6倍のmotoさんが語る「稼ぐ」の本質
(相変わらず、サラタメさんの解説は分かり易いなぁ・・・。)
ですが、著者のmotoさんは以下の様なことをトゥイッターで発言されています。
リクルートで学んだ「先に言ったら説明だけど、後から言うと言い訳になる」というのは今でも大切にしてる。社内外問わず、先に伝えるべきことを後から話すと例えそれが些細なことであっても「それ先に言ってよ…」となって信頼を失いかねない。情報は適切に伝えるだけでなく伝えるタイミングも大事よ。
— moto (戸塚俊介) (@moto_recruit) April 1, 2022
そう、先に言ったので、これは「言い訳」ではなく「説明」です。
・・・ということで、私は気にしないことにします。
大体、同じ本の要約なんかやってりゃ内容が被るのは仕方ないし、自分でアウトプットすることが一番大事なことだろ!
重要ポイント
①:「自分株式会社」を経営する。
経営者視点を持て!・・・と言われるけど、どうすりゃいいの? に対するアンサー。
②:「仕事を通じて成長したい!」という勘違い。
あなたが成長するとかしないとか、会社にとってはマジでどうでもいい。
③:「素直さを持つ」ことの本質。
社会における「素直さ」に対して、多くの人が誤解している。
本記事は抜粋した内容になるので、転職のことなど詳しく知りたい方は、本を購入して読んでみることをお勧めします。
前置きが長くなりましたが、解説スタートです!
①:「自分株式会社」を経営する。
いきなり「何のこっちゃ!?」と思われるかもしれませんが、これこそが『WORK』という書籍で語られる、仕事に対する考え方の根幹です。
motoさんが本書の冒頭で、自分がこれまでのキャリアで成果を出し続け、成果を上げた最も大きな要因として、
目の前の仕事に全力を尽くして会社の売り上げや、自分の価値について考え続けてきたから。
と、述べています。
私たちが知りたいことは、「そんなことを考え続けられるようになる為に、どうすればいいの?」ってことですよね。
結論は、「自分株式会社」を経営することです。“経営者視点”を自分の中に持つという考え方です。
私たちは、今から「自分」という会社の経営者。その考え方を持つことが大前提です。
自分という会社の売り上げは、今在籍している会社からの給与や副業の収入です。
そこから家賃や食事代、通信費という経費や、住民税や自動車税などの税金が引かれ、手元に残った金額が利益だと考えます。
こういう考え方を日常的に持っていれば、今の会社に切られるような働き方、またはそこだけに依存しているような働き方をしていると・・・
言うまでもなく、いつか会社が倒産してしまったときに大変なことになります。
では、どうするか?
「他に自分を契約してくれそうな会社を見つけておこう。」
「給与とは別の収入源を確保しておこう。」
・・・そんな風に考えていくことができますよね。
会社を運営しているという意識でいれば、自然と自分がやるべきことが見えていきます。
別にこれは転職を勧めているだけの話ではなく、同時に、
- 自分株式会社の売り上げを上げるには、何をすればいいのか?
- どんなことに経費がかかっているのか?
そんな視点を持つことが出来るので、間違いなく自分の将来への投資になります。
大事なポイント
会社はあなたのATMではありません。庇護してくれる存在でもありません。
会社に依存する働き方を続けていくと、その会社が潰れたときのダメージが、非常に深刻なものになってしまいます。
私たちは、常に会社とは対等な存在であり続けなければいけません。
給料は「与えられるもの」ではなく、あくまでも「労働の対価」です。
自分の力で「稼ぐ」ものであることを、改めて認識して下さい。給料への依存は減らしましょう。
不景気でボーナスがカットされたり、給料が下がってしまったりすると、嘆きたくなる気持ちは分かりますが、
そんなことを愚痴っていても、状況は何一つとして好転しません。
今の会社がいくら儲かったところで、私たちの直接の年収がUPする訳ではありませんが・・・
今まで出来なかったこと、個人では出来ない大きな仕事が出来るようになるというのは、お金には代えられない“資産”になります。
会社をビジネスパートナーとして捉えることは、次のステージにいくきっかけに繋がっていきます。
「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ。」
ーリクルートの社訓より引用。
②:「仕事を通じて成長したい!」という勘違い。
「仕事を通じて成長したい!」
ということを考えている人は多いですよね。
決して他人事ではなく、私も就活していた時にはそんなことを面接で話していた気がします。
しかし、この考え方こそが「仕事ができない人」になる、危険な考え方です。
著者のmotoさんも、かつてはそういった気持ちで仕事に取り組んでいたそうですが、リクルート時代の経験を経て、その考えを改めます。
自分の成長などと言っている人間に、本当の成長なんてあるわけがない、ということです。
リクルート事件。
motoさんがリクルートで働いていたときのこと。
「このプロジェクトを自分の成長に繋げたい!」ということを当時のマネージャーに発言すると、
「お前の成長じゃなくて、組織の成果が大事なんだ。お前のやっていることは仕事じゃなくて、自己満足だ。」
と、一蹴されてしまいます。
『スラムダンク』でも同じ様なことを、安西先生が言っていました。
「お前のためにチームがあるんじゃねぇ チームの為にお前がいるんだ!!」
かつて、リクルートという会社は、関連会社の株を“賄賂”として官僚に配っていたとし、社長・役員・多くの政治家が逮捕された事件が起きています。
参照リンクはこちら!
今にも会社が潰れそうな状況から、現在のリクルートを作り上げたのは、「優秀な学歴を持った人」や「前職で活躍した人」ではありません。
沈みゆく会社を潰さない為に、自分が何とかしようと考え、一生懸命努力ができた人たちです。
それこそが、社会で活躍できる最強の力です。
「自分が成長したい!」という思いで働いている人に、同じことができるでしょうか?
つまり、“成長”というのは、それ自体を追い求めていくものではなく、
「会社の利益を大きくするには何をすべきか?」を考え、行動していくことで、結果として身につくものなのです。
自分の成長を目的に仕事をしてはいけません。
それは「手段」と「目的」が逆になっている、典型的なケースです。
勘違いの極地
成長したい!と言っている人は、それでもまだマシな方かもしれません。
世の中には、「朝プペ」とか言って娯楽映画を鑑賞しただけで、まるで自分の人生のレベルが上がったつもりでいるような人もいますからね。
(別に『えんとつ町のプペル』という作品そのものを批判している訳でも、キングコング西野さんのビジネスモデルを否定している訳ではありませんよ。悪しからず。)
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・・・そんな、“おめでたい人”にはなるなってことです。
③:「素直さを持つ」ことの本質。
私が新卒で今の会社に入社したとき、社長の挨拶でこう言われました。
「“素直さ”を持ってください。」
当時は、その言葉の意味するところを、半分も理解できていなかったと思います。
社会における“素直さ”というのは、「言われたことをただやる」という意味ではありません。
大切なのは「何故これをやるんだろう?」という違和感を持つことです。
この視点を持たずに仕事を進めていくと、自分のやっている仕事の目的も不明瞭なまま、やらされ仕事を消化する毎日に成り果てていきます。
よく優秀な人ほど素直だ、と言われますが、
そういう人たちは「言われたことをやる」という素直さだけではなく、
「自分に対する素直さ」も持ち合わせています。
自分が感じた「違和感」に対しても、とても素直です。
このやり方が正しいのか?を問いかけながら仕事をしていけば、新たな価値を生むきっかけになります。
「こうした方がいいですか?」という言葉を、他のどの言葉よりも発言するようにしてみて下さい。
上司に頼るのは間違いではありませんが、自分が楽をする為の行動になっていないかどうか、一度振り返ってみましょう。
上司の指示であっても、なぜこの指示をされたのか、本当にこの仕事をやるべきなのか、という思考をすることが大切です。
経験豊富な上司の方が間違っている可能性だってあります。
自分の考えを提案することは勇気がいりますが、意見を言ってくれたり、懸念点を指摘をしてくれたりする方が、上司にとっても助かります。
「仕事」と「作業」の違い。
私も職業柄よく言われることなので分かりますが、「仕事」と「作業」の違いについて簡潔に説明できますか?
motoさんは本書の中で、こう書かれています。
「仕事をしている」というのはどういう状態でしょうか。
それは、自分が打ち込んでいる数字にどんな意味があり、そのデータがどう使われるかを考えながら仕事をしている状態をいいます。
これは「作業者でいるのは悪いこと」という意味では、決してありません。
しかし、
- 今の職場でもっと出世したい。
- 収入を上げたい。
- 自分の価値を高めたい。
そう考えているのであれば、「今の自分は“仕事”をしているのか?」という問いは非常に大切です。
これからは、自分の脳みそに汗をかいて仕事をしていきましょう!
仕事を作業にするか、作業を仕事にするかはあなた次第です。
置かれた場所で主体性を持って仕事をする姿勢は、どんな場面でも役に立ちます。
終わりに
今回はビジネス書の要約記事でした。
読者の方に退屈に思われないように、ちょこちょこネタを挟んでいます。
そんなことをしているので、最初に書いていた記事と比べると、一つの記事に掛かる工数がどんどん右肩上がりになっています。
中々週1更新を続けていくのが難しいですが、クオリティは落とさずにこれからも記事を挙げていきますので、宜しくお願いいたします。
紹介した作品
WORK 価値ある人材こそ生き残る 著者:moto(戸塚 俊介)