【感想】トイストーリー4なんてなかった・・・忖度抜きのレビュー。

2022年1月29日

 

【コラム】覚悟を決めて『トイストーリー4』を見た結果。


今回は『トイストーリー4』を観た感想をお話しします。

 

概要

『トイストーリー』は、言わずと知れたピクサー・アニメーション・スタジオが誇る大人気のシリーズ作品。

 

劇場用の長編映画としては、世界初となるフルCGアニメーション作品であり、公開当時は国内外問わず話題を呼びました。

その後、続編となる『トイストーリー2』が1999年、その10年後に『トイストーリー3』が公開され、シリーズを通して大ヒットを記録します。

 

子どもが大人になり、いずれおもちゃから離れていく」というテーマに真正面からぶつかり、見事に描き切った『トイストーリー3』でシリーズは終わる予定でした。

しかし、ファンからシリーズの存続を望む声が止まなかったことから、後日談となる短編作品は次々と制作されていきました。

 

そして、大傑作である『トイストーリー3』から9年、続編となる『トイストーリー4』が公開されました。

これまでのシリーズでの根幹を成す「何がおもちゃにとっての幸せか」という在り方を、ひっくり返してしまうようなシナリオが描かれます。

 

◎キャッチコピー:
「あなたはまだー本当のトイストーリーを知らない。」

 

ココに注意

この記事では物語のネタバレや、個人的な意見を多量に書き連ねます。

 

まあ、記事のタイトルから察しているでしょう。

これが本当のトイストーリーならば、知らない方が良かった。・・・というのが私の結論です。

『進撃の巨人』で壁を越えた世界の真実を知った、エレン達と同じくらいの絶望を感じました。

引用:『進撃の巨人(22)/©諫山創』

 

 

続編に対する不安

『トイストーリー4』が公開されるという情報を聞いたとき、もちろん歓喜するファンの方は多かったでしょう。

それと同時に、その内容を危惧する方も多かったと思われます。私もその一人です。

 

その理由は、簡単です。あまりにも3が完璧すぎたから

https://twitter.com/disneystudioj_a/status/1310776316052959233?s=21

 

『トイストーリー3』は“映画史に残る完璧なラスト”とも称される程の感動的な結末を迎えます。

 

その結末を、続編で超えることが出来るのだろうか。作品としては『3』で終わるのが、一番キレイな形ではないのか。

『トイストーリー4』が実際に公開される前から、続編に対する賛否両論がありました。

 

公開の1ヶ月前に、『トイストーリー4』の監督を務めたジョシュ・クーリーが続編を制作した理由を明かしています。

「僕もみんなと同じように3作目が大好きだし、最高の形のラストだった。

でもウッディがボニーの手に渡り、これからどうなってしまうんだろうか?と思ったら、いろんなアイデアが湧いてきたんだよ。」

「“終わりはいつだって新しい始まり”だと思うし、『トイ・ストーリー4』と呼ぶにふさわしいクオリティの映画ができたと思う。」

 

参照リンクはこちら!

「トイ・ストーリー4」“完ぺきな結末”になぜ続編が?監督が理由明かす

 

『トイストーリー4』の公開

来たる2019年7月12日。ついに『トイストーリー4』が日本でも公開されます。

初代から『トイストーリー』を追ってきた長年のファン、また、多くのディズニーファンが映画館に駆け込みました。

ずっと待ち望んでいた、トイストーリーの続編が見れるのだと。前日ろくに眠れなかった方もいるかもしれません。

 

そして、多くの方が予想していた通り、良くも悪くも話題作となってしまいます。言葉を選ばずに言うと、“炎上”しました。

ネットの記事ではこちらが分かり易く、参考になると思ったので載せておきます。

 

参照リンクはこちら!

傑作?裏切り?『トイ・ストーリー4』が賛否両論なワケ

 

簡単にまとめてしまうと、

  1. キャラの描写
  2. 主人公がラストに決断する選択

 

この2つに納得できたか/納得できなかったか。それで肯定派と否定派に分かれ、賛否両論となりました。

『トイストーリー3』より高く評価する方も居れば、やっぱり蛇足でしかなかったという意見も少なくなかったのです。

 

 

リアル世代として

当時の私は、ネットの反応を待ってから観に行くかどうかを判断しようと思いました。

そして、結論を言うと「映画を観に行かなかった」です。

 

家族、友人の間でも『トイストーリー4』は話題になりましたが、知っている限りでは「観に行った」という人はあまり居ませんでした。

単なる1ファンでしかありませんが、やはり私たちの世代にとって『トイストーリー』と言う作品は、ただの娯楽映画ではないんです。

他のシリーズ作品とは、思い入れが全く違います。

 

1995年生まれ

初代『トイストーリー』は1995年11月12日に全米で公開されました。奇しくも、私の生まれた年です。

日本では96年に公開、その続編である『トイストーリー2』は2000年に公開されました。

 

物心のついた頃、ちょうどおもちゃで遊んでいる年代に、私たちは『トイストーリー』という作品と出会い、夢中になりました。

ビデオを通して見るウッディやバズのことを、本当の友達のように思っていました。

もう覚えていませんが、親に『トイストーリー』に出てくるおもちゃをねだったこともあったでしょう。

 

月日は流れ、2010年にシリーズ完結作となる『トイストーリー3』が公開。

とっくにおもちゃで遊ぶことから卒業した子ども達と、ウッディの持ち主であるアンディとの年齢を合わせる為、リアルタイムで10年間も制作を温めていた作品です。

これまでのシリーズ作品にはなかった、完全に大人の鑑賞を意識した作風になっています。

 

かつて、おもちゃで遊んでいた全ての少年少女。そして、そんな子どもだった全ての大人・親世代にとって、心が揺さぶられる感動的なシナリオでした。

子どもと一緒に映画を観に行って、子ども以上に泣かされてしまった。そんな方も多いことでしょう。

当時15歳だった私も、母親と鹿児島の映画館で観て、2人でボロボロ泣いたのを今でも覚えています。

 

リアル世代で作品を追っていた我々にとっては、『トイストーリー』を観てきた思い出は非常に大きい。

『トイストーリー3』のラストシーン。アンディは自分のおもちゃに対して、こんなセリフを言います。

「約束だよ。みんなを大切にしてね。僕の宝物なんだ」

 

私たちもそうでした。この作品を楽しんでいたことが、私たちにとって宝物でした。

実際、この記事を書いているだけで涙が出てきそうです。

 

『トイストーリー4』を観ることが出来なかったのは、そんな思い出の作品を、嫌いになりたくなかったんだと思います。

 

 

そして時は流れ。

『トイストーリー4』を観ないまま、2年の歳月が流れます。

私にとって、このまま観ないで終わることは大きな心残りになるような気がしていました。

 

賛否両論あることは分かりきっていますが、それでも自分の眼で確かめないことには何にも分かりません。

2021年11月、私は『トイストーリー4』を観ることを決意します。

Amazonでトイストーリーシリーズ全てのBlu-rayをポチりました。

 

1〜3を観て・・・

ストーリーを覚えていなかったこともありましたので、まずは1〜3を観ました。

改めて思いました。『トイストーリー』は最強のエンタメ作品だと。

3の表紙をバズがドヤ顔で飾っているのは違和感あるけど。

 

初代はそこまでの作品ではないと私は思うのですが、『2』と『3』は何度観ても面白過ぎる。

面白くないところが全くありません。キャラクターの魅力、シナリオ構成、舞台の設定、ストーリーのテンポ・・・非の打ち所が無い。

既に結末を知っているのに、ハラハラ・ドキドキ・ワクワクさせられる展開の連続。

 

いつ観ても子どものような気持ちで楽しめる作品だと、改めて実感させられました。

観終わって直ぐに、「もう一回観たい!」と素直に思いました。

 

4を観るときが来た。

さて、待ちに待った『トイストーリー4』を観るときです。

本作ではサプライズとして、『トイストーリー2』までのヒロインポジションだった「ボー・ピープ」というキャラクターが復活するということもあり、楽しみな部分もありました。

 

 

長い長い葛藤の末、Blu-rayを購入してまで鑑賞した『トイストーリー4』。

果たして、続編を観ることが出来て良かったと思うのか、それとも蛇足だったと思うのか・・・。

 

予感は、悪い方に的中しました。

過去の「トイストーリーシリーズ」で、ダントツでつまらないと感じた作品でした

 

本心としては、擁護したかったです。だけど、『トイストーリー4』はこれまでのシリーズ作品と比較して、面白さが数段劣る。

・・・そう、評価せざるを得ません。

 

 

個人的な感想

ここからは、私がそう感じた理由を説明させて頂きます。

ただ、私が不満に思っている箇所が人によっては評価するポイントでもあると思うので、「個人的な感想」と前置きします。

嫌悪されるような表現も使った感想になりますが、ご容赦ください。

 

『トイストーリー4』に感じた不満

 

ココがダメ

・結末ありきで動かされるキャラクター達。

・これまでのキャラクターを嫌いになりそうになる。

・「フォーキー」とかいうプラごみ。

 

順番に説明させてもらいます。

 

結末ありきで動くキャラクター達。

主にネット上でもよく見かけた意見ですが、実際に作品を観て「本当にその通りだ」と思いました。

そう思いたくはなかったのですが。

 

ラストのネタバレになりますが、『トイストーリー4』では主人公:ウッディが持ち主:ボニー及び仲間のおもちゃ達と別れ、ボー・ピープと共に生きていくことを選択します。

その結末自体は、私から不満はありません。

 

作品のレビューや感想を見ると、

「ウッディが仲間を見捨てて自分の人生を生きるなんて有り得ない」

というような意見も見かけましたが・・・いやいや、見捨ててはいないでしょう。

 

『トイストーリー3』という一つの結末を迎えた先で、主人公が新たな道を生きるというのは、私としては「有り」だと思いました。

制作スタッフがそういう物語を描きたかったのは理解できますし、個人的には納得しています。

でも、その結末に至る為に、いろいろな部分が犠牲になってしまったのです。

 

端的に説明すると、これまでのシリーズにあった、それぞれのキャラクターの良さが殺されてしまっていた。

キャラクターが「動いている」のではなく、「動かされている」と視聴者が感じてしまう部分。

酷い言い方をすれば“駒”の様な扱いになっている箇所が多々ありました。

 

これまでのキャラクターを嫌いになりそうになる。

『トイストーリー4』では、とにかく主人公:ウッディが報われません。

 

これまでずっとアンディの相棒であり、『トイストーリー3』のラストで新たな持ち主:ボニーのおもちゃとなったウッディ。

決して仲間を見捨てない勇敢なカウボーイとして、『トイストーリー4』でも皆のリーダーとなり、活躍してくれる。

・・・そう、思っていました。しかし、『トイストーリー4』で描かれる物語は「主人公をとにかく苛める」というものでした

 

物語の冒頭から、ボニーのおもちゃ遊びに選ばれる頻度が減っているという描写が描かれます。

そして、その後もボニーから「ウッディが大切に扱われていない」という事実が執拗に描かれます。

  • ボニーの父親に踏まれる。しかも2回も。
  • 後述する「フォーキー」を追って居なくなったときにも、ボニーは「フォーキー」を気に掛けるばかりで全くウッディの心配をしてくれない。
  • ウッディは決して友達を見捨てるキャラではないと皆分かっているのに、これまでの仲間たちもあまり協力的じゃない。
  • 最終的には、「もう何もしないで」とすら言われてしまう。エヴァQのシンジ君かよ。

 

これまでのシリーズのファンであればあるほど、観ていて気持ちの良い作品ではありませんでした。

 

また、最後の方の展開で、仲間たちがウッディを迎えに行くシーンがあるのですが、ここも正直「無理がある」と思いました。

 

簡単に説明すると、おもちゃ達が協力して、ボニーの父親が運転する車の操縦を奪うという場面です。

トリクシーがカーナビの声真似で誘導したり、ブレーキやアクセルペダルを踏んだりして、遊園地まで車を運ぶのですが・・・

もっと説得力のある方法はなかったかな、と。

 

個人的にトリクシーは好きなキャラクターなので、少しでも活躍があったのは嬉しかったですけどね。

あと、ジェシーが足止めの為に車をパンクさせるシーンがあるのですが、「それはやりすぎでしょ」という意見も見かけました。

 

全体を通して、不愉快な気分になる描写がこれまでのシリーズと比較して多かったです。

こんなトイストーリー、私は観たくありませんでした。

 

 

フォーキーとかいうプラごみ。

個人的に、最も残念に感じたところです。

『トイストーリー4』から登場する「フォーキー」という新キャラクター。コイツそもそも要らねえだろ

・・・そう、感じてしまいました。

 

経緯としては、ボニーが新しく通う幼稚園で孤独にならないように、ウッディが手助けをしたことから始まります。

プラスチック製の先割れスプーンに、モールなどを使用してボニーが工作したおもちゃであり、彼女の1番のお気に入りになります。

 

そして、このプラごみが『トイストーリー4』のメインキャラクターとなるのですが・・・もう本当に魅力が皆無でした。

『トイストーリー4』の不満の大部分は、コイツです。このプラごみに魅力が無いことです。

 

コイツにはおもちゃであるという自覚がなく、「自分はゴミ」と自覚しているので、目を離すと直ぐにゴミ箱に入ろうとします。

そうするとボニーが「フォーキーはどこ?」と不安になり悲しむので、ウッディが何とかボニーの傍にいるようにフォローしてやるのです。

こんな不毛なやり取りが、私が覚えている限りで3回以上はありました。

 

作中で、このプラごみに愛着が湧くところがあれば良かったのですが、全くもって湧きません。

それに、プラごみは『トイストーリー4』からの新キャラクター。ファンからの思い入れなんてあるわけがない。

・・・にも関わらず、こんなヤツの為に俺たちのウッディが終始振り回されるのです。冗談じゃねえよ。

 

これまでのシリーズにも「プロスペクター」や「ロッツォ」の様な、最後の最後までクズである悪役はいました。

でも、彼らは彼らでそういった個性があり、悪役として私は好きなんですよ。

しかし、『トイストーリー4』に登場したプラごみは、ただただ嫌いなだけのキャラクターでした。嫌いというか、「虚無」です。

 

こんなウンコに尺をとるなら、もっとボー・ピープとウッディの物語、これまでの仲間たちに焦点を当てて欲しかった

まだまだ言いたいことはありますが、あまりにも不満が長くなると読者が不快に思われるので、この辺で止めておきます。

 

 

統括

『トイストーリー4』をクソ映画とは言いません。

続編をつくってくれた、ピクサーのスタッフ、関係者の皆さんには心より感謝と尊敬をしています。

 

ただ、もっと面白く出来たと思う。そう感じてしまったのが残念でした。2と3が最高のエンタメ作品だっただけに。

今後も続編があるなら、私は見届けようと思います。

 

最後まで個人的な感想を読んでくださって、ありがとうございました。

それでは、また次回!

 

紹介した作品

『トイストーリー4』

 

 

  • この記事を書いた人

イナ

本業は設計者。29歳。書評とコラムを発信する、当サイトの管理人。気ままに記事を更新します。日課は読書と筋トレ。深夜ラジオとADVゲーム好き。

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