【感想】賛否両論の話題作『竜とそばかすの姫』 名作か?駄作か?

2021年8月23日

©スタジオ地図

【コラム】もっと期待値を下げてもいいのでは?という話。


絶賛公開中の映画、細田守監督の最新作である『竜とそばかすの姫』の興行収入が50億円を超えたそうです。

ここ最近は『鬼滅の刃 無限列車編』に始まり、『シン エヴァンゲリオン劇場版:||』など100億以上の興行収入を突破する作品も、珍しくなくなってきた感じがあります。

50億円突破というのも、相当に凄い数字なのですけどね。

引用:<竜とそばかすの姫>興収50億円突破 細田守監督最新作

 

私は先月末に劇場で見てきました。いずれはブログに感想でも書こうかな位に思っていたのですが、ちょっとしたキッカケがあって、今回の記事で書くことにしました。

映画の感想の記事を書くのは、キングコング西野さんのプペル以来ですね。

夢を追い続けたエンタメ研究者:西野亮廣さんの映画を見た感想。

続きを見る

 

では、早速始めていきましょう!

 

 

評価は賛否両論?

ネット上の感想を見ると、評価としては賛否両論に分かれているという印象です。

元々、映画というものは人によって好みが分かれやすいですし、特に細田守監督の作品はそういう印象があります。

 

先日、江頭2:50(エガちゃん)さんも“忖度なしの批評”というタイトルで、YouTubeに動画をUPされておりました。

この動画が面白かったので、私もこの作品に対する評価をしたいと思い、今回の記事を挙げた次第です。

 

 

エガちゃんの評価

動画で語っていた内容をまとめると、

どこが面白いんだよ、このクソ映画

という本当に忖度なしの感想で、そのとき飲んでいたコーラを思いっきりタブレットにぶっかけてしまいました。

 

動画内で作品の肝を割と説明しているので、これから作品を観に行こうと考えている方はご注意ください。

エガちゃんのダメ出しとしては、「とにかくストーリーが全然ダメで、ツッコミどころ満載」というものでした。

 

私の感想

で、私がこの映画を観た感想なんですが、エンタメ作品として充分に面白いと感じました

映画館に足を運んで良かったと思いましたし、他の人にも勧められます。「また観たい」と感じた映画でした。

 

ただ、エガちゃんの言っていた感想も、百里あると思いました。

簡単にまとめてしまうなら、いいところも悪いところも極端、そういった映画かなと。

 

 

ストーリー

映画の内容を全く知らない方の為に、超簡単に作品を紹介します。

 

あらすじ

物語の主人公:鈴は高知の田舎町に住む女子高生。

歌うことが大好きだった彼女だが、幼き頃に大好きだった母を事故で亡くしたことをきっかけに、歌うことが出来なくなっていた。

 

ふとしたきっかけで、仮想世界「U」にて自分の分身(アバター):Belleを作成。「U」の世界で彼女は、初めて自然と歌うことが出来るようになる。

すると、「U」の世界でBelleの歌った動画が死ぬほどバズり、世界の歌姫として急速に人気を集めていくことになる。

 

数億人を集客する程となったBelleのコンサート。そこに突然、「U」の世界を荒らしまわる存在、“竜”と呼ばれる謎のアバターが登場。コンサート会場を大混乱に陥れて去っていく。

あなたは誰ー?

全世界の人々の中から、Belle(鈴)は“竜”を見つけ出し、彼を救い出すことが出来るのか・・・。

 

というお話です。

 

この映画とは全く関係ないのですが、つい最近、私の小学校からの友人が何気なく投稿したTwitterがめちゃくちゃバズってました。

大きな反響自体はありがたいことであると同時に、弊害として全然関係ない趣味垢やら、企業からDMが多数来たとのこと。

 

https://twitter.com/gthaxolotl/status/1428891127059337221?s=21

 

今の時代、SNSで影響力を持つというのは凄いことであり、同時に大変なことでもあります。

『竜とそばかすの姫』でも、そういったテーマを扱っているシーンが描かれていました。ただ、扱っているにしては展開が雑ではないか、と感じられるところもあり、そこが賛否分かれているところなのでしょう。

 

 

評価

私なりに、この映画の良かったところと悪かったところをまとめます。といっても、大多数の意見とほぼ同じだと思いますが・・・。

 

良かったところ
  • 仮想世界「U」の世界観。
  • 音楽と作画、演出

もう、言ってしまえば「音楽が凄い」、「作画が凄い」それだけの映画です。そこにフルコミットしたといってもいいでしょう。

映画館の贅沢なスクリーンで見るのが本当に楽しい映画でした。

音楽も、サントラを購入するくらいに良かったです。(肝心のメインテーマが収録されていないのは残念でしたが・・・。)

 

悪かったところ
  • テーマが絞りきれず、ごちゃごちゃしている印象。
  • 登場人物に感情移入できない。

世間の評判では、「細田守監督の集大成」という意見がありました。映画の予告などを観た方は、分かると思います。

「今までの作品のテーマの良いとこどりをしました!」という印象を受けませんでしたか?

別にそれが悪いことだとは全く思わないのですが、この映画で何を伝えたかったのかは分からなかったです。

 

エガちゃんも動画で怒っていましたが、「いくら何でも話の都合が良すぎるだろ」と。

物語の肝となる部分もキチンと描かれず、観客が登場人物に寄り添えないまま、映画が終わってしまった感は否めないです。

 

 

もっと寛容になってほしい

ただ、『竜とそばかすの姫』がクソ映画だったかというと、私は決してそう思いません。

私とエガちゃんで感想がこんなに違う1番の理由は、「何を重視しているか」です。

 

エガちゃんは細田守作品の中でも、『時をかける少女』や『サマーウォーズ』は大好きらしいんですね。私も『時かけ』は大好きで、自宅にBlu-rayを持っているほどです。

この2作は奥寺佐渡子さんという脚本家が手掛けた作品で、『おおかみこどもの雨と雪』以降の作品は、基本的に細田守監督が脚本を書いています。

だからストーリーが微妙になった・・・と書いてしまうと失礼ですが、『時かけ』や『サマーウォーズ』に比べてしまうと、それ以降の作品は物語の展開に“粗”のようなものを感じるようになりました。

 

私がそう感じるほどですから、映画好きの方々から見れば顕著に分かるのだと思います。

エガちゃんは、過去に映画関連の本を出版しているほどの映画通です。

江頭2:50のエィガ批評宣言

目が肥えてしまっているからこそ、今作のツッコミどころ満載のストーリーには憤りを感じてしまったのでしょう。

 

期待しない生き方

私が本作を楽しめた理由は、シンプルに「大して期待していなかったから」です。

作品に対するハードルをめちゃくちゃ下げた状態で、映画館に足を踏み入れました。すると、自分の思っていた以上の迫力ある映像美と、主人公:鈴(Belle)役を務めた中村佳穂さんの歌唱力に圧倒されてしまいました

ご都合主義的なストーリーを許してしまうくらい、それらが圧倒的に魅力的でした。

 

『竜とそばかすの姫』は作品の性質上、そんなに高尚なストーリーも求められていなかったのではないでしょうか。

 

日本の歴代興行収入ベスト5に入る『君の名は。』や『アナと雪の女王』も、そんなに革新的なストーリーではないですよね。『君の名は。』に至っては、“RADWIMPSのMV”と言ってもいいと思います。

それが結果的に売れているからいい、という単純な話ではなく、多少のストーリー性を犠牲にしてでも光るものがあるなら、そこには価値があると私は思っています。

映画はストーリーこそ全て!という人にとっては、本作は向かないでしょうね。ストーリーが一番大事という意見も、絶対に間違ってないと思います。

涙が出るほど感動できる名作は、美しく素晴らしい物語があってこそ。ですが、過度に期待を持つことは、やっぱり危険だと感じます。

映画に限らず何を体験するにせよ、最初に高い理想を抱き過ぎると、後で失望することになりかねません。

 

「期待を持たない」
「ハードルを下げる」

そう言ってしまうと、「何だか冷めていて面白くない」という風に感じられるかもしれませんが、ここで私が言いたいのは“幸せの価値基準を高く掲げるな”ということ。

言い換えるなら、“足るを知れ”ということです。

 

世の中、それこそクソ映画は山ほどあります。あえて名を挙げませんが、私の人生で実際に観た中で、圧倒的にワースト1位の映画がありました。

無理にとは言いませんが、一度ネットで「クソ映画」と調べて、出てきた作品を観てみてください。

もう、マジつまんねえですよ!? 真のクソ映画って、マジで笑えないんですよ!!

 

一度そういうものを経験すれば、世の中のほとんどのエンタメ作品は、実にクオリティ高くつくられているということが分かります。

世の中の“作品”を手掛けている全ての人をリスペクトするようになります。

 

静かで豊かな喜び

世界で一番幸福度が高いと言われている国は、フィンランドです。

現地の人たちがどんな生活をしているのかというと、仕事の後にサウナに入り、自然の中でコーヒーを飲みながら、読書をしたり星空を眺めたり・・・決して派手な生活ではないですが、そういった静かな生活の中に「幸せ」を見出しているんです。

私たち現代人に求められている生き方は、まさにこういう姿勢なのではないでしょうか。

足るを知りましょう

 

 

  • この記事を書いた人

イナ

本業は設計者。29歳。書評とコラムを発信する、当サイトの管理人。気ままに記事を更新します。日課は読書と筋トレ。深夜ラジオとADVゲーム好き。

-コラム

Copyright© Life Note , 2024 All Rights Reserved Powered by AFFINGER5.