©クラーケンコミックス/雷句誠
【コラム】ファン歴20年の漫画を本気で語ります。
はじめに
今回はいつもの記事とは違います。
ガッシュについて語ります。
これまでに何度か、漫画を紹介する記事は書いてきました。
『アオアシ』や『ピンポン』といったスポーツ漫画。
また、私の人生でNo.1の漫画は『スラムダンク』だと語った記事も書きました。
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でも、ガッシュに関しては記事を出していませんでした。
私にとって『金色のガッシュ!!』という作品は思い入れが強すぎるんですよ。
誇張抜きに、ガッシュとともに私の人生はありました。
王道ファンタジーの少年漫画として、
『金色のガッシュ!!』を超える作品は私の中で存在しないと断言できます。
今年はガッシュが連載開始して20周年という記念すべき年です。
20年間ガッシュを愛し続けた男が、好き勝手語り散らかす内容となります。
やりたい放題させて頂きます。
ココに注意
では、早速始めていきましょう!
ガッシュとの人生
『金色のガッシュ』は2001〜2008年の間、「週刊少年サンデー」で連載されていた作品になります。
小学生だった当時、『ワンピース』や『ナルト』といった超有名作品と同じくらい、
私たちの間では流行っていた漫画でした。
- 可愛さとカッコ良さが合わさったキャラクター
- 口に出したくなる呪文
- 迫力抜群のバトルシーン。
男の子が大好きなものが、そこには詰め込まれていました。
教科書を片手にとって「ザケル!」や「アイアン・グラビレイ!」と叫んだ少年は、私だけではないはずです。
大人になった今でも、「俺にもアンサートーカー発現しないかな〜」とかアホみたいなことを考えていたりします。
また、人生において漫画を「単行本」で初めて買い集めた作品が、『金色のガッシュ!!』でした。
毎月、お小遣いを握りしめて本屋さんに行き、ガッシュの単行本を購入するのが本当に楽しみでした。
これは作品を追っかけていた人なら分かると思うのですが、
「単行本27巻」の表紙は全漫画の歴史上、最もカッコいい表紙だと思っています。
あれだけでご飯3杯はいけますね。(※興味がある方はググってみてください。)
高校は寮のある学校に進学して、そこでもガッシュを全巻持ち込み、定期試験前には現実逃避する為に読み耽けていました。
そして、社会人になったタイミングでおまけ短編漫画のついた“完全版”が発売されました。
もちろん、全巻購入しております。
私の人生は常にガッシュと共にあったといっても過言ではありません。
どんな漫画?
20年前の漫画になりますので、今の子どもたちにとってはもう、馴染みがない漫画かもしれません。
ですので、改めて「『金色のガッシュ!!』ってどんな漫画なの?」という方に向けて、
私から紹介させて頂く記事にしようと思います。
その上で、この作品を通して、私から伝えたいことも書いていきます。
あらすじ
主人公:高嶺清麿(たかみね・きよまろ)は14才の中学生。
暇つぶしでマサつー、マサチューせっちゅ・・・MITの論文を読んで理解する天才です(こんな中学生いねえだろ)。
妬み嫉みから、自分のクラスでも陰湿な嫌がらせを受けていた彼の元に、
オオワシに掴まってぶりを背負った謎の少年:ガッシュ・ベルが現れます。
彼が持っていた“赤い本”は、清麿でも解読できない謎の文字で書かれており、
唯一読める言葉「ザケル」を唱えると、ガッシュは口から電撃を放ちました。
当然、最初はガッシュの存在を危険視していた清麿でしたが、
ガッシュと関わることで、徐々に周囲の人間関係に良い変化が生まれ始めます。
それと同時に、ガッシュと同じような本を持ち、同じような力を持つ子どもと人間が現れ始めます。
そして、清麿とガッシュは否応なしに「本」を巡る戦いに巻き込まれていくことになります。
それは「魔界の王を決める戦い」と呼ばれるものであり、
選ばれた100名の魔物の子と、そのパートナーとなった人間たちによる、
生き残りを懸けた熾烈な戦いの始まりでした。
最初は「ここにいるため」に戦い続けるガッシュと清麿でしたが、
戦闘を強要される魔物の子も中にはおり、戦いを通してガッシュは「やさしい王様」を目指すことを決意します。
魔界の王を決める戦い
『金色のガッシュ!!』における物語の軸が、「魔界の王を決める戦い」です。
簡単にルールをまとめると、
ルール
- 選ばれた100名の魔物の子と、そのパートナーとなった人間が、最後の1人になるまで戦い合う。
- 戦闘手段は各魔物に与えられた“本”を介して発動する「術」によって行われる。
- 「術」は、パートナーとなった人間が“本”に書かれた呪文を唱えることでしか発動できない。
- 勝ち負けの判断は、本を燃やしたり、燃やされたりすることで決まる。「術」による手段でも、持参した道具でも構わない。
- 本を失った魔物は、魔界へ強制送還され、王になる権利を失う。
- 残りの魔物の数が10体以下になると・・・?
このルールがシンプルながら、良く考えられた設定だと思います。
唯一の戦闘方法である“本”を失うこと=ダイレクトに敗北に繋がる、
という法則が子どもでも理解できますし、
「呪文を唱える」という必然性がルールの中に自然と組み込まれています。
いわゆる「バトルロワイヤル」ですが、命を奪い合う訳ではなく、
負けたら魔界へ強制送還というのがミソですね。
死ぬ訳ではないものの、自身の“本”が燃えた瞬間、人間のパートナーとの永遠の別れが確定します。
だからこそ、魔物の退場シーンは胸にくるものがあります。
そして、生死を懸けた戦いではないと説明しましたが、
物語の終盤でその前提が覆されることになります。
推せるポイント
私が『金色のガッシュ!!』を何故こんなに好きなのか。
理由を一つだけ挙げるとするなら、どいつもこいつも魅力的ということですね。
『金色のガッシュ!!』で一番のコンビは?と聞かれると何時間でも悩んでしまうくらい、
全てのキャラクターに思い入れがあります。
たったの数話しか登場していないキャラクターですら、物語において大きなインパクトを残します。
先ほど画像を挙げた「コルル」は、超序盤での退場だったにも関わらず、
物語の最後までガッシュが戦い続ける理由となりました。
主人公や仲間だけでなく、敵の魔物と人間のコンビもいいんですよね。
最後までガッシュ達の敵であり続けるキャラクターたちも、根っこの部分に自分の軸を持っており、
パートナーとの確かな絆を感じさせます。
敵の退場シーンにすらグッときてしまう漫画は、なかなか無いと思いますよ。
本当ならそれぞれのキャラクターの魅力を紹介したいところですが、
そんなことをしたら話が終わらないので、また別の記事で挙げようと思います。
ストーリー
ここからは『金色のガッシュ!!』のストーリーをダイジェスト風にまとめます。
章ごとの具体的な見所などを語っていきます。
邂逅編
単行本では(1)〜(10)巻までの内容。
ガッシュと清麿の出会いから、「魔界の王を決める戦い」で残り魔物が40体以下になるところまで。
メインキャラクターとなる仲間は、この時点で出揃います。
また、ゾフィスやゼオンといった、後のエピソードでボスを担当する魔物も顔見せ程度に登場しています。
この頃は基本的に、ガッシュと清麿のコンビが次々と現れる敵と淡々と戦うストーリーですね。
それでも、熱い名場面は数多くあります。
コミックス(7)巻で登場した、ダニーの話は記憶に残っている人も多いのではないでしょうか?
クリアとの最終決戦で再登場したときは、全読者が歓喜しました。ジオルク最高。
石板魔物編
単行本では(11)〜(17)巻までの内容。
前回の「魔界の王を決める戦い」で封印されていた魔物が復活し、
それらを操る「ロード」とガッシュ達の戦いが描かれたエピソードです。
ここから、仲間となった魔物の子が集結し、本格的にチーム戦へ移行していきます。
敵の中には、時期尚早といってもいいくらい、チート級の戦闘力を持った魔物が登場します。
レベルの違う相手にコンビプレーで立ち向かい、わずかな勝機を見出していくというシナリオです。
レイラ、ビクトリームはこのエピソードのみの登場ですが、非常に読者人気の高いキャラクターですね。
キャッチ・マイ・ハート! ベリーメロン!
また、ガッシュ・清麿ペアの最大のライバルである、
ブラゴ・シェリーペアの人気を決定づけたエピソードでもあります。
「人への想いは不滅」というメッセージ性はありきたりかもしれませんが、
不変のものだと感じますね。
ファウード編
単行本では(18)〜(28)巻までの内容。
『金色のガッシュ!!』における最長のエピソードであり、最も読者人気の高いであろうエピソードです。
人間界に突如出現した超巨大魔物:ファウードを巡る攻防が描かれるシナリオ。
個人的には『金色のガッシュ!!』で一番、少年漫画しているエピソードだと思います。
世界の崩壊という過去最大の危機。
今までの相手とはレベルの違う敵キャラクターの数々。
死闘の果てに、力尽きてしまう清麿。
ガッシュの記憶を奪った宿命の敵:ゼオンが遂に登場し、異次元の強さでやりたい放題。
「こんなの誰が勝てるの?」と、読者は絶望。しかし、ガッシュ達に立ち止まる時間はない。
かつての敵キャラも参戦し、更に二転三転する展開の連続。
残された者に思いを託し、次々と退場する仲間たち。
遂にゼオンの元まで辿り着くも、ゼオンとは戦うことすらできず、
一体、また一体と倒されていく。正に絶体絶命の危機。
ここで、主人公:清麿の復活! そして覚醒!
世界を救うため、仲間から託された思いを果たすため、
最後の戦いに挑むガッシュと生き残った仲間たち。
物語の始まりから続いていたガッシュとゼオン、2人の運命の戦いが遂に決着!!
面白すぎる。こんなの面白いに決まってる。
リアルタイムで読んでいたときは、次の週のガッシュを読むためだけに生きていました。
世界の存亡を懸けた戦いという今までにない規模のシナリオ、
主人公の因縁の全てに決着がつくことから、ラストエピソードだと思われがちですが、
物語はもう少しだけ続きます。
(アニメはこのファウード編で終わっていますが・・・)
クリア・ノート編
単行本では(29)〜(33)巻までの内容。
正真正銘、『金色のガッシュ!!』のラストエピソードとなります。
残りの魔物が10体以下となったタイミングで、
「魔界の王を決める戦い」の優勝者に与えられる報酬:“王の特権”の存在が初めて明かされます。
これまでは王の資格が剥奪されるだけでしたが、
これからの戦いで負けてしまった者は、優勝者の気分次第で本当に消されてしまうという、
とんでもないクソルールが追加されます。
そして、この“王の特権”を使って、
全魔物を消滅させる使命を抱き、ゼオン以上の力を持つ、最悪の敵が待ち受けていました。
最後の敵:クリア・ノートと、生き残った魔物による、魔界の王を懸けた最後の戦いが描かれます。
物語の当初からガッシュとともに戦ってきた、キャンチョメ、ティオ、ウマゴン。
この初期メンバーが次々と退場するシーンを読んだとき、
「ああ、本当にガッシュが終わってしまうんだなぁ」と、当時は思いました。
この物語の軸であった、「ガッシュはやさしい王様になれるのか?」という問いに、とうとう答えが明かされます。
クリア編の評価
最終章となるクリア編ですが、ネット上では長い間“引き延ばし説”という噂がありました。
今でも、そう思っている人はいます。
「ファウード編で終わりで良かった」
「クリア編は蛇足だ」
そんな意見も耳にしたことがあります。
ちなみに、クリア編が“引き延ばし”であるという噂については、
作者の雷句誠先生が自身のブログで明確に否定しています。
ですので、全くのデタラメです。
参照リンクはこちら!
そして、あくまで私の主観になってしまいますが、クリア編は蛇足じゃねえ。
それだけはどうしても言っておきたかった。
ただ、恥ずかしながら私も当時、ファウード編でガッシュは完結するものだと思っていました。
というのも、ファウード編のボスであるゼオンが、あまりにもラスボス過ぎたからです。
ゼオンのスペック
- ガッシュの兄で、同属性の術の使い手。
- 人間界に来た当初のガッシュを倒し、魔界の記憶を奪った張本人。
- 現魔界の王子であり、それまでの敵とは明らかに次元の違う強さ。
- ラストバトルを錯覚させる舞台と演出。
逆にラスボスじゃなかったら何なんだよ。
ーというくらいに、美味しい設定が詰め込まれているキャラクターです。
対して、真のラスボスであるクリアは、本当に最終章のみ登場するキャラクターです。
登場を匂わせる伏線も何もなかったので、
「物語を終わらせる為の存在」という見方をされても致し方ないところがあります。
でも「クリア編は要らなかったか?」と言われると、
絶対に必要で、メチャクチャ好きなエピソードであることは間違いありません。
「魔界の王を決める戦い」という物語の最初から描かれていた目的に、
原点回帰するようなシナリオでした。
これまでの戦いを通して主人公のガッシュに王の風格が備わっていき、
その集大成となったクリア編は、物語の締めくくりに相応しいものだったと言えます。
そして、蛇足だの後付けだの言われようと、結局面白いんですよ。面白いものは面白い、それでいいじゃないですか。
伝えたいこと
『金色のガッシュ!!』を読んで、明日からの仕事に役立つとか、人生の学びになることはありません。
社長がエヴァを観て、自分の会社の業績が上がるのかと言われても、上がるわけがないですよね。そういうことです。
それでも、日本中の多くの人たちがエヴァを観るのは、めちゃくちゃ面白いからですよね。
エンタメ作品を見ることって、楽しい。
人生の得になるとか打算的なことは考えずに、無条件に、
心が動かされる体験をするというのは、人生において最も幸せな瞬間ではないでしょうか。
シン・エヴァンゲリオンではこんな台詞がありました。
「生きることは辛いことと楽しいことの繰り返し」
私もそう思います。人生は大変なことの方が多いけれど、楽しいことだってある。
だから頑張ろう、なんて軽いことは言わないですけど、
生きていれば私にとっての『金色のガッシュ!!』のような作品に、
出会うことがあるかもしれない。
つい最近、自宅で筋トレしながらYouTubeでなかやまきんにくんの動画を見ていました。
- 何であんなに筋トレできるのか?
- 何でそんなストイックな食生活ができるのか?
きんにくんはこう答えるんです。
「楽しいから。」
私はこの言葉を聞いたとき、痺れました。
もちろん、人生は好きなことばかりやって生きていける訳ではなく、
好きなことをやろうと思ったら、その何倍も嫌なことを経験します。
それでも続けていけるのは、
自分を支えてくれる家族のためとか、待っているファンのためとか、
そんな高尚な理念だけではなく、
「自分が楽しいからやろう」という思いが根底にあると思うんです。
私も、皆さんにとっても、そういったものが一つでも見つかるといいですね。
次回は「ガッシュの名場面ランキング」という記事を書こうと考えているので、
次回の更新時に読んでもらえると嬉しいです。
紹介した作品
『金色のガッシュ!!』 著:雷句誠