【コラム】年末の読書のすゝめ。
年末年始の過ごし方。
いよいよ年の瀬ですね。今年の年末年始はどのように過ごす予定でしょうか?
私は毎年、実家に帰省して特番をダラダラ見ておりました。普段、テレビは全く見ないのですけど、年末年始の特番は好きなんですよね。番組の内容云々を楽しんでいる、というよりは、“正月感”を味わっているのが好きなんです。
とはいえ、今年はこういうご時世ですので、大人しく家で過ごす予定です。1日だけ、友人と食事する予定がありますが、基本的には普段の生活スタイルを崩さないようにします。
いつも通り朝5:30に起床して、瞑想5分とメモ書き10枚(日課)を済ませた後は、ブログを書いたり個人の勉強を毎日やってます。年末年始の特番を、ダラダラと見るのは止めました。
せっかく時間が豊富にあるので、この機会を無駄に過ごさないように、いろいろ工夫を取り入れています。正月休みなんざいらねえ!という強い気持ちで長ーい連休を過ごしています。
今回の記事では、連休中にオススメしたい「どんでん返し」の小説を3作品紹介します。内容のネタバレは避けるので、ご安心ください。
ネットでは、こういった「結末で読者を驚かせる」タイプの本を紹介する、まとめサイト等があります。私もそういう本が好きで、よく読んでいた時期がありました。今回の記事では、実際に私が読んで面白かったものだけを紹介します。
しかし、こういうタイプの作品をネタバレせずに紹介するって、大分難しいです。作品の肝の部分を説明する訳にはいかないですからね。今回は軽めに、ザックリと魅力をお伝えできればと。
では、スタートです。
1.ハサミ男
あらすじ
美少女を殺害し、研ぎあげたハサミを首に突き立てる猟奇殺人犯「ハサミ男」。3番目の犠牲者を決め、綿密に調べ上げるが、自分の手口を真似て殺された彼女の死体を発見する羽目に陥る。自分以外の人間に、何故彼女を殺す必要があるのか。「ハサミ男」は調査をはじめる。精緻にして大胆な長編ミステリの傑作!
引用:Amazon HPより
「叙述トリック」を使った作品で、真っ先に名前が挙げられる小説が、この『ハサミ男』です。「叙述トリック」というのは、小説ならではの特徴を活かした文章の手法です。意図的に情報を隠したり、巧みに視点を変えることで、読者を錯覚させます。
例えば、ミステリー小説で“語り手が犯人”というパターンがこれに該当します。全く別々の人物であるかのように表現しておいて、実際には同一人物だった、とかもそうですね。
「どんでん返し系」の小説は、大体この手法が使われています。その中でも私が一番好きなのが、この作品です。まんまと騙されました。
話の大枠だけ先に伝えると、殺人者である主人公:ハサミ男が、偶然にも自分の犯行を真似た殺人事件の第一発見者となり、図らずも事件の真相を追っていく・・・という物語です。
実は私、この作品のネタバレを以前にネットで知ってしまったんです。そこからしばらくの間、手をつけておりませんでした。
ふと立ち寄った本屋さんで、この小説を見かけたとき、
「そういえばこれ叙述トリックが使われているらしいけど、オチ忘れちゃったな」
と、自分にとって、都合よく記憶が忘却されていることに気づきます。
何かしら読者を騙す仕掛けがあることは知っているけど、それが何なのか分からないという状態で、読み始めました。
初めから疑いの目で物語を読んでいましたが、それでも仕掛けに気づくことができませんでした。
作品の魅力
この作品の魅力は、主人公である「ハサミ男」、このキャラクターに尽きます。あらすじを見る限りだと、本当の殺人を犯したのは誰だ?というのが売りのように書かれていますよね。こんなの、どうでもいいです。
ストーリーはあらすじの通り、真犯人を追い続ける構成になっています。途中までは、真犯人は誰なのだろう?という焦点で物語が進んでいきます。
事件の捜査が進むうちに、主人公こそが本当の「ハサミ男」ではないのか、と警察に疑われ始めます。いよいよ主人公の正体がバレてしまった瞬間、読者は
え?
となります。私が初めて読んだときは、本当に混乱しました。
ネタバレにならないように、感想をお伝えすると、「何でお前2人いるの!?」という感じです。まあ意味不明だと思いますけど、読めば分かります。ここが間違いなく作品のピークですね。
その後、真犯人が登場し事件は解決となりますが、主人公の正体発覚シーンが驚愕過ぎて、話の内容が頭に入ってきませんでした。言ってしまうと、主人公の正体に気づくことができたか/できなかったかで評価が変わる作品になります。それ以外の部分は、“おまけ”のようなものです。
読み返すと、ここで伏線があったのかと納得できました。勘の鋭い方なら、十分気づくことができると思います。私は気づきませんでしたが。
『ハサミ男』に限らず、「どんでん返し」の作品は2周目がより面白いというのが良いですよね。作品のベクトルは全然違いますが、アニメの『シュタインズ・ゲート』も、とても面白かったです。
容疑者Xの献身
あらすじ
天才数学者でありながら不遇な日々を送っていた高校教師の石神は、一人娘と暮らす隣人の靖子に秘かな想いを寄せていた。彼女たちが前夫を殺害したことを知った彼は、2人を救うため完全犯罪を企てる。だが皮肉にも、石神のかつての親友である物理学者の湯川学が、その謎に挑むことになる。
引用:Amazon HPより
東野圭吾さんの“ガリレオシリーズ”の3作目に当たる作品です。福山雅治さん主演でドラマ化し、映画化までされた作品なので、知名度はかなり高いですね。正直、説明も不要かと思います。
私は“ガリレオシリーズ”は昔から好きで、最新作の『沈黙のパレード』まで全て読んでいます。お酒に興味を持つようになったのは、間違いなくこの作品から影響を受けています。
作品の魅力
この小説の犯人は最初から分かっています。ドラマ:古畑任三郎シリーズと同様の、“倒叙”の形式ですね。孤独な天才数学者が、密かに想い慕う隣人の犯行を隠すため、驚愕のトリックを仕掛けます。
犯人は分かっていて、死体も見つかっている状況。主人公の湯川先生と相棒の草薙刑事が、犯人をどのように追い詰めるのか、その過程を楽しむ作品かと思っていましたが・・・。
犯人の愛情と覚悟の大きさに、真相を推理できなかった読者は多いかと思います。
私がシリーズの中で一番を選べと言われたら、悔しいけど『容疑者Xの献身』になってしまいます。この作品はズルいんですよね。「そんなの面白くなるに決まってるだろ!」という設定が詰め込まれていますから。
読んだときは中学生で、当時読んでいた本の中で、最速で読み終わった本ではないかと思います。面白過ぎて、トイレの中に持ち込んでまで読んでいました。
誰も幸せにはならない、ビターエンドの作品ではありますが、そういう結末も含めて良いですね。原作小説の最後の一文である、
魂を吐き出しているように草薙には見えた。
という表現が凄く印象深いラストでした。東野圭吾さんの作品は、全般的に“締め”が良いですよね。『時生』とかも凄くオススメです。
デルトラ・クエスト
あらすじ
シリーズ470万部突破の息もつかせぬ冒険ファンタジー!
ここはデルトラ王国。国を守っている秘宝のベルトの、7つの宝石が、影の大王に奪われた! 国を救うため、少年リーフが立ち上がる。引用:Amazon HPより
最後に紹介するのは、児童書になります。小学校の図書館に置いてあった帝王といえば、
- ハリーポッター
- デルトラクエスト
- ダレンシャン
などが挙げられるかと思います。この中で私が一番好きだったのが、『デルトラクエスト 』です。大袈裟にいうと、読書を好きになるきっかけとなった作品かもしれません。
宝石の種類をこの作品で覚えた人は多いはずです。
ハリーポッターも読んでいましたが、文章が結構読み難いんですよね。小学生だった頃の自分には、ハリー達がよく食べている「ステーキ・キドニー・パイ」というのがどういう料理なのか、全然分かりませんでした。というか、今でも分かっていません。
日本で「ステーキ・キドニー・パイ」を食べられる店ってあるんですかね?
作品の魅力
『デルトラクエスト』は王道のファンタジーで、世界観は『指輪物語(ロード・オブ・ザ・リング)』にかなり近いです。『指輪物語』のファンからは「パクリ」だと言われることもあるようですが、例えパクリだろうと、私は作品が面白ければそれで良いと思っています。
大体、創作物語で設定や内容が被らない方が珍しいことです。あまり気にしない方が楽しめると思うのですが、どうなんですかね。ちょっと余談でした。
『デルトラクエスト 』の物語をざっくり説明すると、「デルトラ」という王国に散らばった7つの宝石を集めながら、国を追われた王位継承者を探していく・・・というストーリーです。何が言いたいかというと、小学生男児が大好きなヤツです。私もどっぷりハマりました。
宝石を集めた後は、国の王子を探しに行くことが話の主軸になります。ここで第一巻から続いていた、物語の大きなトリックが明らかになります。真実を知ったとき、当時小学生だった私は震えました。「この小説スゲー」って思いました。
ただ、目の肥えた大人には結構バレバレだったらしく、母親に読んだ感想を熱く語ったら、
「ああ、分かってたけど」
と一蹴されました。それも含めて良い思い出です。