引用:魔法少女まどか☆マギカ【新装完全版】 1巻 (まんがタイムKRコミックス)/©Magica Quartet、©ハノカゲ
【コラム】残酷な運命に選ばれた少女たちの、交わした約束を果たす為の物語。
はじめに、謝罪しておくことがあります。
当ブログは週一で更新することを宣言し、
「更新できなかったら全力で謝罪する」
とまで告知しているのですが、先週は更新できませんでした。
申し訳ありませんでした。
【宣伝】週1で記事をUPしているので、お暇なときにお楽しみください。
(更新できなかったときは、全力で謝罪します。)https://t.co/52A31EmVPk— イナ|ブログネタ帳 (@InaLifenote) February 13, 2022
理由を説明しますと、本業の仕事が忙しかったから。・・・では、ありません。
それもあるのですが、一番の理由は、
「とあるアニメ作品に夢中になって、一気に最後まで見てしまったから」です。
視聴終了後、思いもよらず放心状態に陥ってしまい、
とてもブログを書けるコンディションに持っていけませんでした。
そのアニメ作品とは、昨年度に公開10周年を迎えた『魔法少女まどか☆マギカ』です。
えぇ、今更まどマギを観てみたんです。
・・・ビビるほど面白かった。まさか、ここまで面白いとは。
『プリキュア』や『おジャ魔女ドレミ』のような、いかにも幼児向けの“萌えアニメ”に見せかけて、
「呼吸が止まりそうになる」
「鬱になってしまいそう」
放送終了後、日本中で話題を呼んだ、悲劇的でハードなダークファンタジー。
その魅力を語る記事を、今回は書きます。
ココがポイント
管理人がブログの更新を止めてしまうほどに面白いエンタメ作品。
社会現象になった作品は、一度は観るべき。
誇張抜きで、ここ一週間は仕事しているか、まどマギのことを考えているかの繰り返しでした。
どハマりしてしまいました。
10年以上も前のアニメで、ここまでずっと愛してくれている人が大勢いる、超々大人気の作品。
今になって、私が語る必要なんて無いかもしれません。
それでも、こんな傑作をつくっていただいた(株)シャフトの関係者の方々へ、
心からの感謝の気持ち。
そして、まどマギという作品に対して世間が抱いている、
「詐欺アニメ」というイメージを払拭できるような記事になれば、
それはとっても嬉しいなって。
ココに注意
致命的なネタバレは避けますが、
全くの初見の状態で作品を楽しみたい方はブラウザバックを推奨します。
魔法少女まどか☆マギカ
『魔法少女まどか☆マギカ』は、シャフト制作による日本のテレビアニメ作品です。
2011年1月〜4月の期間に渡り、深夜帯で放送されました。
全12話、作中の経過時間は1ヶ月程度の短い物語。
オリジナルアニメである為、視聴者にとってはそもそも先の読めない物語ではありました。
ですが、実際に放送が始まると・・・
「まどマギ」は全視聴者の予想の遥か上を行く、衝撃的な物語であることが発覚します。
これまでの「魔法少女」にあった前提を覆すような、スリリングなストーリー。
第3話からスタートする急転直下の展開に、当時は「近年最大の話題作」とまで評され、
テレビアニメのBD売上トップ3を「まどマギ」が独占する程。
全くアニメ作品に触れてこなかった頃の私でさえ、その存在と大まかな内容は知っていました。
間違いなく、ここ10年のアニメ史に名を遺す代表作品の一つでしょう。
ストーリー
大好きな家族がいて、親友がいて、
時には笑い、時には泣く、そんなどこにでもある日常。
見滝原中学校に通う中学二年生・鹿目まどかも、
そんな日常の中で暮らす一人。
ある日、彼女に不思議な出会いが訪れる。
この出会いは偶然なのか、必然なのか、彼女はまだ知らない。
それは、彼女の運命を変えてしまうような出会いー
それは、新たなる魔法少女物語の始まりー
(公式サイトより)
放送前に公式から開示されていた情報や、第1・2話の時点では、
いかにもな「可愛らしい魔法少女アニメ」であるかのような雰囲気でした。
(まぁ、嘘は言ってないな・・・。)
始まった物語も、序盤は「約束事の積み重ね」のような描写でつくられています。
冒頭でのまどかの夢・魔女が創り出す異空間の描写など、
既に本編の恐ろしい部分が、垣間見えてはいましたが・・・。
- 人々に“呪い”を与える悪き存在である「魔女」
- たった一つの願いを叶える見返りとして、魔女と戦う力と運命を与えられた「魔法少女」
- そして、魔法少女の使者として現れ、願いを叶える不思議な存在「キュゥべえ」
本作のアイコニックとなるキュゥべえは、猫のようなウサギのような、マスコット的なキャラクター。
これもまた、「いかにも」ですね。
彼(?)の台詞:「僕と契約して魔法少女になってよ!」は第1話のアバンから登場し、
『魔法少女まどか☆マギカ』という作品全体を象徴する台詞とも云えます。
キュウベぇの声に導かれた、物語の主人公:鹿目まどか。
ーここから夢と希望に満ちた、魔法少女としての物語が開幕するー
気がつけば、そんな有りもしない“お約束ごと”を、
視聴者には植えつけられていました。
しかし・・・
転機となった「第3話」
そこで待ち受けていたのは、少女たちが背負うにはあまりにも、あまりにも過酷な運命。
その始まりとなったのは、第1話時点で既に「魔法少女」として活躍していた、
「巴マミ」というキャラクターの戦死でした。
それも、突然巨大な怪物に変身した魔女によって、首から上を噛みちぎられ、
そのまま無残に捕食されるという・・・凄惨極まりない最期。
まどマギといえばこの場面と呼ばれる程に広く認識され、
ネット上では「マミる」という造語まで生み出される程。
頼れる先輩キャラとして登場し、一方で孤独な戦いに気張って立ち向かっていた、等身大の少女。
そんな彼女が迎えた衝撃的な結末は、
『魔法少女まどか☆マギカ』という作品の方向性を決定づけることになります。
そして、この第3話から作品の本来のED:「Magia」が放映され始めます。
OPとは対照的な、陰鬱で暗いアニメーションは、ここからの物語の展開を暗示していました。
本作はすでに類型が確立している魔法少女ものというジャンルに、
新たな切り口を導入することを意図した作品であり、
題名に魔法少女を冠してはいるが、いわゆる魔法少女ものというよりも
魔法少女をモチーフにしたダーク・ファンタジーとしての作風が色濃い。
出典:ウィキぺディアより一部引用 リンク
視聴前のまどマギのイメージ:
視聴後のまどマギのイメージ:
・・・さて、ここまでの情報は、ほとんどの読者の方が知っていると思います。
まどマギがただの「魔法少女アニメ」ではないこと。
付け加えるなら「キュゥべえ」という存在の、その正体を知っている方も、
多いのではないでしょうか。
実際に私も、視聴開始前の時点でこれらの内容は分かっていました。
では、ここからは本作品の魅力について、私なりに紹介させていただきます。
まどマギの魅力
①:最初から最後まで、ずっと面白い。
②:全てがひっくり返されるようなシナリオ。
③:圧倒的な演出。
順番に、解説しますね。
①:最初から最後まで、ずっと面白い。
まどマギは全12話と短い物語ではありますが、
第1話から最終回まで、ずーっと面白いんです。
視聴していて、全く退屈に感じる部分がありませんでした。
本当に面白くて、スマホを触りながら観ることができなかった。
第3話ばかりがメディアで取り上げられている印象がありますが、
まどマギの絶望的な展開は、むしろここからが本番。
作中で登場するメインキャラクターたちは、基本的には「誰かの為」に願いを叶え、魔法少女になります。
自分の欲望を満たし、その代償として魔法少女になった訳ではないのです。
こんなに純粋で、可愛らしい少女たちが、なんでこんな目に合わなきゃいけないんだ・・・
ーと、そう思わずにはいられないほど、悲劇的な運命は加速していきます。
作中での、主人公まどかの有名な台詞として、
「ひどいよ・・・こんなのあんまりだよ・・・」
というものがあるのですが、完全に同意。
胸が苦しくなるような思いになりながら、それでも画面から1mmも目が離せませんでした。
特に、
- 魔法少女の真実が暴露される6話からの、あまりにも救いがない展開。
- 絶望の臨界点を越えて、10話から始まる衝撃的な伏線回収。
- 遂に降臨した最凶の魔女:「ワルプルギスの夜」と、“もう一人の主人公”が対峙する、運命の最終決戦。
この辺りは本当に圧巻でした。
②:全てがひっくり返されるようなシナリオ。
『魔法少女まどか☆マギカ』は、「詐欺アニメ」という見方をされることがあります。
それは先述した通り、「可愛らしい魔法少女もの」に見せかけて、
実は「残酷なダークストーリー」という部分もそうですが、
それだけではありません。もっと、根本的な理由です。
主人公が魔法少女にならない。
そう、『魔法少女まどか☆マギカ』は、
主人公であるはずのまどかが、いつまで経っても「魔法少女」にはなりません。
まどかがキュゥべえと契約を交わす前に、巴マミの悲惨な死を目撃してしまったこと。
また、契約を交わしそうになるタイミングで、謎の魔法少女:暁美ほむらによって度々ジャマされてしまう為、
まどかは魔法少女の契約を結ぶことができないのです。
物語が終盤になっても、主人公のまどかは魔法少女にはならず、
変身もしないという意外な展開を見せます。
魔法少女に対する想いが揺らぐこともありますが、
主人公は作中では一貫して「傍観者」という立ち位置であり、
他の魔法少女を見守る存在として描かれます。
・・・しかし、OPのアニメーションでは、
魔法少女となったまどかの姿が描かれています。
本編では一切、そんな場面は存在しないにも関わらず、
普通に魔法少女になっています。
その為、当時は
「OP詐欺だろ」
「これもう、さやか☆マギカじゃねーか」
・・・などと云われておりました。
※物語の第4話で主人公の親友:美樹さやかは魔法少女となり、
第9話までは彼女を中心としたストーリーが展開される。
真実
結論だけ書くことになりますが、
『魔法少女まどか☆マギカ』は「OP詐欺」では決してありません。
ただ、その理由をお伝えすることはできません。
「とにかく見てくれ」としか答えられない。
曖昧な表現になってしまいますが、ここを説明すると物語の魅力が半減してしまうので、当ブログでは書きません。
あえて云うならば、私たちが見てきた『魔法少女まどか☆マギカ』は、まどか一人が主人公の物語ではなかった。
・・・といったところでしょうか。
それに、物語が進むにつれて、「魔法少女」が本当はどういう存在なのか明らかにされる為、
「まどかはいつ魔法少女になるのかな〜」
などとは言ってられなくなります。
ここもまた、物語の構造がひっくり返されるような、上手い設定ですね。
「誰かの幸せを祈った分、他の誰かを呪わずにはいられない。
私たち魔法少女って、そういう仕組みだったんだね。」
第1話のアバン
『魔法少女まどか☆マギカ』の冒頭。
荒廃した世界で唯一人、強大な怪物と戦っている少女。
その戦いを不安そうに見つめていた、まどかの前に現れたキュゥべえ。
残されていた希望を提示するかのように、魔法少女の契約を持ちかけます。
ー君が望むなら、こんな結末を変えられるかもしれない、と。
物語の最終局面で、遂にこの場面に繋がっていく訳ですが・・・
最後の希望を抱かせるようなこの言葉が、
世界を破滅へ導く絶望の台詞だったとは、誰が予想できたでしょうか?
キュゥべえは決して“悪”とは言い切れませんが、
私たちにとっては決して、相容れることのできない存在でした。
③:圧倒的な演出。
まどマギで扱っている設定は、もしかしたら、目新しいものは無いかもしれません。
ただ、演出・魅せ方が抜群に上手いと感じました。
敵のデザイン
例を挙げると、敵の魔女や、魔女が創りだす異空間の不気味さですね。
魔法少女たちが戦うことになる敵の魔女が、大人の私から見ても怖いんですよ。
こんなのと戦えって、普通に嫌じゃないですか。
まどマギに登場する敵は本当に不気味で禍々しく、
例えるなら「子どもが描いた悪夢を具現化したようなもの」です。
魔法少女になることに怯えてしまうキャラの描写に、説得性があります。
戦闘描写
戦闘シーンの作画も、終始素晴らしいです。
「魔法少女もの」の戦いというと、変身したキャラクターが
「スターセイバー・フラッシュ!(適当)」
とかやってるようなイメージがありますが、まどマギはそんなことしません。
登場する魔法少女の扱う武器は、多節棍・マスケット銃・ベレッタ・迫撃砲 ・・・ etc.
魔法の力を使ってはいますが、全て現実にある武器なので、男心をくすぐられます。
タイトルに「魔法少女」と冠してはいますが、戦闘シーンがマジでカッコいいので、
男性の方がハマるんじゃないか?と思ったくらいです。
コネクト
そして、詳細はいえませんが、OPの歌詞と物語が完全に繋がる瞬間があります。
文字通り、「コネクト」するのです。
ファンの間でも「神回」と呼ばれている名場面ですが、納得しかないですね。
私も、こういう演出は初めて観ました。初見では鳥肌不可避ですよ、こんなの。
まさに、TVシリーズのアニメ作品にしかできないような、素晴らしい演出でした。
この話を観てから、まどマギのOP:「コネクト」を既に50回くらい聴いていると思います。名曲です。
統括
終始シリアスで、ハードな展開が続く本作の結末は、決してハッピーエンドと言い切れるものではありません。
それでも「魔法少女」として、自らの意思で過酷な運命に立ち向かう姿は、
視聴者にただただ悲壮感を与えるだけものではありませんでした。
「希望を抱くのが間違いだなんて言われたら、
そんなのは違うって、何度でも言い返せます。
きっといつまでも言い張れます。」
世界は残酷かもしれないけど、それでも希望を信じて前に進み続けた魔法少女たちは、
まさしく私たちにとっての希望でした。
余談:劇場版について・・・
『魔法少女まどか☆マギカ』はTVシリーズ:全12話に加えて、
3作の劇場版も制作されています。
- 『[前編]始まりの物語』:第1〜8話までの内容をまとめたもの。
- 『[後編]永遠の物語』:第9〜12話までの内容をまとめたもの。
- 『[新編]叛逆の物語』:続編。
劇場版は、基本的には総集編です。
時間によっぽど余裕が無いとかの事情がなければ、
TVシリーズを観た方が良いと思います。
ただ、作品を代表するテーマソング:コネクトが挿入歌として流れる際に、
新規カットが差し込まれているといった変化点。
そして、劇場版オリジナルのOP:「ルミナス」で描かれたアニメーションは、
所謂“ほむまど派”のファンには堪らないものになっています。
いいゾ〜これ。
『[新編]叛逆の物語』は、これから観ます。非常に楽しみです。
また、公開時期は未定ですが、『叛逆の物語』に続く完全新作、
『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ <ワルブルギスの廻天>』も制作が決定されています。
放送終了から10年経っても、世界中で望まれている作品って、
本当に凄いですね。
参照リンクはこちら!
さらに余談:作中で好きな名セリフ トップ3
まどマギは演出面もそうですが、カッコいい台詞・考えさせられる台詞が多い作品でもありました。
個人的に好きな名言を3つ、最後に紹介して終わりにします。
第3位:
「命と引換えにしてでも叶えたい望みって、
そういうの抱えている人は、世の中に大勢いるんじゃないのかな。
だから、それが見つからない私たちって、
その程度の不幸しか知らないってことじゃん。」
願いの代わりに命懸けで魔法少女になることに対して、葛藤する「美樹さやか」の台詞。
恵まれすぎるとバカになる・・・世の中の本質をついている気がします。
第2位:
「大人は誰だって辛いのさ。
だから酒飲んでもいいってことになってんの。」
仕事や家族に対する責任を背負った分、安易に間違えてしまうことが、
もう許されなくなった社会人には身に染みます。
この後、「辛い分だけ楽しいぞ。大人は。」という台詞に続きます。
まぁ、私は禁酒中なのですが。
第1位:
「私の戦場はここじゃない。」
会社の会議で上司にしこたま怒られているとき、心の中で唱えています。
好きな名場面まで紹介してしまうと、あまりにもネタバレになってしまうので、
それは止めておきます。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
紹介した作品
『魔法少女まどか☆マギカ』(公式サイト)