【感想】誰しも、心のどこかに「ぼっちちゃん」は存在する。
ぼざろ
昨年、放映前の段階で注目を集めていた『チェンソーマン』、『スパイファミリー』、『水星の魔女』。
数々の有名作品が並ぶ激戦区の中、予想以上の盛り上がりを見せ、“覇権”と称されるまでに大ヒットした、
『ぼっち・ざ・ろっく!』を紹介させていただきます。
結論
ぼざろはイイぞ。
今年は例年ほどアニメを追いきれていないのですが、この『ぼっち・ざ・ろっく!』は2周視聴。
原作漫画は最新の5巻まで既読済み、作中曲を結集した神アルバム『結束バンド』は未だにヘビロテ。
また、5/21に開催された公式LIVEイベントー恒星ーも、アーカイブ配信で視聴(チケット落選)するなど、
そこそこハマっているコンテンツであります。
参照リンク:https://www.lisani.jp/0000219176/2/?show_more=1
今回の記事では『ぼっち・ざ・ろっく!』の魅力や、オススメのポイントを私なりに書かせていただきます。
記事の構成:
- 作品の概要とポイント
- アニメの感想
- 統括
では、さっそく始めていきましょう!
1.作品の概要とポイント
主人公・後藤ひとりは、動画投稿サイトで「ギターヒーロー」の名で活動する少女。
だが一方で、重度の人見知りかつコミュ障のため、
バンド活動や文化祭ライブに内心では憧れを抱きつつも、
音楽のパートナーどころか友達すら作れないまま中学を卒業する。
高校生となってから約1ヶ月経ったある日、
自らが所属するバンド「結束バンド」のギタリストを探していた伊地知虹夏に声をかけられ、
半ば強引にライブハウスにて演奏することになり、その流れでバンドメンバーになる。
(Wikipediaより一部引用)
『ぼっち・ざ・ろっく!』は「まんがタイムきららMAX」にて掲載されている、四コマ漫画になります。
「まんがタイムきららMAX」を知らない方にざっくりと説明すると、
可愛い女の子たちがたくさん登場する、ゆるふわ日常系マンガが中心の雑誌です。
アニメ化された作品で有名なものでいうと、
- 『がっこうぐらし!』
- 『けいおん!』
- 『ご注文はうさぎですか?』
などが挙げられます。ちなみに、管理人はこれら全て見てないです。
『ぼっち・ざ・ろっく!』も例に漏れず、登場人物は全員美少女で、
かつ、キャラクターには(不自然に)彼氏がおらず、
基本的にギャグ中心のキャラクターが主体で、物語が展開されていきます。
魅力
こういう方向性の娯楽作品を手にすることは、これまで殆どなかったのですが、
『ぼっち・ざ・ろっく!』は今のところ、楽しんで読めています。
設定的だけ見ると「バンドをする美少女たち」という、
それこそ『けいおん!』と全く同じで、これまでに擦られているものが題材ではあるのですが、
そんな作品がここまで売れている理由は何か?
ーということを考えたとき、その理由は主に3つあって、
- イイ意味でぶっ飛んでいること。
- それでいて現実的な部分もあること。
- ストレスフリーであること。
順番に、これらのポイントを解説していきます。
イイ意味でぶっ飛んでる
「キララの最終兵器」と呼ばれる本作は同時に、「キララらしくない作品」という声もありました。
理由は多々あるかと思われますが、1番強く感じるところは、登場人物全員、ヤベー奴ってことでしょう。
まず、主人公のぼっちちゃん(後藤ひとり)ですが、コミュ障とか根暗とかそんな次元じゃないです。
こんな美少女がどうやったら隠キャになれるのだと、思わずツッコミたくなってしまいますが・・・
(作中世界でも主人公はルックスが良い設定。)
本人にとっての困難があるごとに顔面崩壊、爆発四散は当たり前。
最新巻では白骨化までしました。
その他の登場人物たちも、ア⚫︎中、クズベーシスト、病みライター、etc.
可愛らしい絵柄で誤魔化されそうになりますが、現実にいたら近寄りたくない人たちばかりです。
こんな人たちが、バンドの演奏には皆真剣で、素直にカッコいいのが憎らしいですね。
このギャップが本作の最大の魅力といってもいいのではないでしょうか。
まぁ、冷静に考えてみれば、
自分の娘に「ひとり」とか「ふたり(妹)」とか名付ける主人公の親が一番ヤバい。
それでいて現実的な部分
こんなギャグ漫画のどこに現実的な部分があるのか、と笑われてしまうかもしれませんが、
主人公のぼっちちゃんの成長する場面は、とても現実的で親近感の湧く描写になっています。
参照リンク:https://www.lisani.jp/0000219175/
第1話からして、青春を全てギターの練習に費やしたコミュ障少女がバンドで輝く・・・!!!
ーといったサクセスストーリーではなく、主人公には他メンバーの演奏と合わせる技術がなかったため、
念願だった初ライブは失敗に終わってしまうんですね。
そこから少しずつ成長していって、主人公の本当の実力がメンバーにも伝わってくるようになるのですが、
メインボーカルを担当するとか、人前でも堂々とMCができるようになるとか、
そういったことは起こらない。
読者の感想の中に、「等身大の成長」というものがあって、
それが凄く自分の中では腑に落ちたワードでした。
また、アニメを担当された斎藤圭一郎監督のインタビューの中に、こんなものがありました。
この作品は、ひとりちゃんが「ぼっちから明るい子になりました」みたいな
ポジティブでハッピーな作品ではないだろうと。
劇的に何かが変わるということではなく、ひとりの中での視界が広がったくらいの
変化に留めたいと考えていました。
まさに本作のストーリーの軸を簡潔に言い表している、と個人的には思います。
ストレスフリー
登場人物ほぼ全員が、リアル世界では「社会不適合者」と呼ばれてしまっても否定できないのですが、
それでも、嫌悪感を抱いてしまうキャラクターは全くと言っていい程いませんでした。
ギャグテイストで描かれているから、というのもあるのでしょうが、
やっぱり皆、バンドには真剣に取り組んでいるんですよね。そこが大きい。
あと、主人公が「ぼっち」であると言っても、
周りのクラスメイトから嫌がらせされたり、避けられていたりする訳ではありません。
(勝手に主人公が自滅しているだけ・・・。)
そこは原作者のはまじあき先生が「明確に区別して描いている」と発言されており、
読者が嫌な気持ちにならないのは、こういう配慮がなされているからでしょう。
まぁ、こんなに考えなくても普通に「キャラが可愛い」で見始めるのも、全然アリだと思います。
2.アニメの感想
『ぼっち・ざ・ろっく!』という作品のポイントについて紹介したところで、
ここからは、アニメ版の感想を簡単にお話ししたいと思います。
2022年の10月〜12月の期間、TOKYO MXなどで放送されたアニメ版は、
そのクオリティの高さから大きな反響を呼び、
2022年のアニメの中でNo.1といっていいほどの大ヒットを記録しました。
劇場版、舞台化の発表や、声優さんたちのラジオトーク。ピクシブのファンアート作品。
また、主人公たちのバンドグループ「結束バンド」が新曲を発表するなど、
アニメ終了後もまだまだ盛り上がりを見せています。
完走した感想としては、素晴らしいの一言以外ありません。
原作は四コマ漫画なので、登場人物の心情を省略、時間軸が一気に飛ぶ場面も少なくないのですが、
そのコマとコマの補間を丁寧に描いています。
アニメ用に構成を入れ替えるなどの改変もありましたが、全く違和感がなかったです。
制作側のコメントにあった内容で、「青春って大きなイベントではなく、日常の中に隠れている」というのがあり、
ファミレスで駄弁ったり、メンバーと一緒に帰ったり、
そういった“少し特別な空気感”を、大事にされている作品という印象を受けました。
最近発売されたTVアニメ公式ガイドブックを読むと、
原作をめちゃくちゃ読み込んで、装飾や演出に一切の妥協なく制作しているということが、よく分かりました。
定価が¥3,000-と少々お高いですが、アニメファンは買って損はないと思います。
本気でやっている、アニメが好きな人が作っているということが伝わる作品でした。
邦楽ロックファンは“小ネタ”も多いので、より楽しめることでしょう。
音楽
本作を視聴して改めて感じたのは、“音楽”というコンテンツは非常に強いということ。
アニプレックスチャンネルがYouTubeで公開している【LIVE】映像の再生回数が、
軒並み1000万再生を超えているところから、楽曲の人気の高さも窺えます。
アニメ発のアルバム「結束バンド」が「オリコン上半期ランキング2023」にて、
「デジタルアルバムランキング」で1位を獲得するなど、凄まじい記録も達成しました。
参照:アニメ「ぼっち・ざ・ろっく!」、「結束バンド」がオリコン23年上半期「デジタルアルバム」ランキングで首位獲得!
また、キャラクターの一人である「伊地知星歌」役を演じた内田真礼さんが、
「結束バンドの曲はどの曲も好きで、何度も繰り返し聴いてる」
と発言されており、制作陣からも愛されているというのは嬉しいですよね。
公式LIVEー恒星ーでは、作中で初めてライブシーンが演奏された、
「ギターと孤独と青い星」が流れたときにメチャクチャ盛り上がっていましたが、
それ以外の楽曲も本当にクオリティが高いです。毎日といっていいくらいに聴いてます。
統括
アニメ制作陣のコメントの中で一番印象に残ったフレーズがあって、
「日々の孤独感を否定も矯正もしたくなかった」というものです。
大好きな家族・友人・恋人がどれだけいたとしても、“孤独”を感じることってあると思います。
大人になるにつれて、自分の力で何かを乗り越えなきゃいけない場面って、
生きていれば大なり小なり出てくるじゃないですか。
そういった辛い感情、閉塞感といったものを美化するでもなく、悲観的に描く訳でもなく、
ありのまま受け止めてくれるような、そんな優しい作品ー・・・。
・・・というのが、本作の総評になります。
注意点を言っておくと、原作は四コマ漫画の割には1コマあたりの情報量が多く、
電子書籍だと少し読みにくいです。
基本Kindle派の私ですが、『ぼっち・ざ・ろっく!』は紙で買った方が良かったかもと思いました。
以上、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
紹介した作品
『ぼっち・ざ・ろっく!』 ©はまじあき