【書評】“運”は自分次第で変えられる。
こんにちは、あるいはこんばんは。年末が近いので、流石に寒いですね。朝活の為に起きるのも一苦労している毎日です。
今年の3月頃に書評ブログを始めてから、大体30冊は紹介をさせて頂きましたが、初めてですね。やっと小説の紹介をすることになります。
私が読む本は、基本ビジネス書に偏っていますからね。自称「意識高い系サラリーマン」ですからね。
昔は、東野圭吾さんや宮部みゆきさんの作品が好きで、よく読んでいたのです。しかし、現状は読書=自己研鑽の為の時間になっています。
これまでの行動を振り返って、偶には息抜きにと、最近は喫茶店で趣味の読書を楽しむ時間をつくるようにしました。
今回紹介する『運転者』という小説は、友人に紹介されたものです。紹介されて直ぐに読み始めて、次の日には読み終わりました。
小説はハマり出すと止まらないですよね。本のジャンルでいうと、物語調の自己啓発本といったところでしょうか。
著者の喜多川泰さんは有名な作家さんで、私も名前は聞いたことがありましたが、作品を読むのは初めてでした。この本をきっかけに、他の作品も読んでみたいと思いました。
当記事は若干のネタバレを含みますので、ご注意ください。
『運転者』について
「…なんで俺ばっかりこんな目に合うんだよ」思わず独り言を言った、そのときだ。ふと目の前に、タクシーが近づいてくるのに気づいた。報われない努力なんてない! 累計80万部喜多川泰、渾身の感動作!
引用:「BOOK」データベースより
結論を言いましょう。絶対に読んでください。めちゃくちゃ面白い小説です。私が言いたいことはそれだけです。
基本的にこのブログでは、自分が面白いと思ったものしか紹介しておりませんが、その中でもこの本は強く推したい。しかも、Amazon primeに加入しているなら、無料で読むことができます。絶対に読んでください。
これは余談になりますが、世の中にサブスクリクションサービスは数多くあれど、Amazon primeは利用しない理由がないサービスです。加入すべきです。
今回、紹介する『運転者』は、こんな人にオススメできます。
将来が不安な人
- 人間関係に苦しんでいる。
- 仕事が上手くいかない。
- 自分なりに努力しても、結果が出せない。
何のために頑張っているのか分からない人
- 頑張る理由を見出せない。
- 何を頑張れば良いのか分からない。
- 大した努力をしていないのに、自分より上手くいっている人を見ると、嫉妬してしまう。
私は、こういったことは世界中の全ての人が、多かれ少なかれ抱えている悩みだと思っています。だからこそ、自信を持ってオススメできます。
本を読んだだけで、人生の悩みが無くなったり、いきなり自分の能力が飛躍的に上がるということはありません。ただ、今の現実に対する「捉え方」は変えることができます。
この『運転者』には、自分の心を軽くするような言葉、今の自分が求めていた考え方がありました。少しでも自分の人生に希望を持つことができるし、前向きな気持ちになることができます。
もし、今のあなたが普段の日常において、何かしらの理由で疲れてしまっているのであれば、偶にはゆっくり読書をしてみてはいかがでしょうか?
本の内容
『運転者』の主人公は、いわゆる一般的な「サラリーマン」です。保険の営業を職としており、妻と娘の三人暮らし。至って幸福で、平穏な暮らしを享受しているように見えますが・・・。
この物語の始まりは、主人公が仕事で大口の契約を逃してしまい、今後の給料が減っていくことが確定してしまうところからです。
自分なりに信念を持ち、勤勉に仕事に取り組んでいた主人公でしたが、顧客に振り回される形で、大きな損害を受けてしまいます。
そこから、追い討ちをかけていくように、容赦ない現実が降りかかってきます。
- 給料が減っていくので、家族と計画していた旅行をキャンセル。更に、娘の塾の費用が払えなくなってしまうことを伝えなければいけない。
- その娘は、以前から学校に行かなくなってしまい、父親である自分にも心を開いてはくれない。
- 実家から、突然電話が掛かってくる。もし母親が病気になってしまったなら、その面倒を見ないといけない。
自分の仕事のことだけでも精一杯なのに、どうしたら良いのか分からない状況なのに・・・娘のこと、夫婦のこと、実家のこと等、「何とかしなければいけない現実」の数と重みに、押し潰されてしまいます。
ーもう逃げ出してしまいたい。
思わず道端で蹲っていたその時に、目の前に1台のタクシーが現れ、『運転者』という物語が動き始めます。
「俺の運を良くするのが仕事だって? 何を言っているのか余計に分からんよ。君の仕事は運転手だろ。客が連れて行ってほしいところに車で連れて行くのが仕事じゃないのか?」
「違います。運を転ずるのが仕事です。だから私は、あなたが連れて行ってほしいところに、車を走らせるわけではありませんよ。あなたの人生の転機となる場所に連れて行くだけです。」
感想
本来なら、私が一読者として読んだ感想を述べるのが筋なのですが、Amazonレビューでとても共感できる、素晴らしい感想が投稿されておりましたので、紹介させて頂きます。
喜多川泰さんの本は全て読んでいますが、このストーリーも『世のため人のために働く』ことが結局自分の幸せにつながる…ということを再認識させてくれました。
日頃、運のいい人を見ると『どうして自分には運やツキがないんだろう』と考えがちで、ややもすれば『人のため生きてるか』そのことを忘れがちですが、新刊を読むたびに教えてくれます。引用:Amazonカスタマーレビュー「いぬBOX」さんのレビューから、抜粋させて頂きました。
本書を読み終わった時、私が抱いた感想は、正にこれに近いです。世界中の殆どの人は、必ず誰かの役に立っています。
しかし、普段の日常を過ごしていると、今の自分の仕事・人生に疑問を持つことが多いはずです。
「俺の人生は、これでいいのか」
「今必死にやっていることが、何か意味があることなのだろうか」
「努力しても、自分なりに思い切った決断をしてみても、何か人生上手くいかないな」
これは、他者と比較するから思ってしまうことです。大きな成果を上げて、充実した時間を過ごしている、「人生が楽しくて仕方がない」という風に生きている人を見ると、羨ましくて仕方がないでしょう。
こういった劣等感は、本能から来るものなので、どうしようもありません。自分の中にある負の感情は、素直に認めた上で、前向きに生きた方がいい。
それは分かっているけど、だからといって、即座に気持ちを切り替えられるなら誰も苦労はしませんよね。
私も、努力しても中々思うような結果が出ない時には、「何で自分だけが・・・」という思い上がりに近い、感情的な気持ちになることがあります。そんなことを考えても、現実が何一つ好転しないことは、分かっているのに。
後は、「こんなことをやっていて、意味があるのだろうか」という無駄なことも考えます。本当に自分でそう思うのであれば、今すぐ止めてしまえば済む話です。
“報われない努力なんて無い”という言葉には、賛否両論あると思います。これまでの私は、反対の立場でいました。
自分の経験上、報われない努力なんて山ほどありましたから。こんなことには何の意味もなかったと、自分のしてきたことを悔やむこともありました。
それでも、人が努力することには、間違いなく意味があるのだと、この物語を読んで考えを改めました。
もし、この記事を読んでいるあなたが、私と同じような苦しみを抱えていたなら、是非読んで欲しいです。
この物語から学ぶべきこと
この小説は、主人公が謎のタクシーに乗り、「あなたの運命を変える場所」に連れて行かれる物語です。運転者に命じられるまま目的地に連れて行かれ、そこから主人公の人生が好転する・・・
という話であれば、めでたし、めでたしで終わりなのですけどね。そんな単純な物語であれば、わざわざブログに取りあげません。
主人公は「自分の運気が劇的に変わる場所」に連れて行かれるものの、そこから人生の転機になるようなイベントは、全く起こらないのです。本当に、一切起こりません。
「俺にはこんなことをしている時間がないんだよ!」
当然、主人公は文句を垂れますが、運転手はこう返します。
大変な状況なのは分かります。でもそれも全て、あなたの基本姿勢から生まれた結果でしかありません。その大元を正さない限り、運の転機が訪れたところで、人生は変わりませんよ。
この物語から学ぶべきこと、それは「運」というものに関する考え方です。
運が良い/悪いは存在しない。
私が就活をやっていた頃(今から3〜4年前でしょうか)に、とあるセミナーを受けたことがあります。その人の名前はもう忘れてしまいましたが、結構有名で、テレビにも出演されたことのある方でした。そのセミナーで教えられた中で、一番覚えているのは、この言葉です。
「運の悪い人は、好機を待っている。運の良い人は、自分から好機を掴みに行く」
望むような結果を得られない人は、基本的に他責思考です。
- 「誰かが」この場を面白くしてくれる。
- 「誰かが」人生を変える機会を自分に与えてくれる。
そういう考え方をしています。
実際にそんなことを口にする人は、あまりいないでしょうけど、私も無意識に考えてしまう時がありました。「なんか、人生つまらないな」と。若気の至りとはいえ、恥ずかしいことですね。
とはいえ、今の自分の基本姿勢が、100%自責思考かというと、まだまだ足りないと自覚しています。「自分ごととして考えていない」と人から指摘を受けることが、時にはあります。
この『運転者』という物語では、こういう言葉で“運”というものを表現しています。
運がいい人なんていないし、運が悪い人なんていない。運はそういうものじゃない。
何もしてないのにいいことが起こったりしないんです。
たとえ、その場の環境が自分の人生を劇的に変える場であったとしても、自分自身が行動を起こさなければ、何にもならないのです。
ではどうすれば良いのか?
物語の中で具体的なアクションプランが明示されています。
A P:上機嫌でいること。
どんな仕事をしていようと、不機嫌であったり、楽しくなさそうにしたりしていたら、成功することはありません。明るく、楽しく生きている人の元へ、人生をより良くする機会は集まります。
このことは、私も反省しました。思い返せば、仕事中の基本姿勢が不機嫌だったなと。
常にイライラしている訳ではなく、むしろ性格としては穏やかな方なのですけど、他人から見たら「感情の変化が乏しい」と見られていたかもしれません。
仕事中に限らず、私は人から「落ち着いていますね」と良く言われます。これはもう、生まれ持っての性質だから、変えようがないのでしょう。気の置けない友人同士の仲では、テンション高い方なのですけどね。
ただ、仕事帰りの疲れている状態で買い物している時に、店員さんに対して心ない「ありがとう」を言ってしまうことがありました。
それは型式だけのお礼をするという、ただの自己満足でした。そういう態度って、他人から見たら直ぐに分かるものです。
次からは、“笑顔で”お礼を言うようにします。
生まれついて“運”を持っている人
とはいっても、世の中には最初から非常に恵まれている人がいます。生まれた時点でステータスがカンストしているような、超エリートのことです。
顔が良く、勉強もできて、運動神経も抜群。何をやらせても、少しの努力で圧倒的な成果を出し、おまけに人格者。そんな、非の打ち所が無いような人は、確かに実在します。
今年大ヒットした漫画『鬼滅の刃』では、作中最強の「継国縁壱」というキャラクターが登場します。彼が正にそんな人物です。主人公やその仲間たちが、何年にも及ぶ修行や死闘を経て、ようやく辿り着いた境地に、生まれた時点で既に到達しているような。
誇張抜きに、別次元の存在です。実際に作中でも「この世の理の外にいる」と表現されています。
才能が並外れていて、存在する世界が違う人。そんな人たちは、もう運が良いという以外なんて言えばいいのか。『運転者』では次のように説明がされています。
運を“貯める”という考え方
実際に今の自分がやった努力の成果が、自分に対して表れるのは、ずっと後のことだという話です。でも、どうしても私たちは、今すぐ結果が欲しいと思ってしまうものです。
『運転者』ではそういった考えの根本を否定します。
先ほど、運はいい/悪いで表現するものではないと書きました。では、どう表現するのかというと、使う/貯めるです。ポイントは、先に〈貯める〉があって、ある程度貯まったら初めて〈使う〉ことができるということです。
だから、頑張っても報われない時は、運が貯まっている状態です。運気が中々やってこないときは、まだ貯まりきっていないから。それだけの話です。
でも、特に何もしていないのに、調子がいいという経験は、誰もが一度や二度、あるはずです。これはどういうことでしょうか?
そういったときは、自分の運が良かった訳ではありません。自分ではない誰かが〈使わずに貯めておいた運〉を使わせてもらっていた、と考えることです。
生まれた時点で人生の勝利が約束されたような選ばれし人間は、降って湧いたものではなく、他の誰かが使わずに貯めておいた運を使ったから、と考えるべきです。そして、そういった人達は、持って生まれた才能に甘えるのではなく、与えられたもの以上のものを、世の中に還元すべきなのです。
〈今すぐ自分だけ〉って考えすぎなんですよ。自分の人生が延々と続く命の物語のほんの一部であることを知らないんです。
それぞれの時代に生きた人が、精一杯、自分の役割を果たすように生きてくれたから、次の世代は、前の世代よりも〈いい時代〉に生まれ育つことができるようになる。
そもそも、今の社会がこれだけ豊かになっているのも、過去に必死で生きてきた人達が、次世代の為に自分の“運”を使って、豊かな生活をさせてあげようと頑張ったからです。
そういう人達の中には、自分の為に“運”を使えなかった人もいます。分かりやすい例を挙げると、戦争で散っていった若者達です。
彼らは自分たちの人生を犠牲にしてまで、国の為、家族の為に戦った。だからこそ、今の日本があります。
現代社会で、明日食べて行くことができないという人は、何%いますか?
私たちは既に誰かからの恩恵を受けて、ここまで生きています。
そういう意味で、私も、あなたも、先人が貯めておいてくれた“運”を使って生きていることになります。「報われない努力がない」というのは、そういう意味なんです。
AP:次世代の為に、運を貯めるような生き方をする。
もちろん、目標に対してただ闇雲に努力をすればいい、という極論ではありません。頭を使って、やり方を変えてみる、自分なりに創意工夫をし続ける、そういった努力はもちろん重要です。
でも、今の自分がやっていることが未来へ繋がっていくこと、そう考えると前向きな気持ちになれませんか?
『運転者』の中では、こういう素敵な言葉で、努力というものを捉えています。
誰かの努力、ひたむきな姿勢は、他の人に幸せをもたらす力がある
これからは、自分のやっていることに否定的にならず、ポジティブに考えることができそうです。
損得感情で判断するな。
人生のアドバイスとして、“プラス思考”で考えよう、とよく言われます。ただ、私は根っこが陰キャラですので、中々自分の行動とは結びつかないアドバイスだと感じていました。
「前向きに考えろって言うのも分かるけどさあ・・・」くらいに考えていました。
この『運転者』という物語にも、“プラス思考”という言葉が出てきますが、それは私が考えていた言葉のニュアンスとは、性質が異なるものでした。
多くの人がイメージしているプラス思考というのは、「自分が強く望んでいることは、必ず実現できる」というものです。実際に、そういう主張をしている自己啓発本も、世の中にはあります。
『運転者』の中で説明されている、本当の“プラス思考”とは、自分の人生でどんなことが起こったとしても、それを大切な経験に変えること、としています。
自分の人生において何がプラスで何がマイナスかなんて、それが起こっているときには誰にも分かりませんよ。
これに関しては、スティーブ・ジョブズの有名なエピソードがありますので、紹介させて頂きます。
例.創業した会社でクビになったジョブズ
Appleの創業者であるスティーブ・ジョブズは30歳のとき、取締役会にて自分がつくった会社(Apple)から、解雇されました。
大人になってから全ての情熱を注いできたものを失い、最初の数ヶ月間、ジョブズは途方に暮れます。
しかし、今の状態を“もう一度原点からやり直す機会”と捉えたジョブズは、その後の5年間で、NeXTとピクサーという会社をつくりました。
更に、妻となる女性とも出会い、婚約します。AppleがNeXTを買収したことで、結果的にAppleに復帰することもできました。
「Appleから一度離れたことは、自分の人生で最良の出来事だった」と、後にジョブズは語っています。
世の中の成功者と呼ばれる人たち、彼等は人に講演会等をする機会があるでしょう。
ーこんな決断をしたから上手くいった。
ーこういうことを続けられたから上手くいった。
もちろん、それは真実なのでしょう。
じゃあ、彼らと同じことをやったら上手くいくのかというと、人生はそんなに単純ではありません。人生のターニングポイントというのは、振り返ってみて初めて分かるものなのです。
成功ストーリーとか、半分くらいは偶然の産物で、後から意味付けしているものだと思うぐらいが、ちょうどいいかもしれませんね。
そこから考える私のアクションプランは、これです。
AP:行動に意味を求めない。
今こういう流れだから、こういう風に行動しようとか、考えている人は多いと思います。
ただ、そういった損得感情で自分にとって最良の選択肢は何かを考え出すと、終わりがない思考の迷路に陥りかねません。
とりあえずやってみて、試行錯誤しながら走っていく、というのが人生をより良くさせていく行動ではないでしょうか。
私がこんなブログを始めたのも、本当に思いつきでしかありませんからね。その結果、以前よりも本を読むようになりましたし、タイピングをもっと早くしようというきっかけにもなりました。
やってみたことで初めて、今まで知らなかった自分の世界が広がっていきました。
伝えたいのは、何かを始める最初の一歩に、そんな大層な理由は必要ないということです。
紹介した作品
運転者 未来を変える過去からの使者 著:喜多川泰
オススメ度:★★★★★
※世の中は、誰かが頑張る姿からもらったエネルギーの集合体。